第61回 脱「固定」
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第61回 脱「固定」
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今年の初め頃だったか、八戸市美術館の正面に掲げられた、
「八戸市美術館」と記した銘板の中の【美】の字が脱落してしまい、
急遽、館長がスチレンボード(いわゆる発砲スチロール)で、
【美】を手作りし、修復までの期間をしのいだというニュースを見た。
その時に私が思ったのは、【美】の字が取れてしまったのなら、
完全に元通りにするのではなく、
いっそ、その部分の文字を着脱可能にしておけばいいということだった。
そうすれば、展示内容やイベント内容に応じて、
【美】の代わりに、さまざまな文字を入れることができる。
ふだんは正式名称の「八戸市【美】術館」でいいが、
例えばトリックアートの展示を行うなら「八戸市【魔】術館」。
機械や道具などを展示するなら「八戸市【技】術館」。
忍者に関係する展示なら【忍】術館。
医療や人体に関連する展示なら【手】術館もしくは【医】術館。
ちょっと強引な企画だけど(笑)。
展示だけではなく、「八戸市【算】術館」という銘板を掲げれば、
算盤(そろばん)の全国大会決勝戦を誘致できるかもしれない。
「八戸市【奇】術館」にすれば、マジックのイベントも誘致できそうだ。
いずれにしても、
「物」を固定させなければ、「事」も固定させずに済む。
だから、ビジネスチャンスは広がる。
ところが、銘板や看板に限らず、
固定させておくことが得策というわけでもないのに、
固定されたままの「物」や「事」があちこちに存在している。
「決めたから」「作ったから」「昔からそうだから」、
あるいは単に「変えるのが面倒だから」ということか。
とはいえ、世の流れを長期に追ってみると、
かつては固定されていたものが、
調節可能になったり、着脱可能になったりと、
あらゆる分野のビジネスが脱「固定」的な進化を遂げてきたのも事実だ。
一昔前は本棚も食器棚も、棚板の位置は固定されていたが、
今では収納物の大きさに応じて棚の位置を変更できるのが当たり前。
ドライバーもかつてはマイナスとプラスは別々だったが、
今はひとつの柄に先端を付け替えれば済むように進化した。
照明器具の光量も調節できるようになった。
物干し竿の長さも自在に変えられるようになった。
収納容量を拡張させられるキャリーケースも増えた。
自転車は折り畳める。布団は圧縮できる。
最近、把手を取り外せる台車を見た。
取り外せると言えば、長袖が半袖やノースリーブになる服も出回っている。
屋外広告や鉄道広告もデジタル化したから瞬間的に表示が変わる。
そう言えばプロ野球チームのユニフォームも、
行事やキャンペーンに合わせてデザインが頻繁に変わるようになった。
つまり、長く生き残っているビジネスの多くは、
固定されていることが常識だった「物」や「事」を、
変動可能な「物」や「事」に改善・改革・革新することで、
ニーズをつかみ、チャンスをものにしてきたビジネスだと言える。
さあ、さっそく周囲を見回して、
脱「固定」されていない「物」や「事」を探し出してみよう。
そこにチャンスあり!
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「つながり力で起業・新規事業!」
メールマガジンVol.213
(2024.7.11配信)より抜粋して転載しました。
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