増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」305号 1年間に何かいいことを108回
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<最近の温もり> 1年間に何かいいことを108回
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飲み屋のオヤジが突然、こんなことを言い出した。
「除夜の鐘は、なぜ108なんだべ?」
煩悩の数じゃなかったっけ?
などという、ありきたりの回答では、明らかに納得しそうもない雰囲気。
「四苦八苦にかけて、四九(三十六)と八九(七十二)で、
足すと108とか言うけど、そりゃ後付けだすな」とオヤジ。
しばらく黙って聞くことにした。
オヤジの表情は、口を開く前からすでに得意気になっている。
「108は、12を9倍したわけさ」
ん? 確かにそうだけど、そもそも12や9はどこから出てきたの?
と、ちょっと疑問を呈してみた。
「時計さ。時計は12っしょ」
じゃあ9は?
「それがわがんねんだ。9とは何ぞや。問題だ~~」
何だそれ(笑)……。
いい加減な話と思いつつも、なんか、妙に面白い(笑)。
「9の前に、まずは12だな。3と4と5を足すと12になるべさ」と、
またまた変なことを言い出すオヤジ。
とりあえず、先を聞こう。
「12の場合、それ以外の整数の組み合わせは存在しないわけさ」
「えっ、1と2と9でも12だよ」
「そうなの? ああ……んだすな(そうですね)」
それで12の話も、元々の108の話も終わってしまった。
つまらない反論のせいで、愉しいやりとりを潰してしまったと後悔しつつ、
オヤジの顔を覗くと、あらまあ、いつの間にやら居眠りを始めている。
だったら、フォローしなくてもいいや。
フォローはしなくてもいいが、
3+4+5が12で、だから何だったのか、気になる。
ま、いいか。
1月にまたこの店を訪ねる予定だから、その時に聞けば。
それにしても、もう除夜の鐘が話題になる時期なんだなあ。
108か……。
そうだ。年が明けたらオヤジにこう説明してやろう。
12×9の12は、時間じゃなくて1年の月数のこと。
だから毎月何かを9回やれば、1年で108回になり、
除夜の鐘は、それを達成したことを祝い、同時に、
新年もそれを継続しようとする心意気を鼓舞するものなのだと。
当然、「何を9回やるのさ?」と尋ねられるだろうから、
「それは自分で決めたらいいんじゃない」と答えてみよう。
そうしたら、オヤジはニッコリ笑ってこう言ってくれるはず。
「んだすな(笑)」
秋田県横手市の雪に埋もれた小さな飲み屋の、小さな小さな温もり時間。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第305号(2024/12.9発行)より一部抜粋して掲載しました。
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