vol.200【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第57回 (子で)損して(親で)得取れ 】
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Vol.200 2023.12.11
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第57回 (子で)損して(親で)得取れ
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第50回 川野元基さん(東京都)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第57回 (子で)損して(親で)得取れ
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旧友と一杯やるため下北沢へ向かった。
約束の時間より1時間ほど早く到着。
というのも、この街の古着屋を見て回りたかったからだ。
最近フォローしている起業予定者が、
古着屋の開業を計画しているので、その市場調査のつもりである。
いやいや、驚いた。
探す必要がないくらい、この街には古着屋が乱立している。
聞けば、駅の周辺だけで200店以上あるとか。
ところが、どの古着屋を覗いても、ほとんど客が入っていない。
これでやっていけるのか?
やっていけている。
数店舗を覗いてみて、その理由に見当が付いた。
(客のいない店舗に足を踏み入れるのは、結構勇気が必要)
アウター1着の値段は、どこも大体1万~3万円。
仕入値にもよるが、それでも1日に数着販売すれば、
少なく見積もっても月商100万~200万円にはなる。
オンラインショップを併設していれば、さらに売上は伸びる。
であれば、仕入と家賃と人件費は賄える。
古着好きの人の中には、
手に入れたいブランドが決まっている人も少なくない。
リーバイス 501を探している。
ラルフローレンのブルーレーベルを買いたい。
エディーバウアーのダウンが欲しい……。
こういう人たちが、お目当ての古着と出合えば、商談成立の確立は高い。
要は、人気ブランドを理想的な原価で仕入れられるルートがあるなら、
薄利多売をせずとも、古着屋商売は成立する。
しかし、お洒落な古着を着たいと思うのは、
何もマニアや金持ちだけではない。
私がフォローしている起業予定者も、
「あんな値段、中高生にはとても手が出ない」と語り、
少年少女たちでも買い物を楽しめる古着屋を始めたいと考えている。
実際、この人はそれなりの古着を、
それなりの値段で仕入れるルートを確保している。
それでも、中長期的に見れば、
出回る古着自体が減っていく影響で、仕入値の上昇は避けられない。
昨今、市場を席捲しているファストファッションでは、
将来、古着として流通させる価値がないからだ。
なら、先々、中高生たちにどうやって売る?
結論。親に買わせるしかない。というか、
親と子、両方に買わせる仕入と店作りとプロモーションを考えたい。
親子で来店して、それぞれが古着を購入してくれる場合、
極端な話、子ども向けの古着は仕入値のまま販売したっていい。
親向けの古着のほうで利益を取れば、商売は成り立つ。
「(子で)損して、(親で)得取れ」だ。
そう考えると、「抱き合わせ商品」という、
古典的なこの方法が、物価高のご時世では力を発揮すると思えてきた。
先に注意点を書いておくと、
「セットじゃなければ売らない」は、独禁法違反なので、
「セットで買ってくれたら、片方を安くする(無料にする)」としたい。
もともと、抱き合わせ販売は、
「人気商品」に「不人気商品」をセットして、
不良在庫を減らすことが目的だ。
だが、私が提案する抱き合わせ販売は、
安さを求める顧客のニーズに応えるために、
安いものと、それよりも利益率のいい商品をセットにする方法であり、
顧客が要らない商品を押し付けるわけではない。
むしろ、総額でより安く買い物ができた親子は満足感を得るはず。
すでにこの手法を取り入れている業種もあるだろう。
親子で来店したら、子どもの料金を安くする飲食店もあると思う。
食べ盛りの子どもを抱えた親には願ってもないサービスだ。
携帯電話やスポーツジムの家族割引も似ている。
この発想を、もっといろいろな業種で導入すべきというのが、今回の提案。
子どものツアー代金を無料にした家族旅行を設定して、
大成功した旅行会社がある。
子どもの料金がそれなりの場合、やはり総額が高くなるから、
同行するのは父親か母親かどちらかで、
一人は留守番するというケースも少なくないらしい。
ところが、このアイデアを実施したところ、
「それなら」ということで、両親ともに参加し、
さらに「お得だから」と、祖父母や親戚まで誘って、
最終的には大人数旅行に仕上がるという流れである。
結果、この会社は子どもを無料にしたにもかかわらず、
売上は150%アップした。すごい!
そうだ。古着で思い付いたが、
中古車や中古住宅だって、親子(家族)割引の視点を導入できるだろう。
親子セットは様々な業種や商品で展開可能だ。
物価高が悩ましい今だからこそ、
魅力的な価格を演出することは、強い競争力を生むはずである。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第50回 開業早々にコロナ禍で資金が底に……。
新店ならではの当意即妙で、他店も応援する三方ヨシへ
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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川野元基さん 2019年設立
東京都中央区
47都道府県レストラン 箕と環 -MINO TO WA- 代表
元基堂合同会社 代表社員
https://minotowa.therestaurant.jp
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「東京から故郷おこし」をコンセプトに、10年間営業した
交流サロン『なみへい』の後継店として、店名も新たに、
47都道府県レストラン 箕と環 -MINO TO WA- (みのとわ)で起業した川野さん。
しかし、まさか開業5ヵ月足らずで、
コロナ禍へ突入するとは思いもよらなかったという。
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「大ピンチでした。今もまだリカバリー中ですが、
当時は、まさに一瞬で資金が底をつきました。
コロナ禍が少しずつ収束してきた頃に、
『そろそろお客さんが戻ってきた?』とよく聞かれましたが、
戻るもなにも(苦笑)、そもそも開業したばかりで、
まだ、お客さまがついていませんでしたから。
それでも当時は店を閉めようとは思いませんでした。
起業したばかりで諦めたくなかったし、
家族もスタッフもいるので、どうにか踏ん張らないと!と。
まず、夜の営業をやめて、ランチにシフトしました。
それでも、人出が減っているうえに、みなさんの外食機会は激減。
けれど、ぽつりぽつりとお客さまがいらっしゃいました。
閉めている飲食店が多かったですから、
『開けてくれて助かる』と喜んでくださる。
そう言われると、頑張ろうと思えました。
そんなお声に支えていただいて営業していました。
でも、食材を仕入れるには現金が必要、どうしようかと。
食材だけでなく、例えば普段なら
100均で何気なく買っていたホチキスの芯やボールペンでさえ、
買うのをためらうほど、現金がない。
そこで思いついたのが、
お客さまから時々いただくお土産を活かすことでした
その土地の、地域の、人気飲食店の商品とか、あるじゃないですか。
あれです。
自分は料理人としてのプライドがあまりないのか(笑)、
それをランチで堂々とお出ししようと思いました。
だって、そもそも手を加えずとも完成度が高く、美味しいのですから。
お土産も無駄にならず、そのお店や地域の宣伝にもなるし、
お客さまも美味しいと喜んで召し上がってくださる。
うちも仕入れが助かる。三方どころか、多方面でヨシ尽くし。
このアイデアは発展できる!と、未開封のお酒やお米を持って来た方に、
飲食券をさしあげる取り組みも開始。現金を使わない作戦です。
他にも、地域縛りで、お客さまのおススメを持ち寄りにしたイベントも主催しました。
バーの雇われ店長だった当時の常連さんが、福岡のコミュニティをやっていらして、
お声かけいただきました。
以前に、その方におススメの食材を聞いたことがあるのですが、
普通は、例えば青森県なら、リンゴとかホタテとか、
食材名が挙がるじゃないですか。
でも福岡のみなさんは、食材名ではなく、飲食店の名前と料理名だったのです。
面白いなぁと思って。
東京から、その地域の代表的な食材で○○県を応援する、ではなく、
その地域の複数の飲食店をダイレクトに応援できる。
同業者で応援し合ってもいいじゃないですか。
今後も企画していこうと思っています。
今思うと、店を始めたばかりで、右も左もわからない、
まだ形が定まっていない、何も構築していなかったことが逆に強みだったと。
歴史もない、変な拘りもない。
守らなくてはならないことは、
雇われ店長時代から今も大事にしている当たり前のこと、
人としての信頼関係を大事にすること。それだけでしたから。
他は、いくらでも変えられる、変えていいんだ、
コロナのおかげでチャレンジ精神が身に着いたと思えます。
現金以外でも、モノや技術や知識など、全国各地それぞれの
いろいろな価値を交換できたらいいなと、そういう店にしていきたいです。
これからも、日本各地の美味しいと楽しいをご提供して、
生産者さんやその地域のお店をはじめ、
故郷や地域を応援する人たちの力にもなれるよう、
アイデアを形にして、チャレンジしていきます」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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胸が熱くなりました。私が元基くんのことを知った
のは、四半世紀以上も前。NICeの会員である彼のお
母様から、小学校に通う息子さんの話を聞かされた
時でした。「いい子だな」とは思いましたが、こん
なに立派な起業家に育つとは……。飲食店を開業し
てほどなく、あのコロナ禍。普通なら心が折れてし
まうでしょう。実際、経営を断念した人もいました
し、給付金や協力金だけを頼りに日々を過ごしてい
た人もいたはずです。でも、彼は生き延びるための
方策を次々と打ち出していきます。自分の力で生き
る。自分の力で大切な人を守る。そういう気概が滲
み出ています。そんな強い気持ちがあれば、ピンチ
をチャンスに変えられる。もっとも彼が言うように、
「飲食店経営の常識」に染まっていなかったことも、
いいほうに作用したのでしょう。ひとつの仕事を長
く続けると、ついつい「それはできない」などと、
いらぬタガをはめてしまいがちですが、ピンチに見
舞われたときは、一度常識を排し、広い視野で物事
を検討することがいかに大事かを、彼の体験談は示
しています。それにしても、親子二代の起業家を応
援できる私は、本当に幸せ者です。(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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先輩経験談に登場いただいた川野さんのお店は、
NICeの勉強会や交流会、懇親会で何度もお世話になっています。
イベント貸し切りや予約制ディナーだけでなく、、
月曜から金曜まで、ほぼ毎日営業のランチも人気です。
都内の方はもちろん、東京へご出張の際に
お昼時間を合わせて来店される方も少なくありません。
月替わりのメニューは、どれも、
まさに「顔が見える」生産者さんや事業者さんの食材ばかり。
詳細な紹介も嬉しいですよね。※空腹時には閲覧注意です(笑)。
https://minotowa.therestaurant.jp/pages/2986432/menu
どうぞみなさんもお立ち寄りくださいね。
次号の「つながり力で起業・新規事業!」NICeメルマガは、
12月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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