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NICe増田代表理事が送る、新たなビジネスチャンス発見法と実現へのヒント。11日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
第27回:コクがあるのに、キレがある商品開発を



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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

第27回 コクがあるのに、キレがある商品開発を

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「コクがあるのに、キレがある」。
二昔、いや三昔くらい前の「アサヒ生ビール」のキャッチフレーズだ。
抽象的、感覚的な広告が流行り始めていた時代に、
商品の特徴をズバッと言い切ったこの宣伝文句自体が、
コクがあるのに、キレがあると賞賛を贈りたい。

ところで、コクだのキレだのとは、いったい何ぞや?

いろいろな解釈があるようにも思うが、
私は、口に入れてからの味の残り方が長いほどコクがあり、
反対に、味がスッと消えるというか、味の残り方が短いのがキレだと考えている。

この解釈が正しいなら、キリンのクラシックラガーは非常にコクがあり、
アサヒのスーパードライはめちゃくちゃキレがあることになる。
その矛盾した味わいがひとつのビールに集約されているのだから、
アサヒ生ビールは実に不思議な飲み物である。
というか、ビールの旨さの双璧を、共に実現した技術力に頭が下がる。

この対立する、あるいは矛盾する要素の、どちらか片方を排除するのではなく、
両方を製品やサービスに込めることができれば、高い競争優位性を獲得でき、
さらには新たな市場創出の可能性も広がっていくだろう。

この視点で生み出された秀逸な製品で思い浮かぶのが、BMWの7シリーズだ。
フォーマルなリムジン系のボディにふさわしく、助手席はゆったりそのもの。
ところが運転席は、スポーツカーのコックピットさながらの操作系びっしり。
いわば右の席と左の席では別世界なのである。

このコンセプトが誰をターゲットにしているかは、容易に想像がつく。
長年、走行性能重視でクルマを選んできたが、
それなりの年齢と地位に達し、隣に座る人への配慮が芽生えてきた男性、だろう。

新しい商品を生み出すことは並大抵ではない。
なぜなら、市場がどのような新しさを求めているのか、
正確に予測できない点がひとつ。
さらには、予測できたとしても、
それを商品化するための技術や知識や資金や組織が揃っているのか、
という経営上の諸課題もある。

だが、もともと市場から認知され、評価されている、
複数の性能や機能やデザインを融合することができるなら、
これは、ある意味労せずして、新たな商品を生み出す契機となる。

たとえば、「赤青鉛筆」。
ご存じない世代の方もいるだろうから説明すると、
一本の鉛筆が中央から赤鉛筆と青鉛筆に分かれている、いわば2in1製品である。
なので、普通の色鉛筆とは異なり、両端を削って使うことになる。
その進化系が3色ボールペンであり、シャーボだと言ってもいい。

しかし、こうした発想は市場ニーズを捉えてはいるものの模倣困難性が低く、
特許等の法的保護がない限り、アイデアは簡単に流用される危険がある。

そこで、おすすめしたいのが、
コクがあるのにキレがあるビールや、
ラグジュアリーなのにスポーティーなクルマのような、
容易には折衷方法や融合方法が思いつかない、
いわば二律背反に阻まれた壁を、どうにかして突破することだ。

「そりゃ難しい」と思う人が大半だろう。
それでいい。
多くの人が難しいと感じるから、手を出せず(出さず)にいる。
簡単に合体できる価値なら、もうとっくに誰かがやっているはずだ。

とはいえ、実際には「難しいと思い込んでいるだけ」ということもあり得る。

たとえばデニムのスーツがある。
カジュアルの代表的な素材であるデニムと、
フォーマルウェアの代表であるスーツを合体させるなど、
当初は誰も思わなかったことだが、今では専門店までできるほどだ。
まさに、「そんなものは売れない」と思い込んでいただけの事例である。

その上で、どれだけデニムの扱いになれているジーンズショップであっても、
それをスーツに仕立てることはまず困難だから、
テーラーが優位性を発揮できることになる。
なので、大量に出回ることはなく、値崩れの危険も少ない商品になる。

つまり、自社にとっては普通の技術であっても、
他の業界が利用している素材や原料を用いて新商品を開発すれば、
十分に模倣困難性の高さを担保できるという理屈だ。
必ずしも、高度な技術開発に取り組まなくても、二律背反はクリア可能である。

とにかく、出来るか出来ないかは置いておいて、
市場がその製品やサービスに求める、矛盾した複数のニーズを洗い出し、
それが実現できたら素晴らしい、と思えるアイデアを出していくことだ。

ちなみに私が欲しいのは、飲めば飲むほど気分が良くなるのに、
判断力にはまったく影響しないお酒。もちろんクルマの運転にも支障がないやつ。
普段飲んでいる酒の5割増の料金でも、きっと私はそれを選ぶだろう。

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.128
(2020.11.11配信)より抜粋して転載しました。
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」は、
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