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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、 始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。 そんな先輩たちの実体験から学ぶ「起業あるある!」&ワンポイントガイド。
第39回 承継した兄と意見が衝突、社員の前で大喧嘩。得意分野で役割分担し、互いにリスペクトし合う社風に



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第39回 
承継した兄と意見が衝突、社員の前で大喧嘩。
得意分野で役割分担し、互いにリスペクトし合う社風に
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。

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 古沢 繁さん 1970年設立(2004年、専務就任) 
 埼玉県さいたま市
 
 株式会社旭運輸 専務取締役
 https://asahi-transport.com/
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父親が創業した運送会社を兄弟で承継した古沢さん。
精密機器や高圧ガス容器など、産業機材を主に扱う運送業で、
先に入社したのは弟の繁さんだった。
その数年後、3歳年上の兄が他業界勤務後に家業へ。
後に、古沢さんは専務取締役に就任し、兄が代表に就いた。

「地味な仕事なので、お話しできるような、
華のあるエピソードではないのですが、ひとつだけ、
家族経営ならではのあるあるをお話しさせていただきます」

それは、社員の前での兄弟喧嘩だった。

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「子どもの頃はよく一緒に遊んでいましたが、
大人になると、特に仲が良いわけでも悪いわけでもなく、
程ほどの距離感で、世間話はするくらいの一般的な男兄弟の仲です。
会社でもそんな感じでした。

それが、2008年リーマン・ショックの前後から徐々に変化したのです。
経営状態がもろに兄弟の関係性に影響したのだと思います。
まずリーマンの直前に燃料費が高騰。運送業ですから大打撃でした。
経営的にきつくなってきて、さらにその直後にリーマン・ショック。
売上は前年比30%減。
当時は借金せずに乗り越えたのですが、
正直、どうしたんだっけ?というくらい無我夢中でした。
そんな苦しい時期でしたから、互いにイライラもしていたのでしょうね。
業務に関して、兄と意見の食い違いが多くなってきて、
とうとう、社員たちの前で兄弟喧嘩、怒鳴り合ってしまったのです。

私もハッとしましたし、たぶん兄もそう思ったでしょう。
これはマズい。してはいけないことをしてしまったと。

もう兄とは一緒にやっていけない、独立しようかとも考えて、
父がまだ健在でしたので、相談もしましたが、
結局、とどまることを選択しました。
というのも、当時ちょうど新規の仕事が入り、
お客さまの対応をすべて私が担当することになりました。
担当する、というより、すべて兄が私へ丸投げしたのです。
でも、おかげで、私のやりたいようにできて、これが楽しかった。
この件から、少しずつ、兄と私とで、業務のすみわけが始まったと感じています。

特に何か兄弟で膝を突き合わせて話し合ったわけではないですが、
リーマン・ショック翌年に母が、翌々年に父が他界しまして、
自然と兄との結束も強まりました。
そして東日本大震災。
お客さまからの要望が急増し、イレギュラーな動きも増えたのです。
それらを私が担当しました。
お客さま対応や営業、人事面など内部のことや事業の新しいことは、私。
資金面や業界団体とのかかわりなど、いわば表側のことは兄、と、
明確に内外のすみわけができていきました。
それは互いの得意分野であると同時に、
不得意分野を担ってくれていることにも気づき、
いい感じになっていきました。この、いい感じだなというのも、
互いに言葉を交わしたわけでもなく、
兄が第三者にそう語っているのを見聞きして、
あぁ、感じていることは一緒なのだなと思った次第です。

兄と意見の相違は、以降も何度かありましたが、
社員の前で大喧嘩をしてしまったあの黒歴史を思い出し、
その時の後悔の念が、寸止めをしてくれています(笑)。
兄弟経営は難しい、とも言われていますが、
お互いの距離の置き方、口数は少なくとも互いにリスペクトすること、
そして、口を出さないこと、超えちゃいけない一線を超えないこと(笑)、
これらがうまくいく秘訣なのかと今は思います。

嬉しいことに、特に待遇がいいわけでもないのに、
『この会社に入社して良かったです』と新人さんが言ってくれて、
社員が安心して仕事してくれる社風になったなぁと、それが何よりです。

2022年1月から、フォークリフトや作業車ドライバーの派遣業も始めました。
これも私が主導です。
運送業はとても地味なのですが、地味に続けているからこそ、粘り強く続ければこそ、
その先にチャレンジしたくなるような何かある!と、ずっと思ってきました。
人材不足はどこも課題ですし、つながりのある倉庫業界と
互いの課題にも協力し合って立ち向かえると思ったのです。
この派遣業を始めたことで、この先にも何かある!と確信のようなものを感じています。
これからますます大変な時代が来るでしょうが、
同時に、そんな時、そこにまた何か、新しいこと、トライする楽しみがきっとあるはず。
そう信じて、これからも地味に粘り強く、チャレンジしていきたいと思っています」

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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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「兄弟は他人の始まり」という言葉があります。あま
りいい意味で使われない言葉ですが、私は正しいこと
を教えていると感じます。いつまでも兄貴風を吹かせ
たり、反対に、弟だからと甘えたりすることは、互い
が大人になったら慎むべきです。その点、古沢さんは
冷静であり、温厚であり、たとえ相手が兄でも、他者
との関係をわきまえないはずがありません。ですので
ご本人は「兄弟喧嘩をしてた」と言っていますが、兄
弟だから喧嘩になったわけではないはずです。トラブ
ルの真因は幹部の職掌(担当と権限と責任)が曖昧だ
ったことです。ただし、二度と人前で喧嘩などしたく
ないという思いが、その後の職掌改善に結びついたの
なら、むしろ喧嘩はいい出来事だったと言えますね。
「一度ブッチ切れる」ことも、会社経営を続けていく
うえでは必要なプロセスかもしれません。
さて、NICeは異業種・異地域・異世代のつながりを提
唱していますが、実は、同じ会社の中の他人も、「異
なる存在」なのです。今どきは、社長の鶴の一声で会
社が動くような時代ではありません。社内・社外の異
なる能力を持つ人々と有機的につながり、互いを生か
し合う企業風土を醸成することが、これからの中小企
業の成長に不可欠だと私は思っています。古沢さんの
会社の飛躍が、きっとそれを証明してくれるはずです。
(ますだ)



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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.176
(2022.11.11配信)より抜粋して転載しました。
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