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vol.223【増田紀彦の視点・第131回 そろそろ発表。令和7年度税制改正大綱】



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Vol.223           2024.12.18
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起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

今号のNICeメールマガジンは
予告より数日早めてお届けします。


  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、
 増田代表が送る、視点・分析・メッセージ
   
 第131回 
 そろそろ発表。令和7年度税制改正大綱
 
【2】 NICeニュース

 増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」305号
 <最近の温もり> 1年間に何かいいことを108回
 ほか9本
 

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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

第131回 そろそろ発表。令和7年度税制改正大綱
   
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今年の税制改正に関する注目度は過去にない高さで、
「103万円の壁」の引き上げをはじめ、
連日、関連ニュースが大々的に報じられている。

おそらく12月20日には「令和7年度税制改正大綱」が公表されるだろう。
もっとも「壁」の引き上げについては、3党協議が難航しているため、
果たして年内に決着を見るかどうかは不透明だ。

いずれにしても、大綱発表前に私なりの視点や意見を記し、
何が大綱と一致し、何が不一致だったのかを検証することにした。



【手取り増加で伸びる税収。政府はそれを貯め込まないこと】

まず「103万円の壁」の引き上げについて。

それがいくらで決着するか、また、いつ決着するかはさておき、
ある程度の上げ幅であれば、労働時間を制限していた人たちが、
現状より長時間働く可能性は確実に高まる。

企業にとっても労働力の拡充で増収増益が図れるし、
そうなれば、法人税収の増加も見込める。

加えて手取りが増えた労働者の消費が増せば、
その分そっくり消費税収も増加する。

肝心なことは、その税収増を政府が貯め込んだりせず、
積極的に財政出動することだ。
最後の最後で、政府が財布の紐を締めてしまえば、
せっかくの「壁」の引き上げ効果も薄れてしまう。


【「壁」の引き上げは、行政サービス低下を招くのか?】

ところが政治家や官僚の中には、
「103万円の壁」の引き上げに抵抗する人たちもいる。

そういう人たちは、しきりに「壁」の引き上げが、
地方の財政を破綻させると喧伝するが、そんなことにはならない。

仮に地方税収の不足か顕著化するなら、地方交付税法には、
恒常的な財源不足が生じる場合、交付税率を引き上げるという規定があるから、
それに基づいて交付総額を増やすことで対処できる。
(もちろん国は簡単に首を縦には振らないだろうが)

現に47都道府県知事に対して「壁」の引き上げの賛否を調査したところ、
引き上げに反対する知事は一人もいなかった。
(賛成が22、どちらとも言えないが24、無回答は東京都の1)

むしろ地方の関心は、「壁」の引き上げに関連して、
国が地方に対し、どのような財政措置を取るかに向かっている。


【個人事業主にとっての「壁」は48万円】

「103万円の壁」に絡んで私の要望を記したい。

「壁」とは、ご存じのとおり、
給与所得控除の最低額55万円と基礎控除48万円の合計であり、
給与がこの103万円を超えると課税が発生することを意味している。
しかし、給与所得控除が適用されない個人事業主は、
所得が基礎控除分の48万円を超えただけで課税が発生してしまう。

給与所得者は原則として必要経費を計上することができず、
そのため「勤務費用の概算経費」という考え方に基づいて、
給与収入から一定額を控除するルールになっている。
理屈としては妥当だが、細部に問題はないのだろうか?


【サラリーマンvs個人事業主、税負担が重いのはどっち?】

知人の出張マッサージ師に、年間の経費額を尋ねたところ、
「移動のガソリン代くらいで、ほぼかからない」とのこと。

それでも月1万円程度は使うと見積もって、
年間12年万円の経費を使うとしよう。
売上は月20万円で年間240万円と仮定する。

この人が白色申告をしている個人事業主なら、
売上240万円-経費12万円=合計所得228万円
合計所得228万円-基礎控除48万円=課税総所得180万円
課税総所得180万円×所得税率5%=納税額9万円
となる。

一方、この人がマッサージ院に勤務する給与所得者であれば、
給与240万円-給与所得控除80万円※=合計所得160万円
合計所得160万円-基礎控除48万円=課税総所得112万円
課税総所得112万円×所得税率5%=納税額5万6000円
となる。
※給与収入180万1円~360万円は収入額×30%+8万円で給与所得控除額を算出

同様の業務を行って、同様の収入を得たとしても、
給与所得者より個人事業主の税負担が重くなるのが実状である。


【個人事業主の基礎控除を割り増して平等な税負担を】

両者の格差を生み出す根本的な要因が、給与所得控除額の設定だ。
給与240万円に対する「必要経費」と見なされる額が80万円!
収入のちょうど3分の1。これはさすがに過大と言わざるを得ない。

12月12日、与党は「壁」を123万円まで引き上げる提案を行った。
内訳は給与所得控除の最低額を65万円に、基礎控除を58万円にするというもの。
もし、このとおりに決まった場合、
給与所得者と個人事業主の納税額の差はさらに広がる計算になる。

むしろ、給与所得控除の額はもう少し小さくし、
代わりに基礎控除の額を引き上げるほうが適切ではないだろうか。

もっとも2019年までは、給与所得控除65万円・基礎控除38万円だったから、
現状はその頃より改善されているが、それでもまだ実態とは乖離している。

しかし前述の与党提案にあるように、
「壁」の引き上げ方法として、給与所得控除額を再び上げる措置が濃厚であり、
そうするなら、せめて個人事業主の基礎控除を割り増しする制度を導入すべきだ。

「壁」の引き上げに異論はないが、
給与所得者と個人事業主の「壁」のズレの是正についても議論してほしい。


【15%特例の除外など、法人税は増税トレンド】

小規模企業にとって重要な税制が法人税である。

法人税の税率は所得の23.2%と決められているが、特例措置として、
資本金1億円以下の会社は、所得800万円までの部分が15%、
それを超えた部分に23.2%をかけて税額を割り出すことができる。

仮に所得が1000万円なら、原則は232万円の納税だが、特例措置のもとでは、
800万円×15%=120万円 + 200万円×23.2%=46万4000円、
合計166万4000円で済む。その差は65万6000円にもなる。

この特例措置期間が来年3月末で終了するが、
経済産業省は2年の期間延長を要望している。

半面、中小企業であっても売上が10億円を超す会社には、
15%ではなく17%の課税が検討されていると聞く。
また、新たに「防衛特別法人税」という名目で、
もともとの税額に4%を付加する制度も検討されている。

結局、法人に対する課税は総じて強化の方向で、
小規模企業のキャッシュフローに打撃を与えることは避けられそうにない。
経営者の遣り繰りの手腕が問われる展開となりそうだ。


【不安解消に一役買う生命保険料控除の拡充】

もう一つ。生命保険料控除の拡充案も注目したい。

納めた全額が所得から控除される社会保険料と異なり、
生命保険料は最高4万円しか控除されない。これはいささか少なすぎる。

生命保険文化センターが実施した「生活保障に関する調査」によれば、
必要な保障額と実際に加入している保障額には乖離があるという。

具体的には、男性は平均2247万円の保障を必要としながら、
実際には同1373万円分の加入にとどまり、
女性は同1145万円の保障を必要としながら、同647万円分の加入にとどまる。

月々の掛金の負担が大きいと感じるから、こういう結果になるのだろう。
であれば、掛金の控除額を拡充することで、
希望と現実の乖離を狭められる可能性は十分にある。


【まだまだある注目の税制改正ポイント】

「103万円の壁」、法人税率、生命保険料控除などを話題にしたが、
税制改正要望は省庁や政党だけでなく、様々な業界団体などからも提出され、
検討されている措置は数百件を超えるだろう。
それらの中で私が注目している措置は以下である。

<主に個人対象>
■個人型の確定拠出年金=iDeCoの掛金限度額の引き上げ
■住宅ローン減税の子育て世帯優遇延長
■扶養控除の縮小(もしくは現状維持)
■アルバイトなどをする子の年収上限に関する「特定扶養控除」の見直し
■退職金課税の見直し(先送りか)
■暗号資産の分離課税・損失繰越控除の導入
■ガソリン税暫定税率の廃止

<主に法人対象>
■産業用地整備を推進する、「産業用地整備促進税制」の導入
■特定公益増進法人への寄附に関する損金算入限度額の拡充
■環境保全と資源循環を支援する「再資源化促進税制」の導入
■クラウド技術を活用したデジタル関連投資に対する税額控除
■企業版ふるさと納税の延長
■「老朽化マンション再生税制」の導入

ぜひ、みなさんも「令和7年度税制改正大綱」とネット検索して、
自身や自社にかかわる措置を把握し、
そこから事業経営方針や生活のあり方を検討・策定してみてほしい。

一人でも多くの経営者が、いや、一人でも多くの国民が、
自国の税制に関する理解を深め、それらに対する見解を持ち、
議論ができるようになることが、日本経済活性化の下支えになるはずだ。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>



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       NICe NEWS 
    Web更新、勉強会、お知らせ
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《Mr.NICe》 12月14日更新 
  増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」305号
  <最近の温もり> 1年間に何かいいことを108回
  /archives/54247
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《NEWS》
 「防災備蓄収納自慢 BJ-1グランプリ2024」が
  日本テレビ 情報番組「ZIP」で紹介
  https://bichiku-shunou.or.jp/sbsmag241129/
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《NEWS》
  応援御礼&目標達成
  NICeな仲間・豊島大輝さんのクラウドファンディング
  https://camp-fire.jp/projects/800651/view#menu
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《Mr.NICe》 12月7日更新 
  増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」304号
  <最近の財産> 「関係ないようで、実は関係ある」を見つける
  /archives/54195
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《NEWS》  12月6日更新   
  NICe日記大賞2024 発表!
  11月分の大賞日記
  「拾えばタダなのに」
  /archives/47672
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《NEWS》 
  NICeな仲間・平井良明さん
  ラジオ番組スタート
  「福岡を元気にするラジオ こんねくと」
  StandFM
  https://stand.fm/episodes/674c6a90aa36558fc4807680
  YOUTUBE
  https://www.youtube.com/watch?v=9jBK6MJ3cJM
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「職場備蓄管理者 認定資格講座」
  2025年1月7日 WEB
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-manager/
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「防災備蓄収納1級プランナー 認定資格講座」
  2025年1月27日&28日 東京
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-1kyuu/
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《Seminar》
  一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
 「防災備蓄収納2級プランナー認定講師 資格講座」
  2025年2月25日&3月25日
  2025年2月23日&3月23日
  https://bichiku-shunou.or.jp/qualification/qualification-2koushi/
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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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先月のメルマガに、応援お願いを載せた
NICeな仲間・豊島大輝さんのクラウドファンディング。
ご声援ありがとうございました、目標達成です。
『しつこい疲れがみるみるとれる!リトリート休養術』
すばる舎より12月13日出版・販売となりました。

今年も1年間、どうもありがとうございました。  
寒さも本番、みなさん、
どうぞ心身温かくしてお過ごしくださいね。
何かいいことを108回、思い描けるような
朗らかな年の瀬となりますように。

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
2025年1月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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