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vol.207【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」:第59回 「附帯関連する一切の事業」】



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Vol.207           2024.4.11 
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。

  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】シリーズ増田紀彦の
  「ビジネスチャンス 見~つけた」

  第59回 「附帯関連する一切の事業」
   
【2】先輩経験談 
   あるある!ピンチ&リカバリー

  第52回 志賀晶文さん(福島県)
  
   
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

  第59回 「附帯関連する一切の事業」
   
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会社をはじめとする大半の法人組織は、
定款(ていかん)に基づいて運営される。

定款とは、商号(社名)や目的(事業内容)、本店所在地といった、
その法人の基本事項を筆頭に、運営方法や意思決定方法、
役員や会計などに関する決まり事を厳密にとりまとめたものだ。

今回は、その中の目的(事業内容)にフォーカスしたい。
この目的の条文にこそ、ビジネスチャンスを探るヒントが隠されている。

まずは、一般社団法人起業支援ネットワークNICeの、
定款に記載されている目的を見ていただきたい。

………………………………………………………………………………………
(目的)
第3条 この法人は、雇われずに生きる人、また、
地域発展や社会貢献に尽力する人の活動を支援することを目的とし、
その目的に資するため、次の事業を行う。
一 インターネットを利用した各種情報提供
二 イベント・セミナーの企画及び運営
三 書籍の企画及び出版
四 地域振興事業
五 その他、当法人の目的を達成するために必要な事業
………………………………………………………………………………………

自分で言うのもなんだが、これはちょっとカッコつけた書き方だ(笑)。
通常は、以下に掲げる、
私が代表を務める株式会社タンクの定款のような書き方になる。

………………………………………………………………………………………
(目的)
第2条 当社は以下の事業を行うことを目的とする。
一 広告代理業及び各種の宣伝・広報に関する業務
二 書籍・雑誌の企画、編集、制作、出版及び販売業
三 写真業
四 印刷業
五 その他前各号に附帯関連する一切の事業

これを書いたのは私が27歳のとき。
同業の先輩経営者に頼んで定款を見せてもらい、
9割方、真似をさせてもらった。

ただ、上記の五の意味合いがいまひとつ理解できず、
後日、知り合いの税理士に「これは何?」と尋ねてみた。

「この一行を入れておけば、
将来、目的に書いていない事業を始めても大丈夫ということ」。
そんな説明を受けたと思う。

前提として、法人は、
定款に記載した事業しか取り組むことができない決まりがある。
だから、「その他前各号に附帯関連する一切の事業」と入れておくことで、
定款違反を回避するための方途になる。

恐らく、この一文を定款作成上の単なる常套句と思っている人もいるだろう。
しかし、この一文こそ、新規事業のタネを見つけ出す有効な視点だ。

見事に、それを実践している会社がある。

神奈川県に本拠を置くタムラコーポレーションさん。
同社の基幹事業は運送業だが、
「運ぶ+1」をスローガンに掲げ、
ありとあらゆるビジネスチャンスをものにしている。

私は同社を訪ねたことがなく、あくまでネットで知る限りだが、
同社のサイトを眺めているだけでもワクワクしてくる。
「そうか。こうやって新規事業のヒントを見つけるのか」と。

たとえば、同社は小売店に商品を搬送する。
一般的な運送会社なら、納品が済めばその店を離れるだろう。
だが同社は搬入終了後、商品の陳列まで代行する。

あるいはイベントが開催されれば、
同社は会場まで、運営のための機材や資材、設備などを搬入するが、
その後の会場設営や開場準備も請け負う。

運送の後行程だけではない。
ポスティングを手がける同社は、事前の封入作業も請け負っている。

あるいは配送ルートのエリア内にある不動産物件の撮影も代行する。
ほかにも多くの「+1」を手がけている。
とにかく、運送業務の「前」や「後」や「隣」や「中」にある、
ありとあらゆる「附帯関連する事業」で同社は収益機会を広げている。

新規事業は決して難しくない。
むしろ、難しいと感じる新規事業に手を出さずとも、
よくわかっている事業領域のすぐそばに、チャンスがあるということだ。

そういう視点で取り組む新規事業は、
言うまでもないが、本業の収益アップにも貢献する。

さあ、単に載せただけの「附帯関連する事業」について、
一度本気で探ってみよう。そこには、必ずニーズが潜んでいるはずだ。




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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第52回 もっともらしい理由を口実に、商談から締め出し。
県外から情報を収集し策を練り、実務経験者を突破口に再始動

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 志賀晶文さん 2014年就任(1950年創業)
 福島県いわき市
 
 志賀塗装株式会社 代表取締役
 https://kamikuborumiko.com
 
 株式会社わが家 代表取締役
 https://www.iwaki-chuko.com/

 一般社団法人 日本ハウスメンテナンス協会 理事
 一般社団法人 全国市民リフォームサービス 代表理事


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学生時代に東日本大震災を体験し、卒業後はすぐ家業に入社、
2年後に代表に就いた志賀さん。
住宅リフォーム会社ゆえに、「復興需要でさぞ潤ったのでは」と
思われがちだが、実情は真逆だった。
従業員や職人たち、取引業者も被災し、
人も仕事もなく、倒産を覚悟した時期もあったという。
できることをコツコツ積み重ねようと、
生活上での小さな困りごとや小さな工事に特化した、便利屋サービスを始動。
さらに、志賀さんは新規事業プランを熟考して準備を重ね、
中古住宅の仲介とセミリノベーションを
ワンストップで行う「わが家」事業を2020年に立ち上げた。

    -------------------------
「家や土地の売買は、相続問題なども絡んでくるので、
すんなり動く案件ばかりではないことは覚悟のうえでした。
必要な知識や情報を私自身も学びながら、
専門分野はその道のプロに任せ、顧問弁護士も入れ、
社員たちの資格取得など、策を練ってスタートしたのです。
そのはずなのに、起ち上げて1年ぐらい経った頃のことです。
物件が入手できない状態に陥りました。

不動産情報は法律上ほぼオープンなので、
その情報を見て、売買の商談をするのが一般的なのですが、
いつ問い合わせても買えないのです。
「その物件は商談中です」「たった今売れました」
「志賀さんの順位は今3位です」というように、
あれこれ、それらしい理由は付くのですが、一向に商談が進まない。
もちろん事業立ち上げ時に、必要な手続きや準備を重ねて、
志賀塗装の社内から生え抜きの人材を2人トップに配置していました。
宅建業免許など必要な資格も万全。それなのに、なぜか動かない。

しばらくは、リフォーム事業のほうで挽回できると思えたので、
焦らず気持ちの切り替えはできましたが、どうにも困りました。
他県の同業者に相談したり、各所に情報を聴きに行ったりするうちに、
どうも、様子見をされているのでは、ということが分かってきました。
もっと簡単に、相談して話し合って売買しているものかと思っていましたが、
新参者ならではの通過儀礼なのか、
締め出されている、というか、垣根をつくられた、というか。
そこで、不動産売買事業の実務経験者をヘッドハンティングしました。

必要な資格や手続きさえ整えていればいい、というものでもなく、
実際のところ、やはり商売は机上の想定とは違って、人間と人間。
専門性だけでもなく、業界の素地や経験があって、
そのうえで成り立つものだと痛感しました。
おかげで、今では100軒を越す物件を取り扱っています。

同じように、家もまた、人と人だと実感しています。
実際に、現場でお客さまが大切にしてきた家を前に、
お話を伺うことがあるのですが、
家を売ろうとお考えの方が、早く現金を入手されたいのかと思いがちですが、
それだけでない、想いというか愛着と言うか。
家族の思い出とか、間取りの工夫とか、どういう思いでこの造りにしたとか、
気持ちが深く込められていることをひしひしと感じます。
それらは、他人や企業にとっては、単なる2次情報に過ぎませんが、
建てた時の思い出や経緯、住んでからの思い出や想いも汲み取って、
この事業、中古リノベーションを発展させていきたいと思っています。
感情的な理由だけではありません。
中古住宅の市場シェアは、欧米に比べ、日本はとても低いのです。
近年急増している空き家問題、地域の経済的損失も大きいですよね。
それらの問題も解決して、豊かな暮らしを紡いでいく。   
将来、我が家を持とうと夢見る若い世代が、
選択肢に、中古リノベーションを挙げてもらえるよう、頑張っていきます」


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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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不動産業を開業すると、通常は不動産協会に加盟
します。加盟は強制ではありませんが、加盟しな
いと「レインズ」と呼ばれる不動産物件の流通情
報ネットが利用できないからです。ところが、レ
インズで好物件を見つけて問い合わせても、志賀
さんは商談をさせてもらえませんでした。この事
態は志賀さんが単に新参者だったからではなく、
新築神話一色の不動産業界に、中古住宅のリノベ
ーション販売という、新しい流れを生み出そうと
していることへの、業界の反発や警戒もあったと
推測します。私はこの事業の構想段階からお話を
聞いてきましたが、いつも、志賀さんの情熱に胸
を熱くし続けてきました。でも、理想を掲げるだ
けでは、ことは動きません。そこを汲み取り、業
界経験者という「武器」を手に入れ、人と人との
土俵で勝負できるように段取った志賀さんの判断
はさすがです。何事も最後は人と人の信頼関係。
あらためて人間関係構築の大切さを痛感させられ
るエピソードでした。(ますだ)



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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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「先輩経験談 あるある!」に登場いただいた
志賀さんに、初めてお目にかかったのは、2016年12月、
NICeつながり祭り&第4回ビジネスプランコンテストファイナルステージでした。
当時と変わらぬ朗らかな声で、お話をいただきました。
「そこ(家)には素晴らしい模範解答がすでにあるのです。
前の家主にとって、ベストな家は?に対する、
正解にとことん近い、解答が。
時代を経ても、風の通り道、陽の当たり具合、導線や細かな配分など、
新築のゼロスタートからは見えない、
パーツだけでは気が付かない、模範解答が、
家のそこかしこにあるのです。
そこに、中古リノベーションすることで、
新たな家主が、また自分の望む新しい解答を継ぎ足していく。
上書きして、さらに更新していく。それが、中古住宅だと思うのです」

次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
4月22日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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 増田紀彦代表およびNICe会員への講演・取材
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