vol.91【増田紀彦の視点・個人事業主の老後は7000万円不足!?】
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2019.6.21
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.91
起業支援ネットワークNICe /
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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
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【1】 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」
厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、
増田代表が送る、視点・分析・メッセージ
第68回
個人事業主の老後は7000万円不足!?
【2】 「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶ新シリーズ
【3】 最新情報
頭脳交換会 in 白河
(産業サポート白河主催 NICe協力)開催レポート
など5本
【4】 活動予定 NICeの主な勉強会
【5】 お知らせ
NICeなビジコン入賞者の活動情報 3本
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「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」
第68回
個人事業主の老後は7000万円不足!?
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【参院選がらみで老後資金問題が炎上】
「老後2000万円不足」問題をめぐって政界が喧しい。
連日のようにニュース番組などで取り上げられている話題なので、
大半の読者は経緯をご存じと思うが、念のため、おさらいをしておく。
6月3日付で金融庁は、金融審議会がまとめた、
「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を発表。
「老後、年金収入以外に2000万円が必要となるので、
早くから資産形成に励むべき」という提言だった。
後でも述べるが、老後の生活を年金だけで賄えない事は周知であり、
今さら大騒ぎをする話でもないと思うが、
「日本人の将来に不安がある」ということを、政府の側から、
しかも参院選の直前に発したために野党が食いつき、
与党が火消しに躍起になっている、というところだ。
【「年金だけでは足りない】は周知の事実】
日本の年金制度は、現役世代から集めた原資を高齢者に渡す仕組みであり、
理論上、現役世代がゼロにならない限り、制度崩壊は起こらない。
ただし、現役と高齢者のバランスが悪くなっていることは事実で、
崩壊はしないが、支給額が減少することはすでに知られている。
実際、政府は2004年に年金制度の大改正を行い、09年と14年の2回に渡り、
「現在の年金より2割から3割は下げる」と公式に発表している。
だから、本当に「何を今さら」なのである。
ただし、不足額が2000万円という決めつけはいかがなものだろう?
【報告書はセグメント別に分析すべきだった】
最近、自民党の石破氏が、
「専門家が何回も会議を開き、一生懸命議論して書いたもの」だから、
報告書を受け取らない麻生大臣の姿勢はおかしいと批判している。
しかし、この報告書は仮定の上に仮定を重ねた数字のオンパレードであり、
さらに、それらの仮定の数字をトコトン平均してしまっているため、
結局は、どの世帯の実態とも一致しないと私は感じている。
極端な例えをすれば、老後1000万円不足の世帯と3000万円不足の世帯があり、
それを足して2で割ったから、2000万円の不足だと言っているようなものだ。
大人数が何度も会合を開いて、その大人数が納得する結論を出そうとすると、
まさに、こうした「平均的」な結論に陥りがちである。
私はそもそも結論を一つにする必要などないと思う。むしろ、
モデルケースを求めるなら、セグメントごとに分析するのが常識である。
実際、全世帯が同じような額の年金を受給するわけではないのだから。
【年金には平屋、2階建て、3階建てがある】
あらためて年金制度の概略を記しておく。
まず国民年金。これは日本在住の20歳以上59歳以下全員が加入する。
よく、給与所得者が加入するのが厚生年金で、自営業者が加入するのが国民年金、
といった説明を見聞きするが、それは正確ではなく、
給与所得者は、国民年金に加えて厚生年金に加入しているということである。
さらに大企業などは厚生年金に加えて企業年金制度を設けている場合もある。
この仕組みを建物に例えて国民年金を1階、厚生年金を2階、企業年金を3階と呼ぶ。
1階だけの国民年金より2階建ての厚生年金や3階建ての企業年金のほうが、
当然、保険料が高くなる。言わずもがなだが、その分、給付も多くなる。
今回の報告書は、厚生年金に加入する、いわゆる2階建て世帯を前提としていて、
平屋に住む国民年金だけの世帯や、3階建てに住む企業年金加入世帯は対象外だ。
付け加えるなら、年金未加入の世帯も考慮されていない。
金融審議会は、最低でも上記の4通り、できればさらに条件を加えて、
10通り前後のモデルケースを発表しても良かったのではないだろうか。
【国民年金の月額給付額は、わずか6万5000円】
さて、あらためて話題にしたいのは、国民年金のみに加入する世帯の問題だ。
このコラムの読者の中には、個人事業を営む人が少なからずいると思う。
その人たちが加入する国民年金の平成31年度保険料は月額1万6410円である。
一方、厚生年金は、毎月の給与と賞与に18.3%の保険料率をかけて算出する。
例えば給与と賞与の合算の平均月収が40万円とすれば、
その18.3%の7万3200円が毎月の保険料ということになる。
この額は、国民年金のみの額の約4.4倍にもなる。
当然、給付にも差が出る。厚生年金加入者は問題の報告書にあるように、
毎月およそ21万円の給付を受けることになるが、
国民年金だけの場合は、毎月6万5000円弱の給付にしかならない。
報告書は、厚生年金加入世帯において毎月5万円強が不足すると言っていた。
であれば、国民年金のみの世帯は毎月20万円不足する計算になり、
30年間、年金生活をした場合の不足額は7000万円以上になってしまう。
2000万円など、どうということはない不足額だ。
【得意技の発見で、年金に頼らず長く稼ぎつつけよう!】
もちろん上述したように、不足額を一律で語ることはできないが、
厚生年金受給者より国民年金のみの受給者の方が厳しいことは間違いない。
だからといって、個人事業主が給与所得者の何倍も蓄財できるわけでもない。
いわんや、給与所得者より所得が低い個人事業主はいくらでもいる。
この事実の方が、よほど大きな問題だ。
では、どうする?
対策は大きく分けて2つ。
ひとつは、事業を法人化させ、役員になって厚生年金に加入する方法。
もうひとつは、年金に頼らず、長く稼ぎ続ける方法だ。
法人化したうえで、長く稼ぐという選択肢もある。
では、60代、70代、そして80代、本当に稼げるのだろうか?
体力をはじめ、いくつかの能力は確実に衰える。時代も変わる。
それでも可能か? 私は可能だと考えている。
誰しも得意なこと、好きなことがある。
その得意なことと好きなことが一致していれば、いくらでもそれに取り組める。
その分野の技量を向上させるための努力も何ら苦にならない。
出来る限り早い段階からそうした分野の仕事を見つけ出し、
習熟し、実績を積み、評価を獲得していけば、活躍する土俵は必ずある。
将来に備えて資産を形成するという考えももちろん大事だが、
それにも増して、生涯続けられる仕事を探し出し、能力を鍛えていくことが、
人生100年時代を迎えた日本人の、何より大事な「備え」ではないだろうか。
<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」 第6回
ご祝儀言葉の社交辞令に過度な期待。
他者視点で強みを再確認し、堂々と職種表明で好転
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶ新シリーズ。
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服部正雄さん
愛知県 建設業専門コンサルティング業 2007年設立
株式会社アイユート
http://www.aiyuto.com/
著書『小さな建設業の 脱!どんぶり勘定』
~事例でわかる「儲かる経営の仕組み」(出版:合同フォレスト)
http://www.aiyuto.com/publication.html
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建設業での長年の経理部長の経験を活かし、中小建設業を専門に、
「脱!どんぶり勘定」の儲かる建設業へと尽力している服部さん。
「長年勤めていた会社もどんぶり勘定でした。
時間はかかりましたが、原価管理ソフトをつくり、
きっちり財務管理ができる会社へと改善し、粗利益を大きく増やしました。
そのやり方を同業他社へ紹介したら、大変喜ばれて、
お褒めの言葉に調子に乗って、54歳で起業したのです。
当時は、原価管理のソフトを販売するつもりでした。
起業前に『独立したらうちの会社にもぜひ来て』とのお声もいただていました。
ところが、いざ訪ねてみると、話は聞いてくれるけれど、注文はなし。
2、3社、同じような反応で、あれ?社交辞令だったかな~と(笑)。
期待しすぎてしまったと反省。
でも、建設業に特化する方針は変えずに、
個々の建設会社に合った改善のお手伝いをさせていただいてきました。
5年くらい経った頃、受講した起業塾の講師から、
『服部さんが今やっているのは、それコンサルだよ。
堂々と自信持って、コンサルと名乗ればいいんだ』と言われたのです。
税理士や中小企業診断士の資格を持っているわけでもないので
自分では思ってもみないことでしたが、
ソフトは営業の入り口にして、コンサルを名乗ろうと軌道修正しました。
この年齢になると、発信するには勇気が要りますが、
何が人生のキーポイントになるか、わかりませんね。
人との出会い、つながりは大事だなと改めて思います。
会社員時代のノウハウは、世の役に立つと、同世代へも伝えたいですね。
年商2億円から70億円位の中小建設業さんのお手伝いをさせていただいていますが、
同じ建設業と言っても、1社1社、状況も背景も社風も異なります。
これからも、コンサルタントというより、臨時経理部長的な立ち位置で、
建設業界に関わるみなさんを幸せにするように、
ご恩返しをコツコツしていきたいと思っています。
日本の地図を描いている、なくてはならない業界ですから」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆ワンポイントガイド
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社会経験十分の服部さんですら、社交辞令を聞いてすっかりその気に
なってしまいました。つまりは、年齢や経験など関係なく、独立する
ときは誰もが1年生だということです。未経験の領域に踏み込むので
すから、不安も強く、ちょっとした言葉に期待をかけたくなりますし、
その期待の根拠が薄弱だという冷静な分析もできません。加えて、と
いうか、そもそも、本当の売り物(強み)が何かということも、この
段階では把握できていないことが多いものです。まさに服部さんもそ
うで、売るべきはソフトウエアではなかったのです。しかし、服部さ
んはめげず、起業塾を受講するなど、独立後の努力を怠りませんでし
た。それが実を結び、自己の強みの発見につながったのです。もしも
「自分はベテランだ」などと見栄を張っていたら、今日の成功はなか
ったでしょう。謙虚であること。新人経営者にとって一番大切なこと
を服部さんは教えてくれています(ますだ)
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NICe最新情報→ /info
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《Report》 6月16日更新
頭脳交換会 in 白河(産業サポート白河主催 NICe協力)
開催レポート
/archives/46148
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《Mr.NICe》 6月14日更新
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」170
<最近の発見> 人望論
/archives/46113
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《Event》 6月13日更新
予定up:6月・7月・8月のイベント、勉強会の予定一覧
/archives/43984
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《Event》 6月12日更新
予定up:9月・10月・11月のイベント、勉強会の予定一覧
/archives/46135
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《Mr.NICe》 6月7日更新
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」169
<最近の提案> 「保険」を掛ける
/archives/45832
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NICeの活動 イベント、勉強会等のお知らせ
/real_schedule
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6月19日(水)&20日(木)東京都港区
7月10日(水)&11日(木)大阪府大阪市
7月31日(水)&8月1日(木)東京都港区
一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会主催
専門知識を学び、防災備蓄の収納プランを提供する
「防災備蓄収納1級プランナー」講座(NICe後援)
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6月24日(月) 埼玉県羽生市、6月26日(水) 北海道札幌市、
6月30日(日)滋賀県草津市、7月14日(日) 広島県南区、
7月21日(日)京都府京都市
一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会主催
防災備蓄準備のための基礎知識を学ぶ
「防災備蓄収納2級プランナー」講座(NICe後援)
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6月25日(火)愛知県名古屋市、7月4日(木)埼玉県さいたま市
7月9日(火)大阪府大阪市、7月18日(木)千葉県千葉市、ほか
8月は『夏休み親子キャンペーン!!』
一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会主催
防災備蓄収納が一目でわかる
「分類マップ・防災備蓄収納カード講座」
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6月27日(木)東京都品川区
第73回広報勉強会(NICe後援)
「広報担当がやってはいけないこと」
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上記はSNS登録を問わずご参加いただけます。
詳細はこちら予定一覧
/real_schedule
これまでの開催レポートはこちら
/real_all
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お知らせ マスコミ掲載
NICeなビジネスプランコンテスト入賞者の活動情報1
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第5回NICeなビジネスプランコンテストで奨励賞を受賞した、田村
雅美さん(エピテみやび 代表/群馬県甘楽町)が、発売中の『ア
ントレ』春号の社会起業家ページに紹介されています。
https://entrenet.jp/magaplaza/index.html
エピテみやび
https://www.epitemiyabi.jp/
また、テレビ東京の番組で紹介された動画もこちらに。
https://www.epitemiyabi.jp/news/2019/04/1365/
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お知らせ 日本酒イベント開催
NICeなビジネスプランコンテスト入賞者の活動情報2
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第3回NICeなビジネスプランコンテスト ファイナル進出・準グラ
ンプリを受賞した、鈴木尚登さん(Be linked 代表/秋田県横手
市)が主催する、「す~さんが持ってくる秋田の日本酒を飲む会」
が通算20回目となりました! 東京と横浜での参加者募集です。
第19弾
https://www.facebook.com/events/1498123340329302/
日時:令和元年6月29日(土)18:30~20:30
会場:ブックカフェ羽月 (京急 穴守稲荷駅前)
参加費:5,800円(税込) 定員:15名
第20弾
日時:令和元年6月30日(日)15:30~18:00
会場:愛知家 西横浜店 (相鉄 西横浜 下車 徒歩5分)
参加費:6,000円 定員 15名
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お知らせ 初代グランプリ、海外の特許も取得
NICeなビジネスプランコンテスト入賞者の活動情報3
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第1回・第2回のNICeなビジネスプランコンテストで、連続グランプ
リを受賞された小倉健二さん(有限会社 ケンテックシステムズ 代
表取締役、一般社団法人ロープ高所作業協会 代表理事/埼玉県川越
市)が、充電ドライバーを動力とした登降器「NSCパワーアッセンダ
ー SHIZOKU」シリーズを開発し、様々な場面を想定した複数バリエー
ションで製品化しました。これは、人や重いモノを充電ドライバー1
本で、楽に上げ下げできるプロ向けの道具です。足場を組むのが難し
いビル高所での工事や、消防・自衛隊、山岳救助などの現場でも非常
に役立ちます。つい先日には、米国とEUの特許も取得されました!
詳細はこちら
https://nsc-power-ascender.kentechsystems.net/
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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「起業あるある!」事例に登場いただいた服部さんは、
なんとつい先日、人生初のラジオ出演をされました!
実直で謙虚で、温かなお人柄そのものの声とお話でした。
こちら、服部さんのブログからお聴きいただけます。
http://blog.aiyuto.com/?eid=411
次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
7月11日頃に配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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増田紀彦代表およびNICe会員への
講演・取材依頼はこちらフォームにて受け付けています
http://ws.formzu.net/fgen/S41692880/
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■ 〒152-0001 東京都目黒区中央町2-6-8-1F
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■ TEL&FAX (03) 6316-9029
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