増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」264 敵は本能にあり
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<最近の発見> 敵は本能にあり
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最近の調査によれば、子どもが好きな食べ物の1位は、寿司だそうだ。
贅沢だなあと思ったが、よく考えたら、
昨今は回転寿司もあれば、寿司専門の小売店もあるし、
それこそスーパーでもコンビニでも寿司は調達できる。納得だ。
ちなみに2位はラーメン、3位はうどん、4位ポテトフライ、5位ハンバーク、
以下、鶏の唐揚げ、パンケーキ、カレーライス、おにぎり、ピザと続く。
まあ、そんな感じだろうと思いながら眺めているうちに、気付いた。
この2位以下のランキング、「人気のある冷凍食品」と言い換えても通用する。
つまり、子どもが好きな食べ物は、実は大人も好き、という仮説が成り立つ。
とはいえ、子どもが嫌いな食べ物を大人も嫌うかと言えば、そんなことはない。
ゴーヤ、ピーマン、ナス、セロリ、レバー、ホルモン……。
確かに、これらが苦手な子どもは多いだろうが、私は全部好物だ。
要するに、子どもは許容できる味の範囲が狭いが、
成長に伴って、美味しいと感じる味の範囲が広がるのである。
では、なぜ、そういう変化が起こるのか?
すべては本能の成せる業。
苦い食べ物は毒かもしれない。酸っぱい食べ物は腐敗しているかもしれない。
そういう危険性のあるものを、子どもたちは忌避している。
あらためて、子どもが好きな食べ物ベスト10をチェックすると、
確かに五味のうち、甘味、塩味、旨味だけで成り立つ食べ物しか並んでいない。
これは、すごい事実だ。
やがて、子どもたちも学習を重ね、苦味や酸味を持つ食品の中にも、
無害なものがあることを認識し、嗜好が変化していくのである。
ところが、男性の中には、
大人になっても酸っぱいものが不得手という人が結構いる。
過日、NICe会員の柳沼美千子さんと話をしていたら、
「ピクルス作りに取り組んだけど、男性陣には不人気だった」と言っていた。
やっぱりそうなんだ。
男はいくつになっても子どもなのか?
とも思ったが、調べてみると、こちらも理由があった。
狩猟活動中、うっかり腐ったものを口にしないための本能。その名残だそうだ。
またしても本能。
そういうわけで、人間の嗜好は、環境的な要因や遺伝的な要因だけでなく、
本能の影響も大きいことがわかった。
むろん、食べ物に限った話ではない。
私たちは、案外、本能のことを正しく理解していないのかもしれない。
あらためて、人間にはどのような本能が備わっているのかを精緻に学び、
本能が避けようとすることは何か、
反対に、本能が欲することを何かを基準にして、
事業開発や商品開発の是非をはかってみてもいいかもしれない。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第264号(2023/3.7発行)より一部抜粋して掲載しました。
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