増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」272 迷惑で、情けなくて、愛に溢れる私の仲間
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<最近の告白> 迷惑で、情けなくて、愛に溢れる私の仲間
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我が家にキジバトが巣を作っている。
去年も、庭木の下にタマゴの殻が落ちていたので、
ウチは彼らのお気に入りの場所なのだろう。
自宅の敷地内のあちこちは、もはや彼らの縄張だ。
私がすぐそばに立ったところで、気にも留めない。
「こいつは攻撃して来ない」と、舐めているのか。
いやいや、私だって怒っている。
ウッドデッキや物干し台に貼り付いた糞を、いったい誰が、
デッキブラシでこすっていると思ってるんだと、言いたくもなる。
言いたくもなるのだが、結局、許してしまう。
ツガイの仲睦まじさが、あまりにも可愛らしいからだ。
まあ、人間が相手でも、私は同じだ。
普通なら怒り出すような場面でも、
私は相手のヘマや忘却や軽挙や妄動や奇行や言い訳が楽しくて、
ついつい笑ってしまい、あろうことか、
笑わせてくれたことへの感謝の念すら湧く始末で、
結局、いつも許してしまうという展開だ。
さて、(菅沼さんへのラブコールはこれくらいにして)話題をキジバトに戻す。
毎日を仲良く過ごしているキジバト夫婦にも、時として危機が訪れる。
第三のオスバトがどこからともなく飛来し、
イチャイチャ中の夫婦に襲いかかり、
あわよくば旦那を駆逐して、自分がその地位に就こうとするのだ。
二度、そのシーンを目撃したが、けっこう激しい格闘だった。
結局、二度とも闖入者が撃退され、
夫婦は、何事もなかったかのように愛情交換を再開するのだが、
よくよく考えてみたら、
私には、夫と第三のオスを見分ける術がない。
なので格闘の末、夫は入れ替わっている可能性もある。
いずれにしても、負けたオスは、
ウチから10メートルほど離れた場所にある木の上に退避し、
弱々しい声で「デデッポッポー」と鳴き続ける。
この「デデッポッポー」は、メスに対するオスの求愛メッセージだ。
いやいや、無理でしょ。
駆逐された直後のオスのプロポーズなど、彼女が聞き入れるはずがない。
負け犬の遠吠えならぬ、負け鳩の遠吠え……。
だが、私は、そんな情けないオスを眺めていると、
ついつい、胸が苦しくなってしまう。
まあ、人間が相手でも、私は同じだ。
普通なら無視するような場面でも、
私は相手の小心や未練や悔恨や嫉妬や失意や意気消沈が胸に刺さり、
ひとごととは思えず、あろうことか、
いつ、自分もそうなるかもしれないと不安が募る始末で、
結局、いつも同情を抑えられなくなるという展開だ。
さて、(寺田さんへの憐憫はこれくらいにして)話題をキジバトに戻す。
実はここ一週間ほど、キジバト夫婦を見かけない。
おそらくタマゴを産んだのだろう。
キジバトは、オスメス両方で育児を担うそうだから、忙しいのだ。
顔を見せてくれないのは寂しいが、
命を繋ぐため、無心で日々を過ごす彼らの生きざまには心が揺すぶられる。
さあ、頑張れ、ツガイ鳩! 負けるな、第三の鳩(もしくは元夫の鳩)!
というわけで、お知り合いから、
「NICeの増田ってどういう人?」と尋ねられたら、
「目の前の物事に、いとも簡単に人生を投影してしまう男」と伝えてほしい。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第272号(2023/7.7発行)より一部抜粋して掲載しました。
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