増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」248 ほどほどに
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<最近の提案> ほどほどに
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あっと言う間に夏が来た。
早朝の陽差しが、ウッドデッキの上に広がる銀色の、
細く曲がりくねった筋を照らし出している。
また、きたか……。
庭の暗がりで息を潜めている分には、見過ごしてやらなくもないが、
屋外とはいえ、ウッドデッキは建物の一部。
そこにヌケヌケと上がり込んでくる態度が腹立たしい。
私はサンダルをつっかけ、
キラキラ光る筋を辿り、それが途切れたあたりを捜索した。
やっぱり、いた。
逡巡することなく、始末する。
殺生に心が痛まないと言えばウソになるが、放置すれば害は広がる。
かといって、殺虫剤を使って絶滅させようとはまでは思わない。
ほとほどにやっつけて、ほどほどに見逃す。
あらためて思う。
何事も、ほどほどが肝心だ。
「完全」や「完璧」を掲げることは、実はとても危険な判断だ。
すべての意識がそのことだけに集中し、
結果、それ以外のことがおろそかになる。
いや、おろそかどころか、どうでもよくなる。
もっと言えば、邪魔だとすら感じるようになる。
さらには、目的達成のためなら、何をしてもいいと思うようになっていく。
つまり、心の中に鬼が棲み着く。
そもそも「完全」や「完璧」など、達成できるものではない。
なのに、それをやろうとするから、精神のバランスが蝕まれてしまう。
「仕事の鬼」とは、そういう状態に陥ってしまった人のことだ。
何事もほどほどこそが、視野を確保し、先を展望するための秘訣である。
さあ、また暑い一日が始まる。今日も頑張るぞ~~! ほどほどに。
※銀色の筋とは、ナメクジが這い回った後にできる粘液の付着痕。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第248号(2022/7.7発行)より一部抜粋して掲載しました。
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