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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」235 『起業時代』vol.01 1月19日発売



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<最近の創刊> 『起業時代』vol.01 1月19日発売
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オンライン会計サービスを提供するfreee株式会社が、
新年1月19日に、同社初の雑誌を創刊する。

その名も、『起業時代』。

スマートというか、ライトというか、サクサクというか、
そんな「いまどきっぽい」イメージのfreeeが、
なぜか、紙のメディアを選択し、
しかも、懐かしささえ覚える、漢字だらけの誌名まで付けてしまった……。

むろん、起業を考える人たちの中には、
ネットメディアではリーチしにくい層が存在することは確かだ。
そういう人々へのアプローチとしては、「あり」だと思うが、
それにしても、思い切った判断だ。

しかもこの雑誌、驚くべきことに広告が掲載されていない。

雑誌出版というビジネスモデルは、
広告収入をいかに稼ぐか、という観点から、
ターゲットや内容、発刊サイクルや流通、価格などを決めていく。

だが、『起業時代』は、そうした発想とは無縁。
雑誌単体の収益で事業を評価する考えではないのだろう。

つまりは、起業を考える、あるいは、起業を準備している人々に対し、
会計や会社設立などの支援をするfreeeという会社があることを、
もしくは、freeeという一連のサービスがあることを知らせ、
利用者の拡大を図ることができれば、成功ということか。

反対に言えば、まるで経験のない雑誌出版に踏み込むという、
大きな投資を行っても、損はしない市場が同社の目の前に広がっていると、
freeeは判断したのだろう。

確かにそうだ。

まさに、改正電子帳簿保法は、市場拡大を予測するに十二分な要因だ。

freeeは、紙の領収書をスマホで写真に撮れば、
その情報が帳簿と同期し、試算表が自動的に作成できる、
どころか、最終的には、損益計算書や青色申告書にまで、
データを自動で反映できるサービスを開発済みだ。

さらに2023年10月1日からはインボイス制度も開始される。
加えて、会社設立や個人開業の手続きにもオンライン化の波は押し寄せ、
人事や営業、契約、さらには資金調達においてもオンライン化が進んでいる。

freeeをはじめ、マネーフォワード、弥生、勘定奉行など、
オンライン会計ソフトを提供する企業は、特需ともいうべき環境にある。

この流れを、どう掴むか?
という、課題に対して、あえて雑誌(オフライン)を選択したfreeeには、
半ば驚嘆と、半ば尊敬、そして微かに「大丈夫かな」という懸念がある。

いや、freeeの判断を疑うつもりではない。
心配なのは、雑誌の原稿の8割ほど、言い換えれば、
人物取材記事以外のすべてのページの企画と執筆を私が担当したからだ。

正直、ITベンチャーの新事業の重要コンテンツを、
私のような老兵が担っていいものかと、
この仕事を引き受けることになってから、ずっと心の中で思い悩んできた。

Tシャツとジーンズをさらりと着こなし、
タブレットひとつで仕事をどんどん進めていく若きエンジニアたちと、
ヨレヨレのスーツを着て、東北の農村地帯ばかりを駆け回っていた私。
俯瞰すると、ちょっとあり得ない組み合わせである。
しかも、私は会計や税務や会社法の専門家ですらない。

いろいろな経緯があり、私がこの仕事を担当することになり、
夏から、つい数日前まで、一心不乱に取り組んできたが、
いざ、脱稿し、創刊が公表されるに至ってみると、
「本当に自分がやったのか? 書いたのか?」と、
何とも不思議な気分に包まれている。

それでも、私自身には、筆舌に尽くしがたい収穫があった。

二十数年前、『アントレ』や『独立事典』の創刊と制作に携わり、
時を経てもう一度、
体系的に、「事業にかかわるルールや方法」を確認してみると、
ほぼ100%、昔の知識が通用しなくなっていることが、分かった。

法律も制度も規制も商習慣もテクノロジーもインフラもサービスも、
そして人々の意識や価値観も、『アントレ』創刊の頃とは、大きく変わっていた。
まさに、浦島太郎だ。

だが、いくら時を経ても、
底流には、変わらないものが流れていることも実感できた。
昔に比べれば、起業は手間も暇も金も、かからなくなっている。
つまり、ハードルが下がっている。

それでも、ハードルは下がっただけで、なくなったわけではない。
起業には、勇気が要る。自信も要る。パワーも要る。
それは昔も今も、寸分も違わない。

だから私は、起業を選択する人たちを尊敬し、
その挑戦が成就することを願ってやまない。
そして、少しでも、たくさんでもいいから、
その人たちの役に立ちたいと心底思う。

知識はさび付いていたが、
使命感には、かけらの衰えもない自分に出会わせてくれたfreeeに感謝だ。

創刊日が近づけば、テレビCFも流れるらしい。

2022年1月19日、私にとっても、また新たな『起業時代』が始まる。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第235号(2021/1214発行)より一部抜粋して掲載しました。
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