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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、 始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。 そんな先輩たちの実体験から学ぶ「起業あるある!」&ワンポイントガイド。
第22回 退職者が制服返却に応じず、最後はアナログな郵送で催促。 採用面接では、履歴書からは見えない気質を見極める



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第22回 
退職者が制服返却に応じず、最後はアナログな郵送で催促。
採用面接では、履歴書からは見えない気質を見極める

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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 奈切有紀さん 福島県いわき市
 2005年創業・2019年に代表取締役に就任
  
 有限会社フロムゼロ 代表取締役 

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清掃会社本社で経理総務を経験後、法律事務所に勤務していた奈切さん。
元同僚から、「独立したい、一緒に起業しない?」と誘われ、
創業メンバーとして福島県いわき市で会社を立ち上げ、2019年からは代表に就いた。
市内のオフィスや店舗、個人宅のハウスクリーニング業務全般を担う清掃業だ。
同市は2011年に東日本大震災、2019年には台風19号の水害にも見舞われたが、
意外にも、「災害はピンチにはならなかった」と言う。

「創業して15年、困ったことはきっと多々あったでしょうが、
大ピンチ!という記憶がないですね。
震災も水害も、逆に清掃依頼が増えて、どう対応しようかで頭がいっぱい。
たまたま掲載したままにしていた求人情報を見た、という人たちが
応募してくれたことで、急増した依頼にも対応できました。
つい最近でピンチと言えば、退職者から制服が戻らなかったことでしょうか。
たかが制服、されど制服です。

離職率が高いと言われる業界ですが、幸いにも、
うちの会社では離職率は低く、ベテラン揃いです。
それでも、土日祝日も現場へ赴くことも少なくなく、
もちろん本人は同意していて、ご家族も最初は理解を示していても
年月を重ねると生活も変化しますから、ご家族の不満も少しずつ増すのでしょう。
その板ばさみで退職することになった女性でした。
退職の際は、制服をクリーニング後に返却してもらう約束なのですが、
いつまで経っても戻らず、何度電話しても戻らず、とうとう連絡もつかなくなり、
最後にはハガキを送りました。それが意外に効いたようで、
ようやく昨年末に戻ってきたところです。なんと1年もかかりましたが。

同業者の話ですが、採用面接のその場で採用が決まり、
制服を手渡して、『じゃ、明日からよろしく』と
笑顔で面接を終えたのに、
ふと駐車場を見ると、ぽんと制服が路上にころがっていて、
採用したばかりの人が車で走り去ったそうです。それっきり……。
笑い話ですが、制服への思い入れがある経営者としては笑えません。

先の制服戻しに1年要した方は、たまたま私が採用面接をしていませんでしたが、
面接は私が直にするようにしています。
大切に見ているのは、第一印象。見た目ではなくて、気と言うか雰囲気です。
特に霊感があるわけではなく、なんとなく感じる、見えるのです。
スキルやノウハウ、注意点などは、入社後に教育指導していけば習得できますが、
そうではなく、その人が、もともと備えている気質、心根のような気配。
履歴書やデータでは見えてこない部分を感じ取るよう努めています。
その成果か、今いる7名のスタッフは優秀です。

そんなスタッフたちの仕事ぶりに応えるのが、経営者の役目だと、
代表に就いてから、これまで安価で仕事を受けてきたことの改善を図り、
料金改定に努めてきました。残念ながら1社解約となりましたが、
ほとんどの取引先が理解くださいました。
スタッフへのお給料アップと休み増を目指して
気持ちよく働いてもらえるよう、これからも奮闘していきます」

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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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とにかくやる気のある人。それが奈切さんの第一印象。金融機関
が主催したイベントでの講演を終えた私に駆け寄ってきて、あれ
これと質問をぶつけてきたのが出会いでした。その後も、何かに
つけ彼女の質問や相談に答えてきましたが、やはり悩みの多くは
人事にかかわることでした。価格競争の厳しい清掃業界にあって
は、どれだけ受注金額を落とせるかが勝負の分かれ目になります。
しかし、それは半面、スタッフの待遇改善を阻む要因ともなりま
す。奈切さんは、まさに顧客と従業員の板ばさみの日々でした。
「制服事件」の当事者とのやりとりも、相当な労力を要していた
と記憶しています。こういう状況に立たされ続けると、大概の経
営者の精神は擦り切れてしまうものです。ところが彼女は屈しま
せん。なぜ? 彼女は多くの経営者仲間や支援者と強い絆を結ん
でいるからです。その人たちから学び、支えられ、励まされるこ
とも多々あったでしょう。顧客と従業員がいれば事業が営めると
思っている人がいたら、それは間違いです。経営者、つまりあな
た自身を応援してくる人をしっかり掴むこと。これも経営者の重
要な仕事なのです。かくいう私も、奈切さんに、しっかり掴まれ
た一人かもしれません(笑)。そうであれば光栄です。(ますだ)


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.135
(2021.2.12配信)より抜粋して転載しました。
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