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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」301号 ストライクゾーン



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<最近の学び直し>  ストライクゾーン
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投手が投げ、打者が打つ。
野球はこのルーティンを繰り返すスポーツだが、
投手の投げたボールがストライクか否かで、いつも揉めている。

「打者の肩の上部とズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、
ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間」を通過すればストライク!

ん~~、わかりづらい(笑)。

まあ、意味が理解できたとしても、「水平のライン」は、
実際に目に見える線ではないから、それが「どのあたり」か、
見る人によって1mmや2mm、いや、1cmの違いがあっても全然おかしくない。

加えて「本塁上」の判断も難しい。
五角形をした本塁のどこか一カ所の真上を、
1mmでも、いや、0.1mmでもボールが通過していればOKということだが、
時速150kmや160kmで飛んでくるボールの位置など見極められるだろうか。

要するに、高さにせよ、左右にせよ、すべての投球を、
完璧に判定するなど、あり得ないことであり、ゆえに、
審判が「ストライク」と思えば、ストライクなのである。

ただそうなると、
審判ごとに「ストライク」の範囲が異なってしまう。
いや、同一人物ですら、日によってその範囲が変わることがある。

だから選手たちは、その日の審判の傾向を早く把握し、
「この人は、このへんならストライクと言うだろう」、
「この高さだと、今日はストライクにはならないな」などと考えを巡らせて、
投げるボールや打つボールを決める。
一流のプロ野球選手なら、そういうことが普通にできる。

しかし、超一流の選手は、もっと違う考え方をしていた。

「その日の審判に合わせてストライクゾーンを判断することも、
短期的には必要かもしれないが、
長期的には、やはり自分のストライクゾーンを信じるべき。
自分がストライクだと思ったボールを打ち、
審判がストライクだと言っても、自分がそう思わないのなら打たない。
長いシーズンを考えれば、どちらがいい結果を生むか明白だ」と。

大谷翔平選手の言葉である。

このコメントを残した日、大谷選手はチャンスの場面で三振を喫している。
「打つべきボールではない」と思いつつ、
その日の審判なら、そのボールを「ストライク」と言うだろうと考え、
無理してバットを出し、案の定、空振り三振となってしまったのだ。
そのことを悔やみ、反省し、原則を思い起こしたのだろう。

翌日から太谷選手はガラっと変わり、瞬く間に「50-50」を達成した。

状況に応じたふるまい。
状況に流されないあるべき姿。

どちらも大切だ。だからこそ悩む。

顧客の要望には応えたいし、応えるべきだが、一線はある。
自社の方針は守りたいし、守るべきだが、例外はある。

どこまで顧客に合わせるのか、合わせないのか。
どこまで自社の決め事にこだわるのか、こだわらないのか。
この判断の正否がビジネスの成否を分けるのかもしれない。

大谷選手のコメントをニュースで読んだとき、私はハッとした。
その中に我が起業家人生の縮図を見たからだ。

本意を曲げて譲った結果の失敗やら、
怖くても苦しくても、筋を通した結果つかんだ成功やら、
あれやこれが走馬灯のように脳内を駆け巡った。

そして、あらためて思った。いや、学び直した。

何が正しいか。言い換えれば、どこまでがストライクゾーンか。
それは、やはり自分自身が決めることなのだと。

審判に合わせた結果が、チャンスに三振……。
そんな後悔は、これからの人生、私もしたくない。

顧客や取引先に合わせて正否を判断することも、
短期的には必要かもしれないが、
長期的には、やはり自分のストライクゾーンを信じるべきだ。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第301号(2024/10.07発行)より一部抜粋して掲載しました。
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