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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」215 平穏の価値 ~宮古島のバブル崩壊に学ぶ~



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<最近の発見> 平穏の価値 ~宮古島のバブル崩壊に学ぶ~
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事情を知らない人が多いかもしれないが、
日本列島のはるか南西にある宮古島は、ここ数年、バブル景気で沸き返っていた。

つい10年ほど前までは、
美しく、のどかで、信仰深い人たちが暮らす小さな島だった。

だが、宮古本島の国内線空港が整備され、
さらに本島から目と鼻の先にある下地島に国際空港もオープン。
その下地島と本島を結ぶ伊良部大橋も開通した。

土地の取引価格は、場所によっては元の100倍以上。
潮風が吹き抜ける沿岸農地では、サトウキビくらいしか作れない。
その土地がリゾートホテル用地に変わるのだから、100倍など楽勝だ。

実際、20~30分間、クルマを走らせれば、
10件以上の建設現場を通り過ぎるほどだった。

建設作業員は不足し、日当1万~1万5000円は3万円に跳ね上がる。
当然、作業員は島外から呼び集めることになる。だが、宿舎がない。
なのでアパートも建設ラッシュ。
さらに完成したリゾート施設の職員宿舎も次々と建てられていく。
ちなみにアパートの家賃は、一番狭い1kでも10万円!

一方、平良港に着岸した大型クルーザーからは、中国人観光客がドッと下船。
全島のタクシー総出で市内に向かい、爆買い、爆買い、また、爆買い。
かつての「別世界」は、違う意味での別世界にすっかり変貌した。

しかし、バブルは必ず弾ける。
宮古島も例外ではなかった。

2020年に入り建設ラッシュも一段落。そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。

ニュースでご存じだろうが、宮古島市の人口10万人当たりの陽性者数は、
東京都をはるかに超える状況になってしまった。

住宅不足を見込んで建てたアパートも、
新規オープンしたホテルの客室も今ではガラガラだという。

先日、コロナ蔓延を見舞って島の知人にメールを送った。

「確かに感染症は怖いが、でも、私たちにとっては、
コロナ禍というより、コロナ福かもしれない。
景気は悪くなるだろうが、元の静かな島に戻れるなら、それが一番だ」。
そんな言葉が返信されてきた。

ああ、そうか……。

「経済は大事だが、それより命が大事だ」とか、
「命は大事だが、経済あってのものだ」とか、
ここ1年、そんな議論がしきりに行われてきたが、
宮古島の知人のメールを読んで、抜け落ちていた視点に気付いた。

日々、平穏な暮らしを送れること。
この地味な幸せの価値を忘れてはいけないと。

感染症だけでなく、過熱する経済活動もまた、
十分に恐ろしい「流行り病(やまい)」なのだ。

もっとも、慌てず騒がず、舞い上がらず落ち込まず、
穏やかに時を刻むことが、実は何より難しい。
だからこそ、平穏を実現するための努力は、地道だが尊い取り組みなのである。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第215号(2021/0215発行)より一部抜粋して掲載しました。
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