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vol.228【増田紀彦の視点・第134回 成功体験の落とし穴】



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Vol.228           2025.3.21
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、
 増田代表が送る、視点・分析・メッセージ
   
 第134回 成功体験の落とし穴
 
 
【2】 NICeニュース

 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」310号
 <最近の進化> 日替わり魚鳥木(ぎょちょうもく)
 ほか7本
 

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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

    第134回 成功体験の落とし穴
   
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【大統領たちの見果てぬ夢】

普通に考えれば、時間が逆戻りすることなどあり得ない。

なのに、トランプ大統領もプーチン大統領も、
かつての「偉大なるアメリカ」や、いにしえの「世界に冠たるソ連」を、
取り戻そうと躍起になっている。

トランプ氏は「Make America Great Again」と訴えるが、
このフレーズは、1980年代にレーガン元大統領が使用したもので、
いったい、歴史をどこまで遡るつもりなのだろう。

プーチン氏も同様で、
東欧から中央アジアまでを支配していたソビエト連邦が崩壊して、
すでに30年が経過している。

どちらの大統領の思いも実現不可能だ。
と、私のような一般人は思うが、そう思わないところが、
大国のリーダー特有の思考なのだろうか。

時代の変化に抗い、無理を通そうとすれば歪みが生じ、
反動を招き、四方八方に混乱を撒き散らす。
それすらも彼らは「必要なこと」と開き直るのだろうか。


【建設費の額が大阪・関西万博の問題ではない】

彼らの思い込みは、決して他人事ではない。日本も同様だ。
その最たる例が大阪・関西万博である。

私は2023年12月に配信したコラム、
『安倍派叩きで暮れる「税」の年』のなかで、
万博問題を取り上げて、以下のような考えを記した。
……………………………………………………………………………………

『万博の問題は建設費の問題ではなく、
この取り組みが国際連携や文化・科学の向上に資するかどうか、
そこが問われるべきだ。

それが果たせるなら、目先の収支など二の次だろう。
儲からなくてもやるべきこと、意義のあること、将来のためになること、
そういう事業にこそ、税金を使ってほしいと私は思う。
損得に縛られる民間ではできないことをするのが、政府ではないのか。

万博の責任者は堂々と言えばいい。
「税金を投じる価値がある事業なのだ」と。
言えないのなら言えるまで、内容の深化に心血を注ぐべきだ。

 /archives/53514
……………………………………………………………………………………

しかし、それから1年以上が経過したが、
万博の価値が広く知れ渡ったとは言い難い。

実際には、環境ビジネスをはじめとする革新的な技術が公開される予定で、
仮にこのイベントが万博ではなく、
「持続可能な社会を生み出すための国際商談会」という位置づけなら、
すでに成功が約束されたようなものだ。

万博という枠組みに固執したことが、かえって仇になったと私は思う。
もったいない話である。


【「見せる側」も「見る側」も、盛り上がりはイマイチ】

結果、「つまらない」「出かける価値がない」、
もしくは「入場料に見合うほどのものではない」、
そんなふうに思う人たちを翻意させることができずにいる。
現に国内前売り券1400万枚の目標に対し、販売数は6割程度だ。

盛り上がっていないのは、国内に限らず海外も同様だ。
自前でパビリオンを建設する国は47カ国に過ぎず、
しかも、3月15日時点で建設工事の完了証明を取得した国は、
そのうちの8カ国のみ。
果たして開幕までに47カ国に達するかどうかさえ危うい。

要するに、「見せる側」も「見る側」も、
この行事にさほど期待を抱いていないのが実情だろう。


【大型公共工事に対する過剰な経済効果期待】

なぜ、かくも不人気な万博に、日本は多額の投資をしたのか?
ひとつには、大型公共工事の経済効果に対する過剰な期待だ。

確かに、公共工事が景気浮揚に貢献する側面は否定しないが、
だからと言って、何でもかんでも工事をすればいいというものではない。
費用に見合うパフォーマンスを予測できてナンボである。

むしろ、万博に注ぎ込んだ資金をそっくりそのまま、
地震対策や自然災害対策などの国土強靱化に回すか、
老朽化するインフラ設備の改修に回すほうが効果はわかりやすい。

もうひとつは、万博人気の読み誤りである。


【海外が遠かった時代、万博は夢の祭典だった】

確かに1970年の大阪万博は成功をおさめ、日本経済の成長を後押しした。

当時の盛り上がりを知らない世代に説明するのは難しいが、
ドジャースとカブスの東京ドーム開幕戦なんて、目じゃないというか、
人気絶頂期のSMAPや嵐のコンサートなんて、足許にも及ばないというか、
とにかく、日本全体が万博に夢中だったし、
「日本はどんどんすごい国になる!」という希望が国中に満ちていた。

私の通う小学校で唯一人、夏休み中に万博に行った同級生は、
アメリカのパビリオンで「月の石」を見たものだから、
2学期が始まってからしばらくの間、英雄扱いされるほどだった。

だけど、それもこれも、半世紀以上も昔の話だ。

海外旅行は自由にできない、インターネットはない、
よその国の風景は『兼高かおるの世界の旅』か、
『ゴルゴ13』の背景画でしか見ることができない、
当時はそんな時代だった。だから、
「海外のほうから日本にきてくれる万博」は、夢の祭典だったのだ。

世の中が変化していることを、
おエラいさんたちは、どうして理解できないのだろう……。


【成功要因を分析・検証してこそ、成功体験は価値がある】

いや、本当は、わかっていると思う。

それでも、感動と興奮と歓喜と熱狂と陶酔を、
一度にまとめて味わうほどの成功を体験すると、
その魔力に理性が操られてしまうのかもしれない。

もちろん、成功を体験すること自体は悪くない。
できなかったことかできるようになる。
やりたかったことがやれるようになる。
こうした変化は自信と勇気のもとになり、挑戦意欲を高める効果がある。

だが、より大事なことは、成功をおさめたときは、
なぜ、それができたのかを、
普遍的な要因と、その時代特有の要因とに分けて検証し、
次の挑戦の指針を確立しておくことである。

もっとも、前回の大阪万博からはあまりに時間が経ちすぎている。
そっくりそのまま生かせるような指針など、ほとんどない。
残っていたのは、「万博は無敵」という「古き良き記憶」だけだった。


【成功体験の罠に絡め捕られたビッグモーター】

成功体験の罠は企業にも襲いかかる。

ビッグモーターの不祥事を思い出してほしい。

1970年代のモータリゼーションの波を掴んだ同社は、
自動車の修理・整備で一躍成長を続けた。

しかし近年は、安全技術や運転支援技術のおかげで、
こすったり、当てたり、へこんだりするクルマがすっかり減った。
そうなれば、修理の需要は下がる。

市場が縮小したなら、
別の事業に活路を見出すのが、まっとうな経営者の考え方だ。

しかし同社は、損保会社とのズブズブの関係をつくりあげ、
修理事業で甘い汁を吸い続けていたため、
この市場から引き上げる気になれず、
結果、世間が知る通り、自分たちでクルマに疵をつけて、
修理をするという悪事に手を染めた。


【「成功体験信者」を半面教師にしよう】

犯罪や不祥事こそ引き起こしてはいないものの、
成功体験という名の亡霊に縛りつけられて、
事業分野や企業風土の変革をためらう経営者は少なくないはずだ。

「我が社のトップはミニトランプかミニプーチンだな」。
従業員からそんなふうに揶揄されている経営者もいるかもしれない。

規範や目標を過去に見出す考え方は、
必ず問題を引き起こす。失敗する。そして不幸をもたらす。

私たち起業家や経営者は、大国トップや万博信者の思考と行動を反面教師とし、
時代の変化を直視し、今のあり方を判断すべきだ。

成功を味わいたいのなら、
時代に適したテーマや取り組み方を見つけ、一から挑戦せよ! である。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>



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       NICe NEWS 
    Web更新、勉強会、お知らせ
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《Mr.NICe》 3月14日更新 
  増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」310号
  <最近の進化> 日替わり魚鳥木(ぎょちょうもく)
  /archives/54383
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《Mr.NICe》 3月7日更新 
  増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」309号
  <最近の功徳> 12は、3と4と5で、できている!?
  /archives/54374
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《NEWS》  3月5日更新   
  NICe日記大賞2025 発表!
  2月分の大賞日記 
  「生きがい」という考え
  /archives/47672
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「子どもと一緒に 
  分類マップ・防災備蓄収納カード講座 WEB版」
  4月13日
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-mapcard/
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「防災備蓄収納2級プランナー講座」
  3月27日・28日・30日、4月15日・17日・18日・29日・30日、
  5月6日・14日・18日・26日・29日、他
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2kyuu/schedule/
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「防災備蓄収納1級プランナー講座」
  東京会場 4月21日・22日、大阪会場 6月2日・3日
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-1kyuu/
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「職場備蓄管理者 資格講座 WEB版」
  5月20日
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-manager/
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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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昨年末のメルマガvol.222 /archives/54203
に登場いただいた愛知県の野田哲也さん。
特殊印刷の技術を活かしたオリジナル製品で
ネットショップ事業に挑戦されていますが、
続々と、新作が誕生しているそうです。
また、地域貢献で、中学生の職場体験受け入れも。
活動の様子はこちら。
https://taibi.nagoya/archives/5032

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
4月11日に配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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 増田紀彦代表およびNICe会員への講演・取材
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