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vol.172【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第44回 敵の敵は味方】



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Vol.172            2022.9.12 
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】シリーズ増田紀彦の
  「ビジネスチャンス 見~つけた」

  第44回 敵の敵は味方
   
【2】先輩経験談 
   あるある!ピンチ&リカバリー

  第37回 川野真理子さん(東京都)
 
     
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

    第44回 敵の敵は味方
 
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最近、中国とロシアが仲睦まじい。
元来、覇権を争う大国同士なのだが、
対欧米戦略上、今は組むほうが得と両国は考えたわけだ。

こういうあり方を表す言葉が、「敵の敵は味方」である。
中国にとってアメリカは敵であり、ロシアにとってもアメリカは敵。
であれば、同じ敵と対峙するロシアと組むことが得策と中国は考えた。

もっとも、中露間も本質的には敵対関係なので、情勢が変われば、
中国にとってロシアは敵であり、アメリカにとってもロシアは敵。
であれば、同じ敵と対峙するアメリカと組もうと、
中国が手のひらを返すことがあっても、決しておかしくはない。

結局のところ、「敵の敵は味方」の場合の「味方」と、
持続的な信頼関係を結ぶことは難しいと考えていいだろう。

そう考えると、「敵の敵は味方」戦略は、
「イマイチ素晴らしい戦略とは思えない」と、
感じる人が多いかもしれない。

しかし、「敵の敵は味方」戦略が挫折するかどうかは、
登場する3者(AとBとC)の力関係によると私は考えている。

例えば、AとBとCのいずれもが等しいパワーを持っている場合、
AとBが組んでCを打ち負かすことも、
AとCが組んでBを打ち負かすことも、
BとCが組んでAを打ち負かすことも可能になるので、
状況次第で、敵味方の立場が入れ代わることはありうる。

ところが、仮にCの力が他の2者より劣る場合はどうだろう。
強大なAとBが組んで、わざわざ力の劣るCを打倒しようと思うだろうか。
まず、そういう展開にはならない。

しかし、Cもそれなりに力はあるので、
CがAと組めば、AはBより有利になるし、
反対にCがBと組めば、 BはAより有利になる。

つまり、弱者は、敵対する強者のどちらかと組むことで、
自らを優位な立場に立たせることが可能になるのだ。

この理屈をビジネスに置き換えてみよう。

私の知り合いに「出張洗車サービス」を手がける起業家がいる。

一般的に洗車は、クルマの所有者自身が自宅で行わない場合、
コイン洗車場かガソリンスタンド(GS)に出かけることになる。

だが、洗車が必要になるタイミングというのは、
雨が降ったり、砂ぼこりがひどく舞ったりした後などが多く、
そうなると、どのクルマも同じタイミングで洗車をしようとする。
結果、コイン洗車場やGSは混雑する。
だから、「出張洗車サービス」には、商機が存在する。

しかし、コイン洗車場やGSと比して、
「出張洗車サービス」は認知度が低い。
宣伝を行うにしても、既存サービスに追いつくのは容易ではない。

そこで、「敵の敵は味方」戦略の登場である。

当初この起業家は、
どうやったらコイン洗車場やGSに勝てるかと、課題を設定していた。

だが、将来はともかく、開業早々、その目標達成は困難だ。
まずは、施工実績を積み、評価を蓄積することが大事。
そのために、私は地域のGSと連携することを勧めた。

GSはそもそも人材不足だし、高い洗車技術を持つ人材となると、
さらに不足しているのは明らかである。
いわんや、洗車を望む顧客は同じタンミングに集中する。
とてもじゃないが、GSには顧客が心底満足するような洗車はできない。

そこで、洗車売上げの高そうなAというGSか、もしくはBというGSに、
「ハイグレード洗車サービスの委託先になります」と提案し、
「このオプションがあることで、貴社はBより(もしくはAより)、
競争優位になれます。しかも、代理店マージンも収めますので、
貴社にとっては一挙両得です」と説得するのである。

自社より強い競合は、決して敵ではない。
自社より強い競合は、むしろ別の競合に勝ちたがっている、味方である。

もちろん、洗車に限った話ではない。
どの業界も、規模が大きい事業者ほど、細やかなサービスが難しくなる。

だから、小規模事業者は、大手が出来ないサービスを強化し、
その得意技を武器に、知名度の高い特定の大手と組むことで、
業界の一角に食い込み、収益を確保することが可能になる。

私自身、そうやって事業を伸ばしてきた。

「我が社の、この力を活用することで、
貴社は労せずして、競合企業より優位に立てますよ」。
私の常套句である。

というわけで、私は小規模事業者が大手に対抗しようとして、
余分な資金や労力を投じることを、決してお勧めしない。

反対に、大手にはない専門性を身に付け、それを磨き、
大手にはできない、こまやかな業務を遂行できる体制を築くことで、
「敵の敵は味方」戦略を展開してほしい。そう願う。


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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第37回 
イベント初出店に挑むも、コロナ禍で来場者数が激減!
廃棄回避への願いと素直な声に、共感と応援の輪が広がる

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 川野真理子さん 2007年設立
 東京都中央区
 
なみへい合同会社 代表社員
https://namihei5963.shopselect.net/
https://www.namihei5963.com/ 
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「東京から故郷おこし」をコンセプトに、
日本各地の食材をはじめ、郷土料理や伝統文化、
生産物や人間にまでスポットを当てる飲食店、
全国うまいもの交流サロン『なみへい』を10年間営んできた川野さん。
2019年からはマルシェや委託販売へと、シフトチェンジして活動中だ。
HPは持っていない、メールもやらない、地元でしか流通していない、
そんな全国の生産者さんがつくりだす逸品を
多くの方に届けたい、との思いは創業当時から変わらない。
それどころか、ますますその情熱と行動力は増しているかのようだ。
そんな川野さんに、今夏、大ピンチとなる事件が発生した。

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「つい先月の話です。東京ビックサイトで開催された
『骨董ワールド』というイベントに出店したんです。
会場にはカフェとコンビニしかなく、食品ブースが少ないとのことで、
ランチを売りませんか?とお声かけいただいたのです。
骨董業界では日本最大級で、ブース数だけで200、
毎年の来場者は1日1000人で、3日間も開催する大イベントとのこと。
初めてなので、どのくらいランチ数を用意すればいいのかもわからず、
ブース数で計算して、1日200~250食のおにぎりとお総菜のセットを用意したのです。
開催前のほぼ1カ月、昼夜問わず、せっせとおにぎりを握り続けたのですが、
時間切れで750食までは用意できず。
でも、これも後から思えば、幸いでした。

というのも、コロナの影響が思った以上に響いて、来場者が激減。
初日から人がまばらで、『え?え?え?』さすがの私もお昼前には、
これはマズい、やっちゃったかも、と青ざめました。
たいてい私は、やってみなければわからない!と、
何事にもチャレンジする質ですが、さすがに今回ばかりは、
チャレンジしすぎたと猛省しました。でも顔を伏せている暇はない。
すでに会場に持ち込んだ初日分のおにぎりとお惣菜がある、どうするか。
それだけでなく、2日目・3日目分が、冷凍庫に満杯で待機しているのですから。
どうにかしなくては!
食べ物に関わる生き方をずっとしてきて、
関わる方たちの思いも手間暇も愛情も存分に知っている私が、
食品を廃棄するなど、心が痛すぎる試練です……。
なんとか、フードロスを回避せねばと、声を張り上げ、SNSで呼びかけました。
正直に、助けてくださいと。

当日分は価格を下げてできるだけ販売し、抱えてしまった在庫は、
子ども食堂へ寄付する・運ぶという流れにすべく、準備を開始。
お惣菜は保管くださっていた市場の冷凍庫で月末までOKと快諾いただいて、
『イベントあるあるだよ~』と慰めていただきました。
ちょうどこのイベントが終わったら勉強させてくださいねと、
夏の初めの頃にお願いしていた通販支援サイトのツクツクさんに大協力いただいて、
短時間で支援協力のお願いサイトを立ち上げることもできました。
ただ、寄付したい送りたいとは言っても、食堂のつてもありません。
その情報収集も呼びかけました。
かつての私のメルマガ読者さん一人一人へも、手動でメールを送り、
ここ最近ご無沙汰だった旧知のみなさんにも、
勇気を出してお願いメールをしたところ、
たくさんの方が応援くださって。
中には『川野さんの頑張りが励みになる』とも言っていただいたり、
旧知の友人同士が私のSNS上で再会を喜んでいたりと、思わぬギフトもいただきました。

神様は克服できない試練を与えない、私はそう常々思ってきましたが、
まさかこの歳でこの夏にこんな試練を与えられるとは。
でも本当に、たくさんの方に助けていただき、なんとか目処が立ってきました。
各地の子ども食堂へ寄付することができたほか、
購入くださった団体施設や個人のお客さまもたくさん。
ようやく御礼の報告をブログやメールでやり遂げたところです。

ある程度の年齢になると、事業で失敗しても隠そうとするでしょうし、
今回のことも表ざたにせず、廃棄する選択肢もありました。
でも、私は廃棄したくない。
けれど、自力ではどうしようもない規模とレベルでした。
ならば、限界を超えて全力を尽くしたうえで、
素直に助けを求めよう!と、それしかないと思ったわけです。
いくつになっても、素直に『困った』という勇気。
これが、多くの人の心に届いて響いた結果、応援を頂けたのかと。
神様が与えてくれた大切な教えかもしれませんね。
まだまだやりたいことは山積みです。
これ以上はできない!という限界ギリギリまで頑張る経験を今夏させてもらったので、
夢の実現に向かって、さらに挑んでいきます。素直さと勇気でね!」

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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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今から20年以上も前の話ですが、私が主催したとある
会合に、見知らぬ人が押しかけてきました。「その会
合に参加する予定の人の中に、一度会ってみたい人が
いる」と。いやいや、驚きました。どこかで会合の情
報を仕入れたのでしょうが、だからといって、いきな
り来ないですよね。その豪の者が川野さんでした(笑)。
これが私と彼女の出会いです。結局、私は彼女に惹き
付けられました。すごい行動力だし、何より、人と会
い、人をつなぐことへの思いの強さに、感銘を受けた
からです。以降、長きに渡ってお付き合いをさせても
らい、高まるバイタリティーを目の当たりにし続けて
きました。しかし、今回の過剰仕込みは、さすがの川
野さんも肝を冷やしたでしょう。イベントの人出は、
コロナに限らず、天候や経済状況などによって、大き
く上下してしまいます。ですので、適正な仕込み数を
割り出すのは、誰でも難しいこと。結局は、余剰を嫌
って仕込み数を少なくするか、チャンスロスを嫌って
仕込み数を多くするかの、二択しかないのです。ただ、
廃棄をしないつもりなら、本当は来場者予想数の5~
10%程度にしておくと良かったかもしれません。でも、
それも、本当のところは、やってみないとわからない
ことです。むしろ、やってみて、ピンチに立たされた
おかげで、またまた人の輪を熱くさせることができた
のですから、「川野さんらしい仕事ができたな」と、
私は思っています。もちろんご本人は、「冗談じゃな
いよ。ホントに大変だったんだから~」と、おっしゃ
るでしょうが。(ますだ)


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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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先輩経験談に登場いただいた川野さんは
どんな時もいつでも明るく、分け隔てなく誰にでも、
満面の笑顔で話しかけてくださり、
これまで幾度、惚れ惚れと見とれていたことか。
私にはそんな憧れの女性ですが、ひとつだけ、
うふふ、真似をさせていただきました。
「60歳前に車の免許を取得する」とおっしゃっていたので、
私も取りました!原付ですけれどね(笑)。

次号のNICeメルマガ「つながり力で起業・新規事業!」は、
9月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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