増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」211 異業種・異地域・異世代の交流の復興を
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<最近の念願> 異業種・異地域・異世代の交流の復興を
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前回の「増田通信」で、
沖縄県の会員の澤さんに教わったホーリーバジル(ガパオ)が、
福島県で加工食品になり、
そのパッケージを北海道の会員の西尾さんがデザインしてくれた、
という話を紹介した。
(注・NICeのサイトには上記で紹介したコラムは掲載されていません)
あらためて考えると、
これはとてつもない遠距離恋愛、ならぬ遠距離連携である。
西尾さんが住む札幌市から、澤さんが住む那覇市までの距離は、
ゆうに2000kmを超える。
ちなみに北海道の東端の納沙布岬から、
沖縄県の南端の波照間島までを測ると、3000kmにも及ぶ。
大陸の国家と比較すれば、日本の国土は狭いが、
北東の端から南西の端にかけての距離の長さは、
十分に気候風土の豊かさもたらす条件になる。
しかも、日本列島の地球上における位置が絶妙だ。
仮に、日本列島が北東方向に3000kmずれていれば、
国土全部が寒帯および亜寒帯に属してしまうし、
反対に南西方向に3000kmずれていれば、熱帯および亜熱帯になる。
しかし、実際、日本には3つの気候区分がある。
北海道は亜寒帯、鹿児島県南部以南は亜熱帯、それ以外の地域は温帯。
この気候区分の豊かさに加え、
大きな山脈で区切られた、日本海側と太平洋側の違いも重要だ。
トンネルを抜けると雪国になるのは、
川端康成が著わした群馬県から新潟県への移動だけではない。
中には同じ県内でありながら、そういう展開になる場所もある。
福井県の敦賀市では晴天、トンネルを抜けて越前市に着けば降雪。
福島県の白河市では晴天、トンネルを抜けて会津地方に着けば降雪。
そういう場所は、きっとまだまだたくさんあるだろう。
この1国における気候の多様性を言い換えれば、
国内の地域ごとの懸隔性(相違)がいかに高いかという話になる。
要するに、日本ではひとつ山を越えれば、
あるいはちょっと別の島へ渡れば、もうそこは別世界であり、
誰もが、いとも簡単に「よそ者」になる実情がある。
だから、いい。
同質の人間同士のやり取りから、画期的な発想が生まれることはまずない。
同じものを見ても、聴いても、
自らとはまるで違う評価や解釈をする人間がいればこそ、
私たちは驚き、気づき、学び、意欲を高揚させ、進歩することができる。
日本には多様な職業があり、世代があり、地域がある。
しかも、その多様性を享受するための労力は、さほどのものでもない。
上記したように、自動車でほんの数十㎞移動しただけでも、
船で1時間、飛行機で2時間移動しただけでも、
珊瑚礁のビーチに出合えたり、樹氷煌めく森林に出合えたりする。
そして、各々の地域で暮らす、様々な人々と交流することができる。
狭い。なのに多様。だから、日本は豊かなのだ。
この恵まれた資源を、私たちはもっと意識し、大切にし、活用すべきである。
新型コロナ感染症の影響で、県境をまたいでの移動がしにくくなっている。
また、そのためにオンラインでのやりとりが増えている。
しかし、この状態は公衆衛生上の課題をクリアするための措置であり、
日本の強みを活かす普遍的な方法では決してない。
私たちは、いとも簡単に、
異なる智慧や異なる資源と、生で遭遇できる優位性を持つ国民なのだ。
そのことを、どうか、忘れないでほしい。
新たに迎える年が、感染症を克服し、
異業種・異地域・異世代の交流の復興を遂げる年となるよう念じる。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第211号(2020/1214発行)より一部抜粋して掲載しました。
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