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NICe増田代表理事が送る、新たなビジネスチャンス発見法と実現へのヒント。11日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
第44回 敵の敵は味方



     
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

    第44回 敵の敵は味方
 
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最近、中国とロシアが仲睦まじい。
元来、覇権を争う大国同士なのだが、
対欧米戦略上、今は組むほうが得と両国は考えたわけだ。

こういうあり方を表す言葉が、「敵の敵は味方」である。
中国にとってアメリカは敵であり、ロシアにとってもアメリカは敵。
であれば、同じ敵と対峙するロシアと組むことが得策と中国は考えた。

もっとも、中露間も本質的には敵対関係なので、情勢が変われば、
中国にとってロシアは敵であり、アメリカにとってもロシアは敵。
であれば、同じ敵と対峙するアメリカと組もうと、
中国が手のひらを返すことがあっても、決しておかしくはない。

結局のところ、「敵の敵は味方」の場合の「味方」と、
持続的な信頼関係を結ぶことは難しいと考えていいだろう。

そう考えると、「敵の敵は味方」戦略は、
「イマイチ素晴らしい戦略とは思えない」と、
感じる人が多いかもしれない。

しかし、「敵の敵は味方」戦略が挫折するかどうかは、
登場する3者(AとBとC)の力関係によると私は考えている。

例えば、AとBとCのいずれもが等しいパワーを持っている場合、
AとBが組んでCを打ち負かすことも、
AとCが組んでBを打ち負かすことも、
BとCが組んでAを打ち負かすことも可能になるので、
状況次第で、敵味方の立場が入れ代わることはありうる。

ところが、仮にCの力が他の2者より劣る場合はどうだろう。
強大なAとBが組んで、わざわざ力の劣るCを打倒しようと思うだろうか。
まず、そういう展開にはならない。

しかし、Cもそれなりに力はあるので、
CがAと組めば、AはBより有利になるし、
反対にCがBと組めば、 BはAより有利になる。

つまり、弱者は、敵対する強者のどちらかと組むことで、
自らを優位な立場に立たせることが可能になるのだ。

この理屈をビジネスに置き換えてみよう。

私の知り合いに「出張洗車サービス」を手がける起業家がいる。

一般的に洗車は、クルマの所有者自身が自宅で行わない場合、
コイン洗車場かガソリンスタンド(GS)に出かけることになる。

だが、洗車が必要になるタイミングというのは、
雨が降ったり、砂ぼこりがひどく舞ったりした後などが多く、
そうなると、どのクルマも同じタイミングで洗車をしようとする。
結果、コイン洗車場やGSは混雑する。
だから、「出張洗車サービス」には、商機が存在する。

しかし、コイン洗車場やGSと比して、
「出張洗車サービス」は認知度が低い。
宣伝を行うにしても、既存サービスに追いつくのは容易ではない。

そこで、「敵の敵は味方」戦略の登場である。

当初この起業家は、
どうやったらコイン洗車場やGSに勝てるかと、課題を設定していた。

だが、将来はともかく、開業早々、その目標達成は困難だ。
まずは、施工実績を積み、評価を蓄積することが大事。
そのために、私は地域のGSと連携することを勧めた。

GSはそもそも人材不足だし、高い洗車技術を持つ人材となると、
さらに不足しているのは明らかである。
いわんや、洗車を望む顧客は同じタンミングに集中する。
とてもじゃないが、GSには顧客が心底満足するような洗車はできない。

そこで、洗車売上げの高そうなAというGSか、もしくはBというGSに、
「ハイグレード洗車サービスの委託先になります」と提案し、
「このオプションがあることで、貴社はBより(もしくはAより)、
競争優位になれます。しかも、代理店マージンも収めますので、
貴社にとっては一挙両得です」と説得するのである。

自社より強い競合は、決して敵ではない。
自社より強い競合は、むしろ別の競合に勝ちたがっている、味方である。

もちろん、洗車に限った話ではない。
どの業界も、規模が大きい事業者ほど、細やかなサービスが難しくなる。

だから、小規模事業者は、大手が出来ないサービスを強化し、
その得意技を武器に、知名度の高い特定の大手と組むことで、
業界の一角に食い込み、収益を確保することが可能になる。

私自身、そうやって事業を伸ばしてきた。

「我が社の、この力を活用することで、
貴社は労せずして、競合企業より優位に立てますよ」。
私の常套句である。

というわけで、私は小規模事業者が大手に対抗しようとして、
余分な資金や労力を投じることを、決してお勧めしない。

反対に、大手にはない専門性を身に付け、それを磨き、
大手にはできない、こまやかな業務を遂行できる体制を築くことで、
「敵の敵は味方」戦略を展開してほしい。そう願う。


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.172
(2022.9.12配信)より抜粋して転載しました。
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