第50回 開業早々にコロナ禍で資金が底に……。新店ならではの当意即妙で、他店も応援する三方ヨシへ
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第50回 開業早々にコロナ禍で資金が底に……。
新店ならではの当意即妙で、他店も応援する三方ヨシへ
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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川野元基さん 2019年設立
東京都中央区
47都道府県レストラン 箕と環 -MINO TO WA- 代表
元基堂合同会社 代表社員
https://minotowa.therestaurant.jp
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「東京から故郷おこし」をコンセプトに、10年間営業した
交流サロン『なみへい』の後継店として、店名も新たに、
47都道府県レストラン 箕と環 -MINO TO WA- (みのとわ)で起業した川野さん。
しかし、まさか開業5ヵ月足らずで、
コロナ禍へ突入するとは思いもよらなかったという。
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「大ピンチでした。今もまだリカバリー中ですが、
当時は、まさに一瞬で資金が底をつきました。
コロナ禍が少しずつ収束してきた頃に、
『そろそろお客さんが戻ってきた?』とよく聞かれましたが、
戻るもなにも(苦笑)、そもそも開業したばかりで、
まだ、お客さまがついていませんでしたから。
それでも当時は店を閉めようとは思いませんでした。
起業したばかりで諦めたくなかったし、
家族もスタッフもいるので、どうにか踏ん張らないと!と。
まず、夜の営業をやめて、ランチにシフトしました。
それでも、人出が減っているうえに、みなさんの外食機会は激減。
けれど、ぽつりぽつりとお客さまがいらっしゃいました。
閉めている飲食店が多かったですから、
『開けてくれて助かる』と喜んでくださる。
そう言われると、頑張ろうと思えました。
そんなお声に支えていただいて営業していました。
でも、食材を仕入れるには現金が必要、どうしようかと。
食材だけでなく、例えば普段なら
100均で何気なく買っていたホチキスの芯やボールペンでさえ、
買うのをためらうほど、現金がない。
そこで思いついたのが、
お客さまから時々いただくお土産を活かすことでした
その土地の、地域の、人気飲食店の商品とか、あるじゃないですか。
あれです。
自分は料理人としてのプライドがあまりないのか(笑)、
それをランチで堂々とお出ししようと思いました。
だって、そもそも手を加えずとも完成度が高く、美味しいのですから。
お土産も無駄にならず、そのお店や地域の宣伝にもなるし、
お客さまも美味しいと喜んで召し上がってくださる。
うちも仕入れが助かる。三方どころか、多方面でヨシ尽くし。
このアイデアは発展できる!と、未開封のお酒やお米を持って来た方に、
飲食券をさしあげる取り組みも開始。現金を使わない作戦です。
他にも、地域縛りで、お客さまのおススメを持ち寄りにしたイベントも主催しました。
バーの雇われ店長だった当時の常連さんが、福岡のコミュニティをやっていらして、
お声かけいただきました。
以前に、その方におススメの食材を聞いたことがあるのですが、
普通は、例えば青森県なら、リンゴとかホタテとか、
食材名が挙がるじゃないですか。
でも福岡のみなさんは、食材名ではなく、飲食店の名前と料理名だったのです。
面白いなぁと思って。
東京から、その地域の代表的な食材で○○県を応援する、ではなく、
その地域の複数の飲食店をダイレクトに応援できる。
同業者で応援し合ってもいいじゃないですか。
今後も企画していこうと思っています。
今思うと、店を始めたばかりで、右も左もわからない、
まだ形が定まっていない、何も構築していなかったことが逆に強みだったと。
歴史もない、変な拘りもない。
守らなくてはならないことは、
雇われ店長時代から今も大事にしている当たり前のこと、
人としての信頼関係を大事にすること。それだけでしたから。
他は、いくらでも変えられる、変えていいんだ、
コロナのおかげでチャレンジ精神が身に着いたと思えます。
現金以外でも、モノや技術や知識など、全国各地それぞれの
いろいろな価値を交換できたらいいなと、そういう店にしていきたいです。
これからも、日本各地の美味しいと楽しいをご提供して、
生産者さんやその地域のお店をはじめ、
故郷や地域を応援する人たちの力にもなれるよう、
アイデアを形にして、チャレンジしていきます」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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胸が熱くなりました。私が元基くんのことを知った
のは、四半世紀以上も前。NICeの会員である彼のお
母様から、小学校に通う息子さんの話を聞かされた
時でした。「いい子だな」とは思いましたが、こん
なに立派な起業家に育つとは……。飲食店を開業し
てほどなく、あのコロナ禍。普通なら心が折れてし
まうでしょう。実際、経営を断念した人もいました
し、給付金や協力金だけを頼りに日々を過ごしてい
た人もいたはずです。でも、彼は生き延びるための
方策を次々と打ち出していきます。自分の力で生き
る。自分の力で大切な人を守る。そういう気概が滲
み出ています。そんな強い気持ちがあれば、ピンチ
をチャンスに変えられる。もっとも彼が言うように、
「飲食店経営の常識」に染まっていなかったことも、
いいほうに作用したのでしょう。ひとつの仕事を長
く続けると、ついつい「それはできない」などと、
いらぬタガをはめてしまいがちですが、ピンチに見
舞われたときは、一度常識を排し、広い視野で物事
を検討することがいかに大事かを、彼の体験談は示
しています。それにしても、親子二代の起業家を応
援できる私は、本当に幸せ者です。(ますだ)
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「つながり力で起業・新規事業!」
メールマガジンVol.200
(2023.12.11配信)より抜粋して転載しました。
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