vol.135【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第30回:くま、くま、くま!】
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Vol.135 2021.2.12
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第30回 くま、くま、くま!
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第22回 奈切有紀さん(福島県)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第30回 くま、くま、くま!
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赤ちゃんは可愛い。
我が子に限らず、他人の子であっても可愛い。
それどころか、黄色、黒色、白色を問わず、どんな人種の子でも可愛い。
いやいや、人間に限らず、犬の赤ちゃんも猫の赤ちゃんも、全部可愛い。
ここまで例外なく「赤ちゃん=可愛い」となると、
さすがに、何か「ワケ」があるのではないかと思えてきた。
人間特有の感情のようなものというか、何というか……。
さっそく、調べてみた。
やはり、理由があった。
オーストリアの動物学者、ローレンツの研究によれば、
赤ちゃんの顔の特徴が、母性本能や父性本能をくすぐるそうで、
その時に大人が抱く感情が「可愛い」なのだという。
そして「可愛い」と感じると、世話をしたくなり、結果、
子孫を守ることで自分の遺伝子を後世に残す確率を高める。
なるほど、「可愛い」は、人間独特の種の保存のための武器だったのか。
ところで、大人の本能をくすぐる「赤ちゃんの顔」とはどういうものか?
こちらもちゃんと解明が進んでいる。
4頭身かそれ以下の、大きくて丸い頭。
目と耳が顔の中心よりやや下に位置している。
大きくて、なおかつ大人よりも少し離れている目。
鼻は小さくて未発達。口も小さい。
その顔に、丸みを帯びた柔らかい胴体がくっつき、
そこから短めの手足と、太く短い指が備わるとほぼ完璧とのこと。
赤ちゃんそのものだ!
と思ったが、あれ?
なんか、この条件に当てはまるものが、他にもあるような気が……。
そう、ぬいぐるみだ。
ああ、だからなのか。
ぬいぐるみが愛されるわけが、よ~くわかった。
さらに考えを進めてみると、
上記の顔の特徴を体現しているのが……、
そうそう、熊のぬいぐるみだ。
ちなみに2019年に、20~60代の男女1000名を対象にして、
好きなキャラクターを尋ねところ、こんな結果が出た。
1位 トトロ(31.1%)
2位 スヌーピー(30.5%)
3位 くまのプーさん(30.1%)
4位 ミッキーマウス(27.8%)
5位 ドラえもん(27.2%)
6位 ルパン三世(23.2%)
7位 ムーミン(21.9%)
8位 リラックマ(21.4%)
9位 ハローキティ(20.1%)
10位 くまモン(18.8%)
何と、ベスト10の中に、熊キャラが3つもランクイン。
あれやこれやの国民的人気キャラと並んでのこの成績である。
まさに、熊、恐るべし!
だが、熊の実力はこんなもんじゃない。
上記調査は商標を有するキャラを対象にしているので、
一般名称であるところの「あれ」が出てこないのである。
「あれ」が何かは、もう、おわかりでしょう。
言わずもがなの、テディベアである。
夭逝した私の一番弟子も、テディベアづくりの名人だった。
ガンとの闘いの中で取り組み始めたテディベアづくりだったが、
メキメキと腕を上げ、いくつもの大きな賞を射止めた。
熊が、彼女の限られた人生を輝かしいものにしてくれた。
その熊が街中を散歩する写真集『てくてくま』は、無条件に可愛い。
https://tekutekuma.jimdofree.com/
10年前の東日本大震災による福島第一原発事故。
立地する福島県大熊町の人々は、避難を余儀なくされ、
多くの世帯が同県の会津若松市に移った。
その中のひとり、庄子ヤウ子さんは、
大熊町のキャラである「おおちゃん」「くうちゃん」をモチーフに、
避難先の会津地方の名産である、会津木綿を使ってテディベアを作った。
失意の中で始めた手作業に、生きる意味を見いだしていく庄子さん。
「私たちを受け入れてくれた会津と大熊の空を結ぶという願いを込めて」、
庄子さんはアトリエの名前を「會空」に決めた。
「會空」のテディベア、「あいくー」もまた、卒倒するほどの可愛さだ。
中には、どうにも「お間抜け」にしか見えない熊もいて、
それがまた、愛してあげなければ……、という気分にさせられるのである。
https://minne.com/@kuroneko1225
そう言えば、一昨年、同級生が、
赤いチャンチャンコをまとったテディベアをプレゼントされたと照れていた。
還暦祝いの贈答品としても、今や人気絶大の熊さんである。
今回、こんな話を書いているのは、
先日、たまたま見たテレビ番組で、メモリーベアの存在を知ったからだ。
新型コロナ感染症で亡くなられた方のご遺族が、
故人が好んで身につけていた服を作家に預け、
作家はその服の生地を材料にしてテディベアを作るという。
感染症によって亡くなられた方とは、肉親ですら最後のお別れができない。
ご遺族の心の置き場を思うと、気の毒で仕方がない。
新型コロナ感染症による死者は、すでに世界中で230万人を超えている。
その何倍もの数のご遺族が悲嘆に暮れている。
メモリーベアは、そんな方々の明日を生きる気持ちを後押しするだろう。
自分を愛してくれた父や母や夫や妻や、大事な家族に、
感謝の言葉を伝えることもできないままの別れだったが、
可愛い熊に生まれ変わってくれたおかげで、
これからは、ずっと「あなた」を愛していくことができる……。
可愛いとは、お世話をしたくなる感情。
その可愛い者たちのために、頑張ろう、生きようという気持ちの源泉。
想像してみよう。
「大きくて、なおかつ大人よりも少し離れている目」。
ああ、もう、たまらない(笑)。
受難の時代、熊のぬいぐるみの役割は、とてつもなく大きい。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第22回
退職者が制服返却に応じず、最後はアナログな郵送で催促。
採用面接では、履歴書からは見えない気質を見極める
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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奈切有紀さん 福島県いわき市
2005年創業・2019年に代表取締役に就任
有限会社フロムゼロ 代表取締役
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清掃会社本社で経理総務を経験後、法律事務所に勤務していた奈切さん。
元同僚から、「独立したい、一緒に起業しない?」と誘われ、
創業メンバーとして福島県いわき市で会社を立ち上げ、2019年からは代表に就いた。
市内のオフィスや店舗、個人宅のハウスクリーニング業務全般を担う清掃業だ。
同市は2011年に東日本大震災、2019年には台風19号の水害にも見舞われたが、
意外にも、「災害はピンチにはならなかった」と言う。
「創業して15年、困ったことはきっと多々あったでしょうが、
大ピンチ!という記憶がないですね。
震災も水害も、逆に清掃依頼が増えて、どう対応しようかで頭がいっぱい。
たまたま掲載したままにしていた求人情報を見た、という人たちが
応募してくれたことで、急増した依頼にも対応できました。
つい最近でピンチと言えば、退職者から制服が戻らなかったことでしょうか。
たかが制服、されど制服です。
離職率が高いと言われる業界ですが、幸いにも、
うちの会社では離職率は低く、ベテラン揃いです。
それでも、土日祝日も現場へ赴くことも少なくなく、
もちろん本人は同意していて、ご家族も最初は理解を示していても
年月を重ねると生活も変化しますから、ご家族の不満も少しずつ増すのでしょう。
その板ばさみで退職することになった女性でした。
退職の際は、制服をクリーニング後に返却してもらう約束なのですが、
いつまで経っても戻らず、何度電話しても戻らず、とうとう連絡もつかなくなり、
最後にはハガキを送りました。それが意外に効いたようで、
ようやく昨年末に戻ってきたところです。なんと1年もかかりましたが。
同業者の話ですが、採用面接のその場で採用が決まり、
制服を手渡して、『じゃ、明日からよろしく』と
笑顔で面接を終えたのに、
ふと駐車場を見ると、ぽんと制服が路上にころがっていて、
採用したばかりの人が車で走り去ったそうです。それっきり……。
笑い話ですが、制服への思い入れがある経営者としては笑えません。
先の制服戻しに1年要した方は、たまたま私が採用面接をしていませんでしたが、
面接は私が直にするようにしています。
大切に見ているのは、第一印象。見た目ではなくて、気と言うか雰囲気です。
特に霊感があるわけではなく、なんとなく感じる、見えるのです。
スキルやノウハウ、注意点などは、入社後に教育指導していけば習得できますが、
そうではなく、その人が、もともと備えている気質、心根のような気配。
履歴書やデータでは見えてこない部分を感じ取るよう努めています。
その成果か、今いる7名のスタッフは優秀です。
そんなスタッフたちの仕事ぶりに応えるのが、経営者の役目だと、
代表に就いてから、これまで安価で仕事を受けてきたことの改善を図り、
料金改定に努めてきました。残念ながら1社解約となりましたが、
ほとんどの取引先が理解くださいました。
スタッフへのお給料アップと休み増を目指して
気持ちよく働いてもらえるよう、これからも奮闘していきます」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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とにかくやる気のある人。それが奈切さんの第一印象。金融機関
が主催したイベントでの講演を終えた私に駆け寄ってきて、あれ
これと質問をぶつけてきたのが出会いでした。その後も、何かに
つけ彼女の質問や相談に答えてきましたが、やはり悩みの多くは
人事にかかわることでした。価格競争の厳しい清掃業界にあって
は、どれだけ受注金額を落とせるかが勝負の分かれ目になります。
しかし、それは半面、スタッフの待遇改善を阻む要因ともなりま
す。奈切さんは、まさに顧客と従業員の板ばさみの日々でした。
「制服事件」の当事者とのやりとりも、相当な労力を要していた
と記憶しています。こういう状況に立たされ続けると、大概の経
営者の精神は擦り切れてしまうものです。ところが彼女は屈しま
せん。なぜ? 彼女は多くの経営者仲間や支援者と強い絆を結ん
でいるからです。その人たちから学び、支えられ、励まされるこ
とも多々あったでしょう。顧客と従業員がいれば事業が営めると
思っている人がいたら、それは間違いです。経営者、つまりあな
た自身を応援してくる人をしっかり掴むこと。これも経営者の重
要な仕事なのです。かくいう私も、奈切さんに、しっかり掴まれ
た一人かもしれません(笑)。そうであれば光栄です。(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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先輩経験談に登場いただいた奈切さんと
初めて会ったのは、3年前のNICeつながり祭り・
第5回NICeなビジコン本選の休憩時間でした。
初対面なのに、自己紹介もそこそこで、
なぜか猫の話になり、盛り上がった記憶があります。
名刺交換はそのずっと後日……。
今思えば、きっと奈切さんには、
私の猫好き気質がくっきりと見えたに違いありません。
次号は2月22日頃に配信の予定です。
(NICe広報・岡部)
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