第60回 「RE BUS」(大型バスの再生)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第60回 「RE BUS」(大型バスの再生)
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大昔の話。
オンボロの大型バスのボディに、サイケデリックなペイントを施して、
スナックか何かを営むヒッピー集団が、突如、私の住む町に現れた。
初めて目にする極彩色の曼陀羅模様に、子どもの私は度肝を抜かれた。
そして思った。「自分もあんなバスが欲しい」と。
無謀なはずのその念願が、わずか1カ月内外で叶ってしまう……。
とある日のこと。白い軽トラが自宅の近くに停まっていた。
荷台を覗くと、ペンキの缶がどっさり積まれている。「これだ!」
私は下級生たちを呼び集め、
彼らとともに、全身全霊を傾けてトラックに塗装を施した。
ヒッピーたちのバスに比べれば迫力には欠けるが、
それでも、いっぱしのアートな雰囲気は漂った。満足だった。
果たして弁償費用がいくらになったのか、
どの家の親がどれくらい負担したのか、
私はまるで知らないし、厳しい叱責を受けた記憶もない。
世の中の誰もが今より寛容だった。
こんな「古き良き悪さ」を思い出すきっかけになったのは、
姫路市の女性起業家を取り上げたテレビニュースだった。
この人、大型バスを改造し、車内にサウナ風呂を作って営業しているという。
ニュース映像が、市街地を走行する「サウナバス」を映し出した。
行き先表示の電光文字が「蒸37 サウナ」となっていてウケた。
ちなみにナンバーは1137。「いいサウナ」と読ませるのだろうか。
インタビューに応じていたのは、株式会社リバースの松原安理佐さん。
社名のリバースは、「REBIRTH(生まれ変わらせる)」に加えて、
「RE BUS(バスの再生)」という意味も込めているそうだ。
いやいや、盛り上がる。バスの再生。これはいい。
そう言えば、テレビドラマ『不適切にもほどがある』の中では、
路線バスに見立てたタイムマシンが登場していた。
こうなると、アイデア(もしくは妄想)が止まらない。
ちなみにサウナバスの改装費用は1000万~1500万円ほどとか。
思ったほど高額ではないと感じた。
営業が順調なら、さほどの時間をかけず回収可能な額だと思う。
ということは、
サウナほどの設備費用や建築設計費用がかからないビジネスなら、
1000万円未満での開業が可能ということだ。
さあ、何ができる? どんなニーズがある?
「パチンコバス」はどうだ?
バスの長細い形状から考えると、実現性はありそうだ。
ただ、景品交換所の設置が悩ましいか……。
次。ん、待てよ?
サウナじゃなくてもいいよね。檜風呂とか大理石風呂とかでも。
名付けて「バスのバス」。
汲み上げてきた温泉を使う手もある。
でも、保健所から何か言われそうな気がするなあ。
なら、ゴルフはどうだろう。
シミュレーターを設置する。当然、パターもできる。
グリーンのアンジュレーションを電動で変化させてもいい。
これなら規制にかからないはずだし、確実に儲かる(たぶん)。
あ、そうか。車両を1台に限定する必要はないか。
「ゴルフバス」で汗をかいたら、「バスのバス」に移ればいい。
それだったら、ヒッピーたちがやっていたような、
「飲み屋バス」も連れてくれば、さらに売上は伸びる。
「移動式ラウンドワン」か(笑)。
セット料金あり。回数券あり。会員優待あり。ああ、イメージが広がる~~。
こんなアイデアなら100でも200でも浮かぶ。
それだけ私の頭脳が優れている。
という話ではまったくなくて、
それだけバス再利用の可能性が広いという話である。
このビジネスはいける。開業と成功を目指して、出発進行!
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「つながり力で起業・新規事業!」
メールマガジンVol.209
(2024.5.13配信)より抜粋して転載しました。
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