増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」228 ボッチャに学ぶ起業家精神
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<最近の発見> ボッチャに学ぶ起業家精神
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ボッチャが面白い!
おかげで、連日のパラリンピック中継に釘付けになってしまった。
そしてとうとう、この種目初の日本人金メダリストが誕生した。
ボッチャをご存じない方もいるだろう。
対戦は一対一で行われる(団体戦もあるがゲーム自体は一対一)。
最初に、どちらかのプレーヤーが、
「的」になる白いボールをコート上の適当な場所に投じる。
プレーヤーは自球を6球ずつ所持しており、
どれが、どちらの球か判別できるように赤球と青球に分かれている。
プレーヤーは自球を、的球の近くに投げ込む。
例えばAさんが投じた赤球が白い的球にピッタリくっついたとする。
おお! すごいコントロール。
ところが、次に相手のBさんが投じた青球が、
その赤球に当たり、赤玉を押し出す形で青玉が的に一番近くなる。
見事な逆転!
そこで考えたAさんは、今度は自分の球を白い的球に強く当て、
的球にくっついていた青球から引き剥がすことに成功。
うーむ、その作戦があったか……。
こんな感じで、精緻な投球を目指す技術戦と、
展開の先を読む頭脳戦が同時に繰り広げられるのである。
最終的には、双方が6球投げ終えた時点で、
的球に一番近い位置にある球を投じた人に得点が入る。
伝わっただろうか。
カーリングをご存じなら、それに似たものと理解してほしい。
言うまでもなくこの競技、健常者同士で戦っても面白い。
以前、パラのPR番組で芸能人が挑戦していたのを観たが、
もう、大盛り上がりの大興奮状態だった。
そういうわけで、競技自体、非常に面白みのあるものなのだが、
今回、私が胸躍ったのは、パラのプレーヤーたちの「球の投げ方」だ。
以前、テレビで観たときには、
車椅子に座ったプレーヤーが手で球を投げていた。
ところが今回、パラを観戦してみると、
もちろん手で投げる人もいるが、
中には、足で蹴りだす人もいて、本当に驚いた。
腕の麻痺は重いが、足は自由がきく。そういう選手だ。
試合はさながら、バスケットボール選手対サッカー選手の様相。
ところがまだまだある。
さらに障害の重いクラスでは、
ランプと呼ぶ、滑り台のような道具を使って球を投じる。
なおかつ、球のセットはアシスタントが行っていた。
これだ! これこれ!
私の頭の中で火花が散りまくった。
立って投げられないなら車椅子に座って投げればいい。
手で投げられないなら、足で蹴り出せばいい。
手も足も厳しいなら、
道具を使い、さらに他人を巻き込んで投球すればいい。
要するに、「球を投げられない人」は、誰一人いないということだ。
私たち起業家は、時に大小様々な困難にぶち当たる。
そして、「ああ、もうダメだ」と肩を落とす。
そこが考えどころだ。
「ああ、もうダメ」なのは、あくまで「そのやり方」ではないのか。
課題を突破する別の方法は、きっとある。いや、必ずある。
結局、自らの固定観念が、
もしくは自らが勝手に設けたルールが、自らを窮地に追い込んでいる。
目的を達成するための方法など、いくらでもあるのが真実だ。
障がい者スポーツから起業家が学べることは多々あると痛感した。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第228号(2021/0907発行)より一部抜粋して掲載しました。
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