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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」234 会社も個人事業も影響大! 改正電帳法施行まで1カ月弱 



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<最近の事件> 会社も個人事業も影響大! 改正電帳法施行まで1カ月弱
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「メールに添付して送られてきた請求書は、
2022年1月1日以降、紙に出力して保存することが認められなくなる」……。

こんな、大変な法改正が行われていたことを、
つい最近まで知らなかった、どころか、
この原稿を読んで始めて知った、という人も少なくないかもしれない。

知らない人が悪いのではなく、
明らかに国税庁の事前告知と説明が足りない。

いかんせん、国税庁が公式ページを公開したのが、今年の7月。
私はたまたまその直後に、取引のある事務機器販社の営業担当から話を聞き、
「なんだか、面倒なことになるのだろうなあ……」、
くらいの印象で、そのまま放置してきた。
だが、実態と影響がわかってきて、「これは大ごとだ」と。

あらためて、改正電子帳簿保存法(電帳法)の概略を説明する。

帳簿や証憑(請求書や領収書など)の国税関係書類は、
紙での保存が原則だが、
一定の要件を満たせば、電子データで保存することが認められている。
この電子データ保存のルールを定めているのが、電子帳簿保存法。

先に、このルールの良いところを紹介する。

何より、7年間分(繰越欠損金がある場合は10年間分)の帳簿や証憑類を、
紙で保存するとなれば、そこそこのボリュームになるが、
これを電子データ化すれば、すべてPCの中に収まる。
結果、紙の使用は減るし、置き場所も不要になる。
また、必要な帳簿や証憑を検索で引っ張りだせる便利さもあるし、
会計・経理業務が効率化することは間違いない。

とはいえ、この法律が制定された当初は要件が厳しく、
電子帳簿保存を選択する企業はごくわずかだった。が、
2020年度の法改正で保存要件が緩和され、導入企業も増加した。

ここまでなら、「ふーん、いいんじゃない」という感じだ。
ところが、法改正がさらに進み、
2022年1月1日からは、電子保存の要件がさらに緩和される一方、
「電子取引データの紙出力等保存の廃止」が盛り込まれた。

わかりやすく言うと、冒頭で紹介した、
請求書や納品書、領収書などのPDF化されたデータを、
メール添付などで受け取った場合は、プリントして保存することが認められず、
電子保存が義務付けられたのである。

ちなみに電子取引データというのは、請求書などだけではない。
ネットショップで買い物をした際、Webに表示される取引明細や、
ショップからメールで送られてくる領収書なども対象だ。

ここまで紹介すれば、ほぼすべての事業者が、
「自分には関係ないと思っていたけど、違っていた」と気付くだろう。

ちなみに、商取引をオンラインだけで完了させる人は稀だと思う。
ということは、電子データは電子保存し、
紙でもらった領収書などは、紙のまま保存するという二重の手間が発生する。

「それは面倒だ」ということで、
紙の証憑をスキャンして電子データ保存する方法はどうか?

OKだ。「それなら一元的に管理できる」と思うだろうが、
ここにも制約がある。

紙でもらった領収書などをスキャンする場合は、
取引のあった日(領収書などに書かれている日付)から、
最長で2カ月と7営業日以内にスキャンしないといけない決まりなのだ。

確定申告直前に、貯め込んでいた領収書をまとめてスキャンする、
といった方法は今後通用しなくなる。
2カ月と7営業日を過ぎてしまった領収書は、紙のまま保存するしかない。
いやはや、何とも面倒というか、わかりづらいルールである。

で、実際、今、何が起きているのか?
私の会社に対しても、すでに複数の取引先から、
「来年1月以降は、PDFではなく、紙の請求書を郵送してください」、
という連絡が入り始めている。

大爆笑!

国税庁は、国の方針であるデジタル化推進に則って法改正したのに、
その結果、広がり始めていたオンライン取引が、
反対に、アナログに戻る流れを生んでしまったのである。

私の会社にそういう要望をしてきた取引先の事情はわかるので、
もちろん1月以降は、紙ですべて対応させて頂くつもりだし、
逆に私の会社やNICeなどに送ってもらう請求書類も、
申し訳ないが、やはり、紙でお願いする可能性が高い。

ちなみに、しらばっくれて、電子データを紙に出力したらどうなのだろう?

「違反者に対しては、青色申告承認の取り消しもある」と国税庁。

「いくらなんでもそれは厳しすぎる」と思っていたら、
さすがに猛反発を食らい、11月になって、
「ただちに取り消すようなことはない」と、態度を軟化させている。
とはいえ、電子データの紙保存が認められないことには、変わりない。

対応が、すべての事業者に迫られている。

今さら、オンラインショップで買い物をしない、なんてことは無理だから、
新しい法律の要件をよく読んで、それなりの保存方法を準備するしかないと、
観念するのが現実的な選択だろう。やれやれ……。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第234号(2021/1207発行)より一部抜粋して掲載しました。
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追記2021.12/14
2022年1月1日から施行される改正電子帳簿保存法に、
「電子取引データの紙出力等保存の廃止」が盛り込まれていることを、
12月7日配信の「増田通信」でお知らせしましたが、
急きょ、2年間の猶予期間が設けられることになりました。

とはいえ、2年間など、アッという間です。
さすがに次は待ってくれないでしょう。
この期間に、電子帳簿保存に対応するための準備をしておくといいでしょう。

 
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