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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、 始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。 そんな先輩たちの実体験から学ぶ「起業あるある!」&ワンポイントガイド。
第36回 取引先が悪質な手口で、未入金のまま計画倒産。高い勉強代と割り切り、喜ぶお客さまの笑顔を糧に



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第36回 
取引先が悪質な手口で、未入金のまま計画倒産。
高い勉強代と割り切り、喜ぶお客さまの笑顔を糧に
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 樋口 徹さん 2006年設立
 新潟県十日町市
 
 (有)白羽毛(しらはけ)ドリームファーム 代表取締役
 https://shirahake.com/
 
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冬は豪雪で知られる、新潟県十日町市の白羽毛集落。
高低差が大きい中山間地には棚田が点在し、
その田んぼの中へは、ミネラル豊富な雪解け水が注がれる。
この地で、美しい棚田の原風景を守りながら、
身体にも環境にも優しい独自の米づくりを貫いているのが、
樋口さんが率いるお米職人集団・白羽毛(しらはけ)ドリームファームだ。
産地直送で販売しているこだわりのお米は、全国各地にファンも多く、
さらに生産・販売だけでなく、田植えや稲刈り体験など、
丁寧なお米づくりに直に触れる機会も広く提供している。

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「直販農家あるある、のエピソードですが、
7年程前に、未入金で逃げられるという被害に遭いました。
その前に何度か、小口で取引きをしていた業者だったので、
面識はありませんでしたが、信用はしていました。

その後、いつもの10倍以上の注文が入りました。
あれ?支払いが遅いな、と不安に思った矢先、
『破産手続きを行いました』という封書が届き、それっきり連絡が途絶えました。
ちょうど知り合いがその業者の所在地近くへ出張していたので、
住所のところへ行って、確かめてもらいました。
建物の扉に、破産手続きのお知らせが張ってあり、
それを呆然と見つめていた男性もいたそうです。
たぶん、僕らと同じ手口で被害に遭った人なのでしょう。

どうやら、全国的に農家相手に計画倒産を仕掛ける悪徳業者のようでした。
NICe会員の弁護士さんにも相談して、
警察にも被害届けを出したのですが、
どうにも調べようがないとのこと。泣き寝入りです。
米袋から出してしまえば、お米一粒一粒に、
僕らの名前が書いてあるわけでもないし、
だまし取られたお米がその後、どう扱われたのか、わかりません。
本当に悔しかったです。
心を込めて、子どもを育てるようにお米をつくっているので。

まぁ高い勉強代だったと思って、
以降、新規業者さんには前金・現金払いを取引条件にさせていただいています。
大口の場合は、信頼関係がある第三者に仲介してもらうなど、
用心深くするよう意識を変えました。
お米業者さんの中では、今でも割と昔ながらの前金・現金が
当たり前のように通じるので、渋るところはないですね。
こんな目に遭ったと話すと、
『お米あるある、農家あるあるですよ~』と同情いただきます。
また、個人のお客さまでも、疑ったらキリがないですし、
いい人が断然多いので、人間不信にならずに済んでいます。
自分も、支払う立場の時は、早め早めにして、
相手に不安にさせないようにと、心がけるようになりました。

ありがたいことに、固定のお客さまもついて、
その方がご友人や知り合いにギフトで贈って、
またファンになっていただいたり、
ふるさと納税の返礼品にも選んでいただいたりしています。

『白羽毛のお米を食べたら、ほかのは食べられなくなった』、
そんなふうに褒めてくださる方もいて、
丹精込めてつくっているお米が喜ばれることが、
何よりも嬉しいことですし、本当にありがたいなぁと。
悔しい経験は学びにして、良いお客さまの方へ、意識を向けています。

コロナ禍以前のように、また首都圏にも赴いて、
量り売りの対面販売もしたいです。
『いつ来るの?』と待ち望んでくださる声に
早く応えたいと思いながら、丹精込めて米づくりに励む毎日です」

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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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樋口さんを狙ったのは、「取り込み詐欺」と呼ばれる
犯罪です。取り込み詐欺を働く連中の多くは、小口取
引を重ねて信用を得た後、大口取引を申し出て商品を
手にし、支払いをせず姿をくらませる手口を使います。
また、調査をかわすため、休眠会社を買収して、自分
たちを歴史ある会社だと被害者に思わせるなど、用意
周到なケースも少なくありません。こうした相手の魂
胆を見抜くのは、決して簡単ではありません。ですの
で、しっかりした関係が築けていない相手に対しては、
後払いや手形払いでの支払いは受け入れず、樋口さん
がやっているように、前払いを納品条件にすべきでし
ょう。もっとも、詐欺集団はあらゆる方法で、企業の
スキをついてきます。運悪く被害を受けてしまった場
合は、どこかで気持ちを切り換えて、その分を取り返
すべく、新しい仕事に励む方が賢明です。当時、樋口
さんと電話で話をしました。「悔しいけど、諦めます」
と言っていたのが印象的でした。犯罪者に屈するなど、
本当は納得いかなかったはずです。それでも、気持ち
を切り換えたから、今の活躍があるのです。失敗を引
きずることこそ、何よりの失敗なのだと、樋口さんの
姿勢から学んだ気がします。(ますだ)


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.170
(2022.8.12配信)より抜粋して転載しました。
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