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NICe増田代表理事が送る、新たなビジネスチャンス発見法と実現へのヒント。11日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
第49回 1億総殿様化



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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

   第49回 1億総殿様化
 
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広告代理店電通の若者研究部が発表した、
「アフターコロナに爆発する7つの新しい価値観」の分析は鋭い。

その7つとは以下。

1.殿様化
2.時決ニーズ
3.能動圧力
4.Mind to Mind
5.アンダーコントロール感
6.オピニオンファースト
7.不文律のリセット

どうだろう? 興味深いフレーズが並ぶが、タイトルだけでは、
それぞれの意味合いが、わかりづらいかもしれない。

関心のある人は、「アフターコロナに爆発する7つの新しい価値観」で、
ネット検索すれば、解説記事を見つけられる。
(PRESIDENT Onlineに読者登録する必要があるかもしれない)

それにしても、電通の時世を解く力量は、やはり大したものだ。
なんせ、この分析を発表したのは2020年の6月なのだから。

その頃といえば、緊急事態宣言が発出され、
コロナがいつ終息するのか、皆目見当がつかないような状況だった。
そのタイミングで、アフターコロナを見据え、
若者を中心とする人々の価値観の変化を予測したのだから舌を巻く。

そんなすごいことができたのは、同研究部が、
継続的に若者の意識や行動を研究していたからだろう。

例えば、10年以上前に、
「友達のお母さんが握ったおにぎりが気持ち悪くて食べられない子供」、
というTwitterの投稿が話題になったことを前提にして、同研究部は、
「これまでは『手作り』『ハンドメイド』など、
付加価値として語られてきましたが、
もはやマイナスになってしまうのかもしれません」とコメントしている。

事実、アフターコロナに関連した各種の調査結果から、
食品の試食を控える人が増加していることがわかっており、
同研究部の指摘は大当たりしている。

そう考えると、荷物の置き配しかり、無人店舗や無人ホテルの登場しかりで、
個人的には悲しいことだと感じるが、
この傾向は、コロナを契機にして、加速してしまったと言わざるを得ない。

そうなのだ。
電通若者研究部の分析は、
もともと若者が有していた価値観とコロナ禍が重なったことにより、
その価値観が強固になったり加速したり、
ある種の化学変化が起きたりした点を的確に捉えている。

だからこそ、説得力がある。

そんな数々の分析の中でも、
「これは本当にそうだな」と感じたのが、
7つの価値観のトップに出てくる「殿様化」だ。

コロナ禍では、誰もが行動制限を受けた。
あの頃、高齢者は自宅に籠もって、終日テレビを見ていたかもしれない。
学生や若者は、リモート授業やリモートワークをしつつ、
スマホをいじくり回していたかもしれない。

そうだと仮定して、テレビとスマホでは大きな違いがある。
テレビでは、短時間で多くのコンテンツをチェックすることはできないが、
スマホなら、それが可能だ。

実際、Vision Criticalの調査によると、
Z世代がスマホでチェックするひとつのコンテンツの平均時間はわずか8秒。
しかも一度に平均5つのスクリーンを使用しているという。

2時間、3時間と同じテレビ局のワイドショーを視聴し続ける高齢者と、
「はい次、はい次」と、情報の出所を切り換えていく若者。

遊びも、学習も、消費も、
スマホを通じて選択し、短時間で可否を決定していく若者の姿を指して、
電通若者研究部は、「多くの陳情を裁く殿様のような状態」だと言う。

もっとも、若者の「殿様化」は、この事象だけで説明されるわけではない。
自ら出かけずとも、欲しい情報は向うからやってくる。
そして、欲しいものがあれば、ネット通販で購入し、
品物のほうから、自分の居場所へやってくる。

品物だけではない。食べ物まで、アッという間に届くようになった。

都市部の若者たちは、Uberや出前館を利用する際、
食べたいものが15分以内に届くかどうかを注文の基準にするという。
それ以上待つのなら、近隣のコンビニに行くほうが早いからだ。

飲食業界としては、「そうはさせじ」と、短時間提供を目指す。
結果、若者は「腹が減った」と思った直後に、
出かけることもなく、料理をすることもなく、食べたいものが食べられる。
まさに、殿様のような暮らしぶりである。

「おいおい、何様のつもりだ」と、文句も言いたくなるが(笑)、
そんなことを言っている私も、
いずれ、「何でも向うから来る」便利さの餌食になるかもしれない。

そうなれば、もはや1億総殿様化だ。

というわけで、コロナが完全に終息しても、
デリバリー市場は、着実に伸び続けるだろう。


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.185
(2023.4.11配信)より抜粋して転載しました。
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