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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、 始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。 そんな先輩たちの実体験から学ぶ「起業あるある!」&ワンポイントガイド。
第18回 紹介された仕事先がまさかの貧困ビジネス。 精神的ダメージを乗り越えるのは、人の真心と底力



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第18回 
紹介された仕事先がまさかの貧困ビジネス。
精神的ダメージを乗り越えるのは、人の真心と底力

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 住田正則さん 2008年独立・2013年法人化 
 京都府京都市
 
 行政書士・特定社会保険労務士
 一般社団法人 福祉介護事業志援 夕映舎 代表
 http://www.yueisya.com
 
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“ひとが大事”をモットーに、労務・法務の裏方として尽力し、
くらしの民事法務手続きから、個人や中小企業の経営支援・起業支援、
福祉介護事業の親身なトータルサポートまで、手厚く活動している住田さん。

今はスタッフ8名を抱えているが、独立当初はひとり経営者。
見込み客がなくスタートした住田さんにとって、
知人からの仕事の紹介はありがたく、断る理由などあろうはずがなかった。
「それが甘かった。独立して2年目、ちょうど厄年の歳でした。
知り合いの税理士さんから、『生活保護受給者の支援をしているNPOが、
手伝ってくれる行政書士を探している』と紹介をいただいて。
喜んで!と、そのNPOがある大阪市内を訪ねたのです。
それがまさか、貧困ビジネスだったとは……。

代表者との初対面で、あれ?とは思ったのです。見た感じが。
私もこわもてに見られるほうなので(笑)、いやいや、
人は見かけじゃないと、お手伝いを始めました。
生活保護を受けたいという方々にも会いに出向いて、
一緒に申請の相談窓口へも通いました。
でも、あれ?おかしいなと思うことが次々と起きたのです。

NPOの代表が窓口で怒鳴る。さらに相談者からよくよく話を聞くと、
実際の状況と、窓口で言っている相談内容が違っていたり。
最初は生活にお困りでお気の毒だと、個人的に差し入れを持参すると、
お礼もなく、次はいつくれるのかと言われたり。
さらにこのNPOが、引っ越し会社や不動産会社ともつながっていて、
転居を繰り返させては、支給金から多額の手数料を差し引いたり。

変だ、おかしい、どれも嘘じゃないのか、と私が疑うようになったのを、
NPOの代表も勘づいたのか、次々と案件を言い出して、
『無理です、できません』と断っても、
『大至急やれ!』と、半ば脅しのような電話がかかってくるようになったのです。

手を引きたいと申し出たら、『損害だ!どうしてくれる』と脅されて。
精神的にも参ってしまい、もう、電話が鳴っても出たくないくらいになってしまいました。
本当につらくて、泣きました。

もう関わりたくないと、紹介してくれた税理士に事情を話して、
その人も人からの紹介だったそうで、すまなかったと詫びてくださり、
中に入っていただいたのです。
元の紹介先を訪ねて、一筆書いていただき、
NPOへ解約の契約書と併せて提出し、手切れ金を支払って、
ようやく縁を切ることができました。

後日、NPOの代表と関係者は生活保護費詐取で逮捕され、NPOも解散。
生活困窮者援助を名目にした暴力団組織だったのです。
私も事情を聴取されるかと案じましたが、何もありませんでした。

正味2カ月程度の出来事ですが、自分が情けなくて。
手切れ金も痛かったですが、それより精神的にまいりました。
人を信じて、人とのご縁を大事にしてきて、
まさかこんなことになろうとは……。
精神的な打撃から立ち直れたのは、日にち薬と、家族や仕事仲間のおかげです。
相前後して、福祉介護の方たちとの仕事が始まり、
その方々の夢実現へ向け一緒に頑張ることで
心と体に力が湧いてきました。
人を傷つけるのも人ですが、前へ進む力をくれるのも、やはり、人、だなと。
裏表のない人たちとの関りが、また“ひとが大事”の想いを、
さらに強くしてくれたと感謝しています」

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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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振り返れば「2カ月程度」かもしれませんが、最中は、どれだけ
時間が長く感じられたことか……。起業を果たし、自身が矢面に
立つ中で、初めてわかることはたくさんあります。そのひとつが、
世の中には悪いヤツがいて、それが想像もしないかたちで自己に
関わってくることがある、ということです。詐欺や悪徳商法の標
的にされることもありますし、住田さんの事例のように、不本意
な仕事を強制されることも起こります。それもこれも、多くの新
人起業家は、無防備かつ必死だからです。悪いヤツらはそれを知
っていて近寄ってきます。ですので事前に創業期のリスクを想定
しておくことが大切ですが、実際、すべてに備えることはできま
せん。なので「まずい」と思ったら、早く対処し、金銭的・精神
的損害を最小限に止めることか正解です。悔しいですが、授業料
です。でも、世の中には、素敵な人たちもたくさんいます。そし
て、そういう人たちと共に生きていけるのも、起業家の醍醐味で
す。起業すれば、それ以前には想像もしなかった、いいことや悪
いことが起きますが、その両方が貴重な財産になるのです。住田
さんはコワモテかもしれませんが(笑)、中身は誠実かつ柔和その
もの。生来の資質もあるでしょうが、重ねてきた様々な経験が、
そうした魅力的な人柄を育んだようにも思えます。(ますだ)


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.125
(2020.10.12配信)より抜粋して転載しました。
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