増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」270 食品表示の理解は、消費者の責任
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<最近の解説> 食品表示の理解は、消費者の責任
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「添加物の入った食品は食べたくない」。
そんな声を聞くことがあるが、
では、とある食品に添加物が入っているかどうか、
皆さんはどうやって見分けているのだろう?
例として、山崎製パンがローソン向けに卸している、
『モッチクリームドーナツ』の原料表示を紹介する。
どれが添加物で、どれがそうではないか、わかるだろうか?
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フラワーペースト(国内製造)、ショートニング、ミックス粉(砂糖、
小麦粉、でん粉、植物性たん白、植物油脂、食塩、脱脂粉乳、卵粉)、
小麦粉、植物油脂、パン酵母/加工デンプン、グリシン、乳化剤、酢
酸Na、膨張剤、増粘剤、香料、甘味料(ステビア)、増粘多糖類、酸
味料、酸化防止剤(V.E)、グリセリンエステル、カロテノイド色素、
(一部に乳成分・卵・小麦・大豆を含む)
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先にひとつ説明しておくと、原料の表示は、
使用料の多いものから順に並べる決まりがある。
したがって、この製品の場合、
「フラワーペースト(国内製造)」が、一番多く使われているわけだ。
なお、一番多く使われている原料に関しては、
それが、どの国(地域)で生産されたものかを表示する義務もある。
この製品に使われた「フラワーペースト」は国産だが、食品によっては、
「豚肉(カナダ産)」「丸大豆(アメリカ産)」などの表示も見かける。
いずれにせよ、2番目以降の原料生産地がどこか、消費者にはわからない。
ちなみに「フラワーペースト」は、「クリーム」のこと。
見た目はカスタードクリームのようだが、それとこれとは別物。
フラワーペーストが何でできているか興味のある方は、調べてみてほしい。
原料第2位のショートニングは、人工的に作られた油脂である。
近年、ショートニングに含まれるトランス脂肪酸が、
健康被害を生じさせるという指摘から、
欧米などでは使用が規制されているが、日本では自由に使える。
原料の1位がフラワーペースト、2位が人工油脂。
すでにこの段階で、「なんだか、すごい食べ物だなあ」と思うが、
これらは、食品添加物ではない。
実は原料表示の順序には、もうひとつ決まりがある。
前半に添加物以外の原料、後半に添加物を表示することになっている。
では、どこまでが前半で、どこからが後半か?
これは簡単にわかる。
前半と後半の間に、/(スラッシュ)を入れることになっているからだ。
もう一度、上記した原料一覧を見てほしい。
パン酵母と加工デンプンの間に/があるのを見つけられるだろう。
つまり、加工デンプン以降の原料はすべて食品添加物ということ。
結構な種類を使っているが、
もちろん、これらの原料を使うことは許可されているし、
大半の菓子メーカーが、同じような原料を使っている。
多くの消費者が、
安くて、美味しくて、美しくて、日持ちする食品を欲すれば、
自ずとこういう原料構成になっていく。
ということは、多くの消費者が、
安くて、美味しくて、美しくて、保存が利いて、確実に安全な食品を欲すれば、
話は徐々に変わっていくだろう。
メーカーは、消費者ニーズを無視して商品を送り出すことはできないのだから。
つまり、安全に対する最終的な責任者は、消費者自身だ。
最終責任者たる者、最低でも食品表示のルールや、
表示されている言葉の意味は理解しておきたいものである。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第270号(2023/6.7発行)より一部抜粋して掲載しました。
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