第55回 10(の倍数)の価値
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第55回 10(の倍数)の価値
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NICeメルマガとは別の連載で、
ケネディ大統領の暗殺に触れたコラムを書いていて気づいた。
今年の11月で、あの事件からちょうど60年を迎えるのだと。
ということは、新聞、雑誌、ネット、テレビなどは、
来月、こぞって「ケネディ暗殺の謎に迫る!」的な特集を組むだろう。
逆に言えば、
「ケネディ暗殺から59年! 衝撃の新事実を公開」とか、
「ケネディ暗殺から61年! 封印された機密文書を入手」とか、
そういう特集は、まず、やらないということだ。
この世は、10進法に毒されているから(笑)。
ご存じのように数字は、1、2、3、4、5……と続き、
10に達すると「桁上がり」し、また、1、2、3……と繰り返す。
つまり、一度「0」に戻る。
だから、10や20や30、もちろん60も70も80も、
延々続く数字の「区切り」という解釈が成り立つ。
そう言えば、今年の9月は関東大震災から100年だった。
本来、99年だろうが、101年だろうが、
常に用心を怠ることはできないのだが、かと言って、
毎日毎日、「地震に備えよ」と声高に叫ぶことも現実的ではない。
やはり、10の倍数のタイミングがメッセージの発し時だ。
1桁の数字が0になるタイミング。
それは、物事の原点を想起し、あるいは原点に回帰するのに、
もっとも適したタイミングだから。
またそれは、暗殺や震災など、負の教訓に迫るばかりではない。
プライベートであれば、
結婚記念日や家族それぞれの誕生日、
進学した日、卒業した日、就職した日、独立した日、
運転免許を取得した日、新居を構えた日などから10年、20年……。
原点を思い起こし、感謝と反省と新たな理想を掲げる、
またとないチャンスになる。
もちろんビジネスも同じだ。
会社創立の周年記念はポピュラーだが、
もっともっと、さまざまな種類の10の倍数のタイミングで、
企業活動の原点確認と、
次のステージのためのビジョン策定を行ってもいいだろう。
例えば、従業員10人到達、20人到達、50人、100人……、
それぞれのタイミングで人事方針や組織方針を練り直し、
同時に成長してきた経緯を祝すこともできる。
支店や営業所などの拠点数が10に達したときもしかり、
売上高や利益額が区切りの数字に達したときもしかり、
事業部門の数、顧客の数、機械や設備の数などもしかりである。
つまり、企業活動にかかわるあらゆる数字に対して、
10の単位で評価(成果の確認と改善点の抽出)を行い、
次の10の倍数に向けて、それぞれの分野での新たな策を打ち出す。
そういう考え方があってもいいということだ。
ただ、それだけで終わっては面白くない。
10の価値を広く強く訴え、その価値を商品化することで、
ビジネスチャンスを創出する視点も大切だ。
その取り組みでの成功例と言えば、
やはり「スイート10ダイヤモンド」だろう。
10年目の結婚記念日に、夫から妻へ、
10粒のダイヤをあしらったネックレスなどを贈るならわしだが、
発案したジュエリーメーカーには、つくづく感心する。
もはや新婚ではなく、かといって円熟したわけでもない結婚10年目。
ややもすれば、互いへの感謝や思いやりが薄れ始めるタイミング。
そこに、原点を想起させ、積み上げてきた10年を讃え、
これからへの誓いを交わす目的で、
それなりの価格の贈答品を買わせるわけである。
むろん、ダイヤは消耗品ではなく資産、
購入したところで、もったいないという話にもならない。
そう考えると、昨今は人生100年時代だから、
金婚式(結婚50年)を祝す「スイート50ゴールド」も、
もう発売が始まっているかもしれない。
一方、企業の周年事業に、記念品を贈答したり、
旅行などを実施したりするケースはあるが、
前述のように、様々な種類の10に着目すれば、
そうしたチャンスも、まだまだ広がっていくはずである。
また、記念品や旅行などの業界だけでなく、
ビジネス機器、ソフトウエア、オフィス用品、ユニフォーム、
保険、税理士や社会保険労務士、ビル賃貸、ビルメンテなど、
企業を対象にした業界なら、顧客の「10」に目を付けて、
特別なサービスを実施したり、そこに対応した商品を提供したりなど、
今までにない商機を見出すことも可能だ。
原点回帰の10、未来への第一歩の10。
すべての起業家は、10(の倍数)の価値に刮目せよ!
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「つながり力で起業・新規事業!」
メールマガジンVol.196
(2023.10.11配信)より抜粋して転載しました。
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