第31回 反対を押し切り、地域振興の大イベントを決行。率先して動き、貫くことで、信頼と地域愛が周知・好循環へ
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第31回
反対を押し切り、地域振興の大イベントを決行。
率先して動き、貫くことで、信頼と地域愛が周知・好循環へ
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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浦上裕生さん 1998年承継(1947年創業・1973年設立)
神奈川県相模原市
菊屋浦上商事株式会社 代表取締役
http://www.kikuya-net.co.jp
SDGsコネクトさがみはら 代表
https://sagamihara-sdgs.com/
「SDGs 本を読んで未来を絵にするコンクール」
https://sdgs.city.sagamihara.kanagawa.jp/readingimpressions/
相模原事務用品協同組合 代表理事
http://www.e-jimu.jp/
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“日本唯一の左利きグッズ専門店”として、
国内外から取材依頼が後を絶たない文具店・菊屋浦上商事の3代目、浦上さん。
文具店ながら、文房具だけでなく、急須や包丁、調理器具など、
生活用品100種類以上の左利きグッズを店頭に並べている。
もともとは、浦上さんの母親が、左利き用のはさみを仕入れたのがきっかけ。
それが左利きの人に喜ばれ、徐々に品目を増やしていき、
浦上さんが家業を継いでから、本格的に左利きグッズに注力した。
一時はネットショップも立ち上げ、大いに好評を得るも、
「ここは商店街。その一員である以上、賑わいが大切。
来ていただく、人の出入りで、街を盛り上げるのも小売業の使命」と、
浦上さんは3年でネットを閉じ、実店舗だけに絞った。
そうなると、何かとピンチが生じるのではと思いきや、意外なお話。
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「記憶に残る大ピンチは『流しそうめん世界大会』です。
当時所属していた相模原青年会議所で主催・企画したイベントで、
2014年の夏のことでした。
2027年開業予定のJR東海リニア中央新幹線の県内駅が、
我が相模原市にできることが決まって、その周知と地域振興を目的に、
子どもたちの夏休み最終日を飾ろうと考えたイベントです。
市の総合体育館の大階段で、でっかい流しそうめんをやろうと。
リニアの速度10分の1となる時速50キロで、世界最高速の流しそうめんへの挑戦と、
地域の消防団やスポーツクラブなども巻き込んで、チーム対抗の流しそうめんレース、
それと、体育館内での室内イベントなどを企画しました。
その発案者が私であり、実行委員長も務めたのです。
でも、当時のメンバー半数以上から大反対を喰らいました。
『そんなふざけたイベント、俺たちのブランドに傷がつく!』と。
はぁ~? ブランドなんて、そもそもないだろ!と言い合いになって。
それでも100人中、3人くらいが賛同してくれて、やってやろう!と始まりました。
いやいや、奔走しました。とにかく人手が足りない。
開催前の準備期間から話題づくりをして、発信もして、交渉もして、ダンドリ着けて。
流しそうめんの実験もして、高速の練習もして、と、やることが山盛り。
地元メディアが開催告知の紹介を徐々に広めてくれたおかげで、
協力メンバーも少しずつ増えてくれましたけれど、もう必死でしたよ。
結果、当日だけでなく後日も、NHKや民放、地域ネットをはじめ、
雑誌や海外メディア、個人ブログでも取り上げてくれて、
外部での反響の大きさが逆輸入のような形で内へと響いて、
開催後に、意義や話題性、価値が浸透したかなという感じでした。
ビジネスにも言えることですが、
自分ひとりで回る規模ではない場合、いかにして協力者を得て、
巻き込んで、自分の手から1つでも役割を手離れさせていけるか、
学ぶことは多かったです。
今考えれば、改善の余地はありますが、当時はやるしかない!と思って。
説得に時間をかけるより、背中を見せるというか、実働で見せて、
外から巻き込んで、取材実績を伝えるツールとして活かして、
回っていくように組み立てていく。何より率先して動くのがトップかなと。
このイベントが本当に大ピンチな経験だったので、
これ以降、本業でもなんでも、『あの時に比べれば』と思えます(笑)。
自分が強くなれた有難い経験であり、それと、信頼を得られたことも大きいです。
今でも話題になるようで、地域のみなさんや後輩からは、
『浦上は嘘をつかない。口だけじゃない有言実行、何より自ら率先して動く奴だ』と、
思っていただけたようで、これも、後から着いた大きなご褒美でしょうね。
今も地域活動などに数多く携わっているのも、地道な実働のご褒美、その延長かなと。
イベントのほかにも、職場体験学習や学生さんの取材も歓迎して受け入れてきました。
左利きグッズをとおして、子どもたちは身近な人と人との違いを知るきっかけになり、
他者への気配りも芽生えます。
それに、子どもたちの発想から、こちらも学ぶことが多いですから。
また、SDGs活動に関する講演もしてきたので、その経験から、
地域団体「SDGsコネクトさがみはら」も設立して、まさに今、動いていますし、
『SDGs本を読んで未来を絵にするコンクール』を開催し、
仕掛けるだけでなく、結果に、未来につながるイベントを継続的に行っています。
本業だけに関わらず、地域のこと、小さなことを
地道に続けていくことで、いつか芽が出て、いつか花も開く。
そういうことが多くあることを経験してきたので、これからも、
興味のあること、自分がワクワクできること、
何にでもトライしていきたいと思っています」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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「あなたの知り合いの中で一番行動力のある人は誰?」と
尋ねられたら、私は即座に「浦上さんだ」と答えます。イ
ンタビュー記事を読めば、私の答えが十分に裏付けられて
いるはずです。実は話題の『流しそうめん世界大会』には、
私も参加しています。相模原の地域振興を目的にしたイベ
ントではありますが、浦上さんは私に、「この機会に東北
の復興支援も行いたい」と声をかけてくれ、私は津波被害
を受けた福島県いわき市のそうめんを持参して、会場で支
援配布・宣伝を行ったのでした。イベントの開催自体、こ
れほど大変だったのに、他者への思いやりも忘れない浦上
さんにはただただ頭が下がりました。本当に彼は立派です。
それゆえに、立派であるがゆえに、彼の問題意識やアイデ
アについてこれない人が出てしまうのも、また事実でしょ
う。飛び抜けたリーダーには、普通の人との接着剤になる
人材が不可欠です。きっと今は、そういう人たちも多く育
っていることでしょうね。まさに、浦上さんの右腕ならぬ
左腕たちが。(ますだ)
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「つながり力で起業・新規事業!」
メールマガジンVol.158
(2022.2.14配信)より抜粋して転載しました。
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