増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」231 「人気ランキング」人気ランキング
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<最近の商機> 「人気ランキング」人気ランキング
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今年も「都道府県魅力度ランキング」が発表された。
やった!
少しだけ期待していたことが、実現した。
常勝茨城県が見事、下から1位に返り咲いたのである。イエ~イ!
世の中の多くのランキングは、普通、上位争いが話題になるが、
「都道府県魅力度ランキング」に限って言えば、
ほぼ、上位ネタは話題にならないし、
実際、私自身、今年の1位も過去の1位もまったく知らない。
やはり、「都道府県魅力度ランキング」の魅力は、
どこが最下位に選ばれるかにある。
茨城県は、長く下から1位をキープしてきたが、
昨年、お隣の栃木県にその座を奪われてしまい、
自身は42位(下から6位)という、実に中途半端な位置に転落していた。
(転落じゃなくて転昇か?)
だが、さすがは茨城県。
わずか1年で王座奪回に成功したのである。
一方、昨年の40位から44位に転落(これは本当に転落)した群馬県は、
山本知事が「法的措置も検討する」と表明したそうで穏やかじゃない。
確かに、ランキングが下がることの悪影響はあるのかもしれないが、
目くじらを立てるほどの話ではないと思うが、どうだろう。
いずれにしても、お気づきのように、
このランキングで下位グループの中軸を担うのが、いわゆる北関東3県だ。
茨城、栃木、群馬。
この3県に共通することはいくつかあるが、
私が思うのは、東京まで、それほど遠くはないものの、
かといって、東京には隣接しておらず、
東京へ最短距離で行こうとすると、
群馬も栃木も必ず埼玉を通らねばならないし、
茨城は埼玉か千葉を通らねばならないことである。
実際、東京から3県に向かうとき、
関越道や東北道や常磐道を使うが、
東京から埼玉や千葉に入ったときは何も感じないのに、
埼玉や千葉を抜けて、3県のいずれかに入ったときには、
「おおっ、ここまで走ってきたか」とか、ちょっと感動する。
つまり、彼ら3県を「微妙に遠いところ」に思わせている一端は、
埼玉と千葉が東京にへばりついて微動だにしないことにある。
いわば埼玉や千葉は、首都と北関東を隔てる壁もしくは溝もしくは壕だ。
映画の中では「草でも食わせておけ」と、なめられたことを言われているが、
魅力度ランキング的主観的地政学的に言えば、
埼玉や千葉は決して侮れないポジションを築いている。
だが本当のポイントは、じっと息をひそめて他県の様子を見ている、
関東の残り1県、そう、神奈川県の存在であ~る。
なんて感じで話を進めていくと、そこそこ面白い読み物になるのだが、
本稿においては、別に面白い話を綴るのが目的ではないのであ~る。
要するに世間は、ランキングが大好き♡♡♡ という話だ。
私だってそうだ。
小学生のときは、相撲の本場所が終わった直後に新聞のスポーツ欄に出る、
「来場所の予想番付」を見るのが三度の飯の次に楽しみだったし、
中学生のときは、「ミュージックライフ」(ロック系音楽誌)の巻末に出る、
「今月のギタリスト人気ランキング」に夢中になってハァハァした。
このランキング好きを、ビッグビジネスのタネにしたのがリクルート。
大学生たちを対象に就職したい企業を尋ねて集計する、
「人気企業ランキング」という調査を同社は続けてきた。
で、自分で調べて発表しておいて、
「貴社はもうちょっとアピールしないとランキング外になりかねません」とか、
営業担当者がもっともらしい顔をして企業の人事部長に迫り、
結局のところ、リクルートの雑誌に広告を出すように説得するのである。
やるよねえ(笑)。
この発想、ぜひ真似したい。
ランキングに商機を見いだす、あるいは逆の発想で、
商売をうまく進めるためにランキングを利用する。
実際、様々なプレゼンの場面で、
ランキングデータはよく活用されているが、
その場限りの活用ではなく、
そこに広がる市場に対し、恒常的に展開できるビジネスを考えてみたい。
まあ、私がやるとしたら、
様々な人気ランキングを取り上げて、
どのランキングに興味があるかを調査する、
「人気ラングの人気ランキング」かな。
でも、たぶん1位になるのは、「都道府県魅力度ランキング」だろうなあ。
もし、「都道府県魅力度ランキング」が、
調査対象ランキングの人気最下位になったら大ウケだが、
北関東3県の痛みを知る機会にはなるかもしれない。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第231号(2021/1014発行)より一部抜粋して掲載しました。
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