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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
増田紀彦から3.11メッセージ 被災地に笑顔を! 世界に平和を! ~ 自らへの叱咤を込めて ~



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  NICe代表 増田紀彦から3.11メッセージ

  被災地に笑顔を! 世界に平和を!
  ~ 自らへの叱咤を込めて ~

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毎年この日、私は皆さんに「3.11メッセージ」を届けてきた。

震災で亡くなられた方々や、
生きて、その後の困難に苦しめられてきた方々のことを思い、
執筆中、胸が締め付けられることも多々あった。
それでも、復興に挑戦する人の姿や、助け合う人々の姿に心打たれ、
必ず明るい未来がやってくると信じて、一言一言を綴ってきた。

東日本大震災発生から1年を経た2012年3月11日のメッセージが、
そんな私の胸中をよく表している。以下はその一部。

「 ……(前略)
震災から1年を迎えた今日も、
この国はまだ大変な状況にある。

今日も明日も明後日も、私たちは復興に取り組まなければならない。
だが、それは実に前向きな取り組みだ。

いまあるものを守ろうとしがみつく必死さとは裏腹の、
建設的で創造的な取り組みである。

道のりは厳しかろうとも、そういう輝かしい挑戦だと私は思う。

日本人のひとりとして、
この時代を、挑戦者として生きられることを思うと、
あの日、私は死ななくて良かった。

死にたくなかったのに、死んでしまった方々のことを思うと、
ふつふつと挑戦者魂がわきあがってくる。

今日からまた1年、濃い日々を積み重ねていこうと思う。
つながり力の強化で、
被災地の復興と、日本の未来に貢献したい」。(抜粋以上)


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上に紹介した文章を書いてからちょうど10年が経った。
我ながら、青臭いと思う。
だが、驚くべきことに、今も私の頭の中はまるで変わらない。
若かったから青臭い訳ではなく、
私はそういうタイプの人間なのだと、あらためて自覚した。

「そういうタイプ」ゆえに、今、私の心中は穏やかではない。

戦争が起き、分断と憎悪が広がり続けているからだ。
日本においても、「やられたら、やり返すのが当然」というような、
暴力を肯定する意見が、半ば無自覚的に広がり続けているからだ。

「つながり力」こそ、人間の未来を照らすと信じてきたのに……。

いったん震災の話から離れ、戦争について書こうと思う。


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連日、ウクライナから様々な映像が届く。
当初は、ウクライナの主要施設が、
ロシア軍の砲撃や爆撃に晒されるシーンばかりだったが、
3月5日のニュースで、
ウクライナ軍がロシア軍のヘリを撃墜した映像が流れた。

「やられっぱなしでたまるか!」。
そんなウクライナ兵の雄叫びが聞こえてきそうだ。
人が人の命を奪って歓喜する。これが戦争だ。

「他国に侵攻してきたお前たちが悪い。殺されて当然」。
こういう言い分がまかり通る。これが戦争だ。

奪われて当然の命など、あるはずがないのに……。

私には、災害死と戦死を分別できるような図太さはない。
どちらも悲しい。
どちらの遺族に対しても、居たたまれない気持ちになる。


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もう40年以上昔の話なので、大目に見ていただきたいが、
私は若い頃の一時期を、過激派の一員として過ごした。
過激派と呼ばれる集団の実態など、ほとんどの人がご存じないはずだ。

詳しく書いても、信じられない、あるいは理解できない、
という人が大半だと思う。一言で言えば、軍隊生活そのものである。

私が活動していた当時は、いわゆる「内ゲバ」が激しい時代だった。
対立する党派同士の「戦争」で生じた死者は113人、重傷者は5000人超。
私は靴を脱いで寝たことも、灯りを消して寝たことも、一度たりともない。
24時間、敵の襲撃に備えなければならないからだ。

一方、仲間が敵を攻撃し、戦果が挙がったという報告が駆けめぐれば、
割れんばかりの拍手と大歓声が沸き起こった。
敵の命を奪ったことに、心の底から喜びが沸き上がるのだ。
私もその一人だった。

敵対する集団同士が、ひとたび戦端を切ってしまえば、
もはや常識は通用しなくなるし、人の言う事に耳を貸すこともなくなる。

「悪いのは相手だ」「先に手を出したのは相手だ」と双方が主張し、
「和解など論外」といきりたつ。

どちらが悪いか、どちらが先かなど、実際のところ関係ない。
やられたらやり返す。やり返されたら、さらにやり返す。
復讐心が復讐心を呼び、憎悪と攻撃は果てし無くエスカレートする。
まさに狂気が支配する世界、それが戦争だ。

むろん、私の経験した「小さな戦争」と、
国家間の戦争とではあまりにも規模が違う。
だが、本質は変わらない。
どんな規模であろうと、
戦争は、人類に取り憑く最悪の狂気であり、最大の不幸だ。

私が若い頃、そんな世界にいたことなど、
文字にせずに済ませられるのなら、そうしたかった。
私を見る目が変わる人も出てくるかもしれない。

だが今、少なからぬ人々が、
まさに狂気の一歩手前までさしかかり、
戦争のむごさを認識できなくなっている空気を感じる。

そして、戦争の残忍さ、理不尽さを知らない人たちが、
いとも簡単に、戦争の加担者・支援者になってしまっている状況に、
黙っていられなくなってしまったのだ。

戦争経験者だから言う。
どのような理由があろうと、殺戮を正当化してはいけない。
だからロシアを応援してはいけない。ウクライナを応援してもいけない。
戦争を一刻も早く止めさせることだけが、私たちのすべきことだ。


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もちろん、戦争と震災は関係ない。
ただ、どちらも、黙って見ていられない点では同じなのだ。
私は、何歳になっても、青臭い人間なので。

私は、ずっと「お互いさま精神にあふれる日本を」と言い続けてきた。
この主張に国境を設けてはいけないと思う。
であれば、現在の戦争がもたらす事態をしっかり理解し、
最も適切な応援方法を探り当てたい。

前述したように、何年間かの「戦争経験」があるからと言って、
わかったような気に、決してなってはいけないと思っている。

実際、東日本大震災の被災者の方々の困窮と困難を理解し、
役立とうと努めてきたつもりだったが、私の想像力は浅かった……。
そういう、痛苦な思いがあるからだ。


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以下の数字は、東日本大震災で亡くなられた方々の人数(左)と、
行方不明になってしまった方々の人数(右)である。

●岩手県 4,649名 1,927名 計 6,576名
●宮城県 9,417名 2,291名 計 11,708名
●福島県 1,603名  245名 計 1,848名 
●その他   66名 4名 計 70名

もうひとつ、数字を紹介する。

●岩手県  470名
●宮城県   929名
●福島県 2,329名
●その他   56名

こちらの人数は、震災関連死された方々の2021年9月までの累計だ。
私は最近まで、この人数を把握していなかった。

中でも、福島県の人数の多さは一目瞭然である。
震災発生以来、私が福島県に足を運んだ回数は数百回に達している。
「福島県の復興は私のライフワークだ」と言って憚らないほど、
頑張ってきたつもりだった。

なのに震災後、まさに私が福島県を訪れている最中に、
多くの方々が命を落とし続けていた。
ちなみに「関連自死」した人の半数は、福島県の方々だという。

震災そのもののダメージだけでなく、
放射能汚染から逃れるための長期避難生活が、
福島県の人々の身体と精神を追い詰めたことは間違いない。

その「静かな有事」に対する、私の思いは足りていなかった。
もっともっと、実情を理解し、多くの人々に訴えて回るべきだった。


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もう一度、ネジを巻き直し、
「お互いさま精神」の実践と普及に努めよう。

小さな力であることを認め、謙虚に取り組みつつも、
その小さな力が大きな力へと育つことを信じよう。

すべての被災地に幸せが広がるまで、
そして世界中に平和が訪れるまで、
つながり力こそが大切なのだと訴え続けよう。

2022年の3.11メッセージは、自分自身への叱咤である。

もしも、「私にも思い当たることが書いてある」と、
思われた方がいたら、ぜひ、共に頑張りましょう。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.160 特別号
(2022.3.11配信)より抜粋して転載しました。
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