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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」255-1 人と人と ~普代村にて~



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<最近の発見> 人と人と ~普代村にて~
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2日間に渡る「頭脳交換会in普代村&オプショナルツアー」が無事、終了した。

集まりの様子は、NICeサイトに掲載されている、
「頭脳交換会 in 普代村 10月9日(&10日)開催速報」をご覧頂きたい。
写真を眺めるだけでも、その充実ぶりが伝わると思う。

さて、普代村をご存じない方もいるだろう。
いや、むしろご存じない方のほうが多いかもしれない。

普代は、岩手県の太平洋に面したエリアにある、断崖絶壁だらけの小さな村だ。
平坦な土地はほんのわずか。
そんな山と海に挟まれた場所に、およそ2300人が暮らしている。
ドラマ『あまちゃん』で知られる三陸鉄道が開通するまでは、
「陸の孤島」と呼ばれていたそうだが、現地に赴けばそれも合点がいく。

私もかつては普代村の存在を知らなかった。
知ったのは、東日本大震災の直後。

甚大な被害を受けた東北地方の沿岸部にありながら、
唯一、浸水家屋ゼロという、奇跡を実現した村。
それをニュースで知ったときは、本当に驚いた。

ほどなく、それが先人たちの並々ならぬ防災努力の賜物であると知り、
私は、どうしても普代を訪ねたくなった。
そして震災の翌年、同地を訪ねた。

それ以前、私やNICeの仲間たちは、
被災地のあちこちを訪ねて歩いていた。
正直に言えば、被災した方々とのやりとりは、やはり辛かった。

「だからかもしれない」と、今になって思う。
あの津波から人々を守った普代のパワーに、
少し傷んでしまった自分の心を救ってもらおうとしたのかもしれないと。

現地で、普代村役場の広報を担当していた森田安彦氏と出会う。
復興にてんてこまいの中、
押しかけた私たちに対し、いやな顔ひとつせず、
村の各所をめぐりながら、
津波からどう地域を守ったのか、守れたのかを、詳しく説明してくれた。
「こういう素敵な人と、長くお付き合いがしたい」と、心から思った。

それから10年。コロナの邪魔もあったが、
ようやく同地でNICeの得意技、「頭脳交換会」の開催に漕ぎ着けた。
NICeからは18名が参加。普代からは20名強が参加し、
地域産業の課題解決に向けたアイデアを出しまくった。

震災の翌年に普代から受けた恩を、少しでも返したかった。
たぶん、少しは返せたと思う。

それにしても頭脳交換会はすごい。

コロナ禍でおよそ2年8カ月、頭脳交換会を休止している間に、
私の頭は思いの外、固くなっていた。

ちょうど、『起業時代』という雑誌の編集と執筆に、
かかりきりだったせいもあると思う。
オフィスに閉じこもりきりで、
法務局や税務署での手続きに関することばかりを調べ、書き続けているうちに、
視点は鋭くなるが、その分、視野が狭くなっていたようだ。

だが、自分の頭が固いなんてことは、そうそう自覚できない。
先月の「頭脳交換会at山梨県北杜市」と、
今回の「頭脳交換会in普代村」を連続的に開催し、現場に立ったことで、
自分の脳味噌の硬化に気付くことができた次第だ。

おかげで、鉛のような色のペンキに塗り固められていた脳内が、
澄んだ水面のような色へと変わっていく気がした。要は脳が軽くなった。

つくづく、人間は社会的な生き物なのだと思う。
他者とかかわってナンボのものなのだと。
それも、自らの属性や特性と異なる他者とかかわればかかわるほど、
共通項を探り、理解を図り、共に歩める道を見いだそうとして、脳は活性化する。

自らが掲げ続けてきた、異業種・異地域・異世代との交流が、
本当に脳を健全にしていくことを、あらためて思い知った。

そう考えると、不思議なものだ。
もしも、コロナ禍が起きなかったとすれば、
異なる者が一堂に会して、脳の中身をぶつけ合うことの価値を、
私はこれほどまでに思い知ることはなかったのではないだろうか。

そもそも、東日本大震災が起きなかったとすれば、
私は普代のことも森田氏のことも、知らないまま生涯を終えていただろう。

口で言うほど簡単に、禍を福に転じることなどできない。
コロナにより、震災により、計り知れないほどの命が奪われたのだから。

それでも生きている以上、貪欲に「よりよい生」を求めるのが人間だと思う。
では、「より良さ」はどうしたら手に入るのか。
他者とのかかわりの中から、そのきっかけを見つけ出せるはずだ。
自分が気付かなかった見方、知らなかった知識、思いもよらなかった考え方、
こうした財産を提供してくれるのは、他者しかいない。

だから禍は、最終的には福に転じることができる。
他者と真摯にかかわり続けることで、必ず福が授けられる。
私はそう確信する。

普代は辺鄙かもしれない。不便かもしれない。過酷かもしれない。
だが、そういう場所で未来を見つめて、今を生き生きと暮らす人がいる。
そんな人たちと出会えたこと、
さらには、そんな人たちと共に事を成せたこと。
これを人生の奇貨と呼ばずして、何をそう呼ぶのか、である。

他者とじかに会い、頭脳を交換する。
これを続けていけば、人生は想像以上に素晴らしいものになる。

頭脳交換会を再会させて良かった。やめなくて、本当に良かった。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第255号(2022/10.14発行)より一部抜粋して掲載しました。
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