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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、 始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。 そんな先輩たちの実体験から学ぶ「起業あるある!」&ワンポイントガイド。
第52回 もっともらしい理由を口実に、商談から締め出し。県外から情報を収集し策を練り、実務経験者を突破口に再始動



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第52回 もっともらしい理由を口実に、商談から締め出し。
県外から情報を収集し策を練り、実務経験者を突破口に再始動

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 志賀晶文さん 2014年就任(1950年創業)
 福島県いわき市
 
 志賀塗装株式会社 代表取締役
 https://kamikuborumiko.com
 
 株式会社わが家 代表取締役
 https://www.iwaki-chuko.com/

 一般社団法人 日本ハウスメンテナンス協会 理事
 一般社団法人 全国市民リフォームサービス 代表理事


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学生時代に東日本大震災を体験し、卒業後はすぐ家業に入社、
2年後に代表に就いた志賀さん。
住宅リフォーム会社ゆえに、「復興需要でさぞ潤ったのでは」と
思われがちだが、実情は真逆だった。
従業員や職人たち、取引業者も被災し、
人も仕事もなく、倒産を覚悟した時期もあったという。
できることをコツコツ積み重ねようと、
生活上での小さな困りごとや小さな工事に特化した、便利屋サービスを始動。
さらに、志賀さんは新規事業プランを熟考して準備を重ね、
中古住宅の仲介とセミリノベーションを
ワンストップで行う「わが家」事業を2020年に立ち上げた。

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「家や土地の売買は、相続問題なども絡んでくるので、
すんなり動く案件ばかりではないことは覚悟のうえでした。
必要な知識や情報を私自身も学びながら、
専門分野はその道のプロに任せ、顧問弁護士も入れ、
社員たちの資格取得など、策を練ってスタートしたのです。
そのはずなのに、起ち上げて1年ぐらい経った頃のことです。
物件が入手できない状態に陥りました。

不動産情報は法律上ほぼオープンなので、
その情報を見て、売買の商談をするのが一般的なのですが、
いつ問い合わせても買えないのです。
「その物件は商談中です」「たった今売れました」
「志賀さんの順位は今3位です」というように、
あれこれ、それらしい理由は付くのですが、一向に商談が進まない。
もちろん事業立ち上げ時に、必要な手続きや準備を重ねて、
志賀塗装の社内から生え抜きの人材を2人トップに配置していました。
宅建業免許など必要な資格も万全。それなのに、なぜか動かない。

しばらくは、リフォーム事業のほうで挽回できると思えたので、
焦らず気持ちの切り替えはできましたが、どうにも困りました。
他県の同業者に相談したり、各所に情報を聴きに行ったりするうちに、
どうも、様子見をされているのでは、ということが分かってきました。
もっと簡単に、相談して話し合って売買しているものかと思っていましたが、
新参者ならではの通過儀礼なのか、
締め出されている、というか、垣根をつくられた、というか。
そこで、不動産売買事業の実務経験者をヘッドハンティングしました。

必要な資格や手続きさえ整えていればいい、というものでもなく、
実際のところ、やはり商売は机上の想定とは違って、人間と人間。
専門性だけでもなく、業界の素地や経験があって、
そのうえで成り立つものだと痛感しました。
おかげで、今では100軒を越す物件を取り扱っています。

同じように、家もまた、人と人だと実感しています。
実際に、現場でお客さまが大切にしてきた家を前に、
お話を伺うことがあるのですが、
家を売ろうとお考えの方が、早く現金を入手されたいのかと思いがちですが、
それだけでない、想いというか愛着と言うか。
家族の思い出とか、間取りの工夫とか、どういう思いでこの造りにしたとか、
気持ちが深く込められていることをひしひしと感じます。
それらは、他人や企業にとっては、単なる2次情報に過ぎませんが、
建てた時の思い出や経緯、住んでからの思い出や想いも汲み取って、
この事業、中古リノベーションを発展させていきたいと思っています。
感情的な理由だけではありません。
中古住宅の市場シェアは、欧米に比べ、日本はとても低いのです。
近年急増している空き家問題、地域の経済的損失も大きいですよね。
それらの問題も解決して、豊かな暮らしを紡いでいく。   
将来、我が家を持とうと夢見る若い世代が、
選択肢に、中古リノベーションを挙げてもらえるよう、頑張っていきます」


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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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不動産業を開業すると、通常は不動産協会に加盟
します。加盟は強制ではありませんが、加盟しな
いと「レインズ」と呼ばれる不動産物件の流通情
報ネットが利用できないからです。ところが、レ
インズで好物件を見つけて問い合わせても、志賀
さんは商談をさせてもらえませんでした。この事
態は志賀さんが単に新参者だったからではなく、
新築神話一色の不動産業界に、中古住宅のリノベ
ーション販売という、新しい流れを生み出そうと
していることへの、業界の反発や警戒もあったと
推測します。私はこの事業の構想段階からお話を
聞いてきましたが、いつも、志賀さんの情熱に胸
を熱くし続けてきました。でも、理想を掲げるだ
けでは、ことは動きません。そこを汲み取り、業
界経験者という「武器」を手に入れ、人と人との
土俵で勝負できるように段取った志賀さんの判断
はさすがです。何事も最後は人と人の信頼関係。
あらためて人間関係構築の大切さを痛感させられ
るエピソードでした。(ますだ)

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.207
(2024.4.11配信)より抜粋して転載しました。
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