vol.158【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第38回:税務書類の電子保存? 何それ?】
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Vol.158 2022.2.14
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
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【1】シリーズ増田紀彦の
「ビジネスチャンス 見~つけた」
第38回 税務書類の電子保存? 何それ?
【2】先輩経験談
あるある!ピンチ&リカバリー
第31回 浦上裕生さん(神奈川県)
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」
第38回 税務書類の電子保存? 何それ?
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人に何かを強いる際によく用いられる手段が、「アメとムチ」である。
2022年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法に関して言えば、
紙で受け取った請求書や領収書などの税務書類を、
スキャニングして電子保存するための要件を緩和したこと。これがアメ。
ムチは、メール添付受信やWebからのダウンロードなど、
電子方式で受け取った請求書や領収書などの税務書類を、
紙に出力して保存する方法を不可としたことだ。
要するに、「紙→電子」は○で、「電子→紙」が×である。
ただし、紙保存不可のルール導入が急で反発が高かったため、
国税庁は改正法施行直前の昨年12月、「電子→紙」は原則不可だが、
2022年1月1日から2023年12月31日までの2年間に限り、
「電子→紙」の保存方法も認める猶予期間を設けた。
もっとも、民間が反発することなど、国税庁は当然折り込み済みで、
「その声を聞いて、猶予期間を設けた」という体裁を取ったほうが、
新制度をソフトランディングさせられると考えていたのだろう。
最近流行りの「聞く力」作戦か(笑)。
いずれにしても、2年間などアッという間だ。
もともと税務関係書類は、過去7年間分の保存が義務付けられている。
赤字繰越がある場合は、さらに長く10年間保存になる。
そのため、あれやこれやの「紙の束」は結構なボリュームとなり、
これが電子保存によって一掃されるとなると、
スペースの無駄や移動の手間がなくなるメリットはある。
とはいえ、多くの企業は、
紙を前提にした書類の整理・保存ルールを作り上げているはずで、
これを電子保存に切り換えるということは、
実質、ゼロから経理業務を構築し直すことになる。
こうなると、パソコン操作を得意とする人材がいない企業はお手上げだ。
こういう企業の場合、請求書や納品書、領収書などを、
すべて紙の状態で受け取るしか「合法的な保存方法」がないことになる。
ちなみに、電子書類を電子保存せず、紙保存を続けるとどうなるか?
国税庁は「そういう企業は青色申告承認を取り消す場合がある」と強気だ。
青色を取り消されてしまえば、
赤字(欠損金)の繰り越しができなくなるし、
30万円未満の資産の一括損金算入もできなくなる。
そのほか青色に限定された様々な控除も対象外になってしまう。
電子保存に対応できない企業は、苦しい状況に追い込まれることは必至である。
こういう「デジタル不得意企業を救う仕事」にチャンスが到来している。
昨年3月、野村総研が発表した、
「中小企業のデジタル化に関する調査」の報告書によれば、
「事業方針の中にデジタル化の方針・目標が含まれているか?」という設問に、
「ふくまれている」と回答した企業は43%、
「ふくまれていない」と回答した企業は57%である。
狙うべきセグメントは、当然、「ふくまれていない」と答えた企業だ。
上記のように、デジタル化は、「しなければならない状況」にあるからだ。
ことは電子帳簿保存に限らない。
経理業務自体がオンライン化へ向かっているし、
確定申告も電子申告へと切り替わり始めている。
さらに言えば、経理・税務だけの話でもない。
ZoomやGoogle Meet、slack、Chatworkなどのミーティングツール、
google workspaceやdropboxなどの業務効率化ツール、
Adobe Marketing CloudやBowNow、ZOHOなどのMAツールなど、
企業が導入すれば、効果をもたらすデジタルサービスは世に溢れている。
これらデジタルツールの小規模企業導入支援は必ず仕事になる。
だからと言ってIT関連企業だけにチャンスが訪れているわけではない。
支援対象企業の業種や業態に精通していて、
上記したようなツールの活用経験があり、
品質やコスパを比較評価ができる人(企業)であれば、
ITの専門家ではなくても、十分に支援業務を担えるはずだ。
あなたにとっては普通のことでも、それをすごいと思う人が世の中にはいる。
この事実を頭に入れておいてほしい。
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第31回
反対を押し切り、地域振興の大イベントを決行。
率先して動き、貫くことで、信頼と地域愛が周知・好循環へ
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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浦上裕生さん 1998年承継(1947年創業・1973年設立)
神奈川県相模原市
菊屋浦上商事株式会社 代表取締役
http://www.kikuya-net.co.jp
SDGsコネクトさがみはら 代表
https://sagamihara-sdgs.com/
「SDGs 本を読んで未来を絵にするコンクール」
https://sdgs.city.sagamihara.kanagawa.jp/readingimpressions/
相模原事務用品協同組合 代表理事
http://www.e-jimu.jp/
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“日本唯一の左利きグッズ専門店”として、
国内外から取材依頼が後を絶たない文具店・菊屋浦上商事の3代目、浦上さん。
文具店ながら、文房具だけでなく、急須や包丁、調理器具など、
生活用品100種類以上の左利きグッズを店頭に並べている。
もともとは、浦上さんの母親が、左利き用のはさみを仕入れたのがきっかけ。
それが左利きの人に喜ばれ、徐々に品目を増やしていき、
浦上さんが家業を継いでから、本格的に左利きグッズに注力した。
一時はネットショップも立ち上げ、大いに好評を得るも、
「ここは商店街。その一員である以上、賑わいが大切。
来ていただく、人の出入りで、街を盛り上げるのも小売業の使命」と、
浦上さんは3年でネットを閉じ、実店舗だけに絞った。
そうなると、何かとピンチが生じるのではと思いきや、意外なお話。
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「記憶に残る大ピンチは『流しそうめん世界大会』です。
当時所属していた相模原青年会議所で主催・企画したイベントで、
2014年の夏のことでした。
2027年開業予定のJR東海リニア中央新幹線の県内駅が、
我が相模原市にできることが決まって、その周知と地域振興を目的に、
子どもたちの夏休み最終日を飾ろうと考えたイベントです。
市の総合体育館の大階段で、でっかい流しそうめんをやろうと。
リニアの速度10分の1となる時速50キロで、世界最高速の流しそうめんへの挑戦と、
地域の消防団やスポーツクラブなども巻き込んで、チーム対抗の流しそうめんレース、
それと、体育館内での室内イベントなどを企画しました。
その発案者が私であり、実行委員長も務めたのです。
でも、当時のメンバー半数以上から大反対を喰らいました。
『そんなふざけたイベント、俺たちのブランドに傷がつく!』と。
はぁ~? ブランドなんて、そもそもないだろ!と言い合いになって。
それでも100人中、3人くらいが賛同してくれて、やってやろう!と始まりました。
いやいや、奔走しました。とにかく人手が足りない。
開催前の準備期間から話題づくりをして、発信もして、交渉もして、ダンドリ着けて。
流しそうめんの実験もして、高速の練習もして、と、やることが山盛り。
地元メディアが開催告知の紹介を徐々に広めてくれたおかげで、
協力メンバーも少しずつ増えてくれましたけれど、もう必死でしたよ。
結果、当日だけでなく後日も、NHKや民放、地域ネットをはじめ、
雑誌や海外メディア、個人ブログでも取り上げてくれて、
外部での反響の大きさが逆輸入のような形で内へと響いて、
開催後に、意義や話題性、価値が浸透したかなという感じでした。
ビジネスにも言えることですが、
自分ひとりで回る規模ではない場合、いかにして協力者を得て、
巻き込んで、自分の手から1つでも役割を手離れさせていけるか、
学ぶことは多かったです。
今考えれば、改善の余地はありますが、当時はやるしかない!と思って。
説得に時間をかけるより、背中を見せるというか、実働で見せて、
外から巻き込んで、取材実績を伝えるツールとして活かして、
回っていくように組み立てていく。何より率先して動くのがトップかなと。
このイベントが本当に大ピンチな経験だったので、
これ以降、本業でもなんでも、『あの時に比べれば』と思えます(笑)。
自分が強くなれた有難い経験であり、それと、信頼を得られたことも大きいです。
今でも話題になるようで、地域のみなさんや後輩からは、
『浦上は嘘をつかない。口だけじゃない有言実行、何より自ら率先して動く奴だ』と、
思っていただけたようで、これも、後から着いた大きなご褒美でしょうね。
今も地域活動などに数多く携わっているのも、地道な実働のご褒美、その延長かなと。
イベントのほかにも、職場体験学習や学生さんの取材も歓迎して受け入れてきました。
左利きグッズをとおして、子どもたちは身近な人と人との違いを知るきっかけになり、
他者への気配りも芽生えます。
それに、子どもたちの発想から、こちらも学ぶことが多いですから。
また、SDGs活動に関する講演もしてきたので、その経験から、
地域団体「SDGsコネクトさがみはら」も設立して、まさに今、動いていますし、
『SDGs本を読んで未来を絵にするコンクール』を開催し、
仕掛けるだけでなく、結果に、未来につながるイベントを継続的に行っています。
本業だけに関わらず、地域のこと、小さなことを
地道に続けていくことで、いつか芽が出て、いつか花も開く。
そういうことが多くあることを経験してきたので、これからも、
興味のあること、自分がワクワクできること、
何にでもトライしていきたいと思っています」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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「あなたの知り合いの中で一番行動力のある人は誰?」と
尋ねられたら、私は即座に「浦上さんだ」と答えます。イ
ンタビュー記事を読めば、私の答えが十分に裏付けられて
いるはずです。実は話題の『流しそうめん世界大会』には、
私も参加しています。相模原の地域振興を目的にしたイベ
ントではありますが、浦上さんは私に、「この機会に東北
の復興支援も行いたい」と声をかけてくれ、私は津波被害
を受けた福島県いわき市のそうめんを持参して、会場で支
援配布・宣伝を行ったのでした。イベントの開催自体、こ
れほど大変だったのに、他者への思いやりも忘れない浦上
さんにはただただ頭が下がりました。本当に彼は立派です。
それゆえに、立派であるがゆえに、彼の問題意識やアイデ
アについてこれない人が出てしまうのも、また事実でしょ
う。飛び抜けたリーダーには、普通の人との接着剤になる
人材が不可欠です。きっと今は、そういう人たちも多く育
っていることでしょうね。まさに、浦上さんの右腕ならぬ
左腕たちが。(ますだ)
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┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃
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2月10日は、日本記念日協会により認定・登録されている「左利きグッズの日」。
日付は「レ=0 フ=2 ト=10」と読む語呂合わせから。
この仕掛け人も、先輩経験談に登場いただいた浦上さんです。
ほかにも、業界を越えたメーカー数社と左利き商品の充実を図る
『レフティ21プロジェクト』を起ち上げて活動しています。
接客はもちろん、左利きからの要望や相談、地域の活動、
国内外からのメディア取材など、ひとりで何役も。
つい先日はTBSの『新・情報7daysニュースキャスター』に、
そして今月21日には、日本テレビの『月曜から夜ふかし』にご出演予定だそうです。
どうぞお楽しみに!
「つながり力で起業・新規事業!」
次号のNICeメルマガは、2月21日頃の配信予定です。
(NICe広報・岡部)
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増田紀彦代表およびNICe会員への講演・取材
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