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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」250 今なら、無料でもう1枚!



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<最近の解説>  今なら、無料でもう1枚!
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たとえば1枚1万円の掛け布団があるとする。
キャンペーン商品として、これを特別価格で提供する場合、
次のどちらが、より良い訴求方法になるだろう?

A. 通常1枚1万円のところ、今回は特別に半額の5000円で提供!
B. 通常1枚1万円のところ、今回は特別にもう1枚無料で提供!

事業者にすれば、AでもBでも達成可能な売上高は同じである。
ただし、用意した商品が仮に1000枚あれば、
Aは最大1000人に販売しなくてはならないが、Bは最大500人で済む。
営業・受注・発送・代金回収、問い合わせ対応などのコストを考えれば、
売上高は同じでも、利益はBのほうが断然高くなる。

しかも、実際の売れ行きでも差が出る。
「半額」と「無料」では、購買動機を押し上げる力が違う。

社会人であれば、何らかのメリットを受けるなら、
それに見合ったコストが発生することは当然だと思っている。
だから、「無料」という言葉が、ついつい「すごい情報」に思えてしまう。
つまり、インパクトの点で、
あくまで「有料」である「半額」は、どうしても「無料」に勝てない。

ちょっと余談になるが、世の中には、「見合ったコストが発生する」と、
思っていない人たちも、わずかではあるが、いる。
とある地方に出張し、その町の役場のトイレに入った時のこと。
こんな張り紙が目に飛び込んできた。
「トイレットペーパーや芳香剤を持ち帰らないでください」。

「ペーパーを持ち帰るな」と書いた紙は見たことがあるが、
芳香剤まで並記した張り紙を目にしたのは、さすがに初めてだ。

ほどなく、理由が判明した。
かつて、その地域は炭鉱町として大いに栄えたそうだ。
そこで役場は住民に椀飯振舞(おおばんぶるまい)。
生活用品の大半を役場が住民に無料提供していたという。
それこそ布団も、無料提供だったとか。

その当時の感覚が抜けない住民が、今も残っている……。
そのせいで、こんな張り紙が必要になるのだとか。なるほど。

さて、話を戻す。
AよりBのほうが、利益も売れ行きも優ると書いたが、本当だろうか?

例えば、「自分は一人暮らしだから、2枚はいらない」と考え、
購入自体を見送る人はいないだろうか?

いるに決まっている。

だが、そんなことは事業者も重々承知。
そういうセグメントは、このキャンペーンの対象ではないのだ。

「1枚1万円+もう1枚は無料」という価格設定は、
「ある程度の年齢に達した夫婦が二人だけで暮らす家庭」を狙ったものだ。

つまり無料戦略(フリー戦略とも呼ぶ)は、
あくまで、ターゲッティング(特定セグメントに対する訴求方法)上の策である。
当たり前だが、誰でも彼でも、無料に飛びつくわけではない。
その商品を購入しそうなセグメントを絞ったからこそ功を奏する作戦だ。

「誰に、何を、どのように売るのか」。
この組み立てが、商売の成否を左右することを、あらためて強調したい。


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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第250号(2022/8.8発行)より一部抜粋して掲載しました。
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