増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」289 「お客様は神様じゃない」。なら、何?
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<最近の提言> 「お客様は神様じゃない」。なら、何?
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自宅のポストに都議会議員からのチラシが投げ込まれていた。
『お客様は神様じゃない!? 急げ カスハラ対策』と見出しが打ってある。
カスハラ、つまりカスタマーハラスメント。
接客するスタッフに対し、執拗なクレームをつけたり、
暴言や脅迫まがいの態度を取ったりする顧客の行為のこと。
実際、スーパーの店頭や銀行、役所の窓口などで、
激昂している人を見かけることがある。
顧客の罵詈雑言を一身に浴び続けるスタッフの辛さは想像に難くない。
それが原因で心が傷つき、その傷が病に至ってしまうこともあるだろう。
穏やかに話せとまでは言わないが、
抗議をするにしても、もう少し冷静になれないものかと、いつも思う。
とはいえ、何が原因でトラブルが起きたのか、端で見ている分にはわからない。
私の経験上、販売員や窓口担当者の中には、
あまりに失礼だったり不遜だったり横暴だったりする人もいる。
そういう接客側の問題から、事態がこじれることもあるはずだ。
もちろん理不尽な要求やイジメのような言動をする顧客もいるが、
中には、接客技術を磨こうとしない企業や団体、役所などが、
これ幸(さいわい)と昨今の風潮に乗って、
「カスハラだ」と、騒ぎ立てているケースもあるのではないか。
昔、歌手の三波春夫さんが流行らせた、
「お客様は神様です」をもじって、
「お客様は神様じゃない」と主張する流れが出てきた。
そんなことは当たり前の話だ。
お客様は神様じゃないから、
へそを曲げる。無茶を言う。駄々をこねる。頭に血がのぼる。
お客様は人間である。
店頭や窓口を訪ねるお客様の中には、
心中に様々な思いを抱えている人も少なくない。
小売業や飲食店業、宿泊業、公務を含むサービス業といった、
接客の技量が問われる業種の真髄は、
さまざまな要望や感情を心の内に抱える顧客たちに、
気持ちよく用事を済ませてもらうことだ。
人手不足の折り、従業員に辞められたくない経営者の気持ちはわかる。
だが、それを理由に従業員の接客技術の向上を諦めれば、
かえって経営に悪影響をもたらすことは自明の理である。
接客側と顧客側、どちらも満足感を抱くためにはどうすればいいか。
こういう時代だからこそ、経営者にはそれを必死で考えてほしい。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第289号(2024/4.8発行)より一部抜粋して掲載しました。
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