増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」219 見られているからこそ
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<最近の風情> 見られているからこそ
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4月上旬に福島県の郡山市を訪ねた折り、染井吉野が満開だった。
さらに北上を続ける桜前線は、今、どの辺りだろう。
『 桜狩り 奇特や日々に 五里六里 』(松尾芭蕉)。
桜を追ってせわしくなく動き回る人々を、
半ば飽きれ、半ば慈しむ芭蕉の視線が優しい。
今も昔も日本人の多くが、桜を愛でる。
そんな季節の訪れが何より恋しいのかもしれない。
ここ2年は新型コロナ感染症対策のために、花見は控えられている。
それでも広大な敷地に桜の木が点在する大阪府豊中市の服部緑地では、
一本の桜の下に一家族という、暗黙の了解の配置で、
密にならずに花見を楽しむ人々をたくさん見かけた。
平穏な光景に、心が和む。
もっとも私自身は、あまり花見を好まない。
いや、私だって蕾の膨らみに胸の膨らみを同期はさせるが、
寒の戻りの屋外で、長々宴会をするのは、どうにもこうにも辛い。
むしろ私は、桜を愛でる人々を、少し離れた所から眺めるほうがいい。
季節の移ろいを静かに味わう人の心の清らかさは、微笑ましい。
人がいて、人に見られて、花びらの淡紅色は鮮やかさを深める。
私たちも、誰かに見てもらっていると思えばこそ、輝きたいと願う。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第219号(2021/0414発行)より一部抜粋して掲載しました。
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