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vol.128【増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」第27回:コクがあるのに、キレがある商品開発を】



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Vol.128             2020.11.11 
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン

起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。


  ┃目┃次┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 
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【1】シリーズ増田紀彦の
  「ビジネスチャンス 見~つけた」
   第27回 コクがあるのに、キレがある商品開発を
   
【2】先輩経験談 
   あるある!ピンチ&リカバリー
   第19回  西尾 望さん(北海道・東京都)
   
【3】参加お申込み受付中
   11/30(月)NICe頭脳交換会in新橋
   
   
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」

第27回 コクがあるのに、キレがある商品開発を

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「コクがあるのに、キレがある」。
二昔、いや三昔くらい前の「アサヒ生ビール」のキャッチフレーズだ。
抽象的、感覚的な広告が流行り始めていた時代に、
商品の特徴をズバッと言い切ったこの宣伝文句自体が、
コクがあるのに、キレがあると賞賛を贈りたい。

ところで、コクだのキレだのとは、いったい何ぞや?

いろいろな解釈があるようにも思うが、
私は、口に入れてからの味の残り方が長いほどコクがあり、
反対に、味がスッと消えるというか、味の残り方が短いのがキレだと考えている。

この解釈が正しいなら、キリンのクラシックラガーは非常にコクがあり、
アサヒのスーパードライはめちゃくちゃキレがあることになる。
その矛盾した味わいがひとつのビールに集約されているのだから、
アサヒ生ビールは実に不思議な飲み物である。
というか、ビールの旨さの双璧を、共に実現した技術力に頭が下がる。

この対立する、あるいは矛盾する要素の、どちらか片方を排除するのではなく、
両方を製品やサービスに込めることができれば、高い競争優位性を獲得でき、
さらには新たな市場創出の可能性も広がっていくだろう。

この視点で生み出された秀逸な製品で思い浮かぶのが、BMWの7シリーズだ。
フォーマルなリムジン系のボディにふさわしく、助手席はゆったりそのもの。
ところが運転席は、スポーツカーのコックピットさながらの操作系びっしり。
いわば右の席と左の席では別世界なのである。

このコンセプトが誰をターゲットにしているかは、容易に想像がつく。
長年、走行性能重視でクルマを選んできたが、
それなりの年齢と地位に達し、隣に座る人への配慮が芽生えてきた男性、だろう。

新しい商品を生み出すことは並大抵ではない。
なぜなら、市場がどのような新しさを求めているのか、
正確に予測できない点がひとつ。
さらには、予測できたとしても、
それを商品化するための技術や知識や資金や組織が揃っているのか、
という経営上の諸課題もある。

だが、もともと市場から認知され、評価されている、
複数の性能や機能やデザインを融合することができるなら、
これは、ある意味労せずして、新たな商品を生み出す契機となる。

たとえば、「赤青鉛筆」。
ご存じない世代の方もいるだろうから説明すると、
一本の鉛筆が中央から赤鉛筆と青鉛筆に分かれている、いわば2in1製品である。
なので、普通の色鉛筆とは異なり、両端を削って使うことになる。
その進化系が3色ボールペンであり、シャーボだと言ってもいい。

しかし、こうした発想は市場ニーズを捉えてはいるものの模倣困難性が低く、
特許等の法的保護がない限り、アイデアは簡単に流用される危険がある。

そこで、おすすめしたいのが、
コクがあるのにキレがあるビールや、
ラグジュアリーなのにスポーティーなクルマのような、
容易には折衷方法や融合方法が思いつかない、
いわば二律背反に阻まれた壁を、どうにかして突破することだ。

「そりゃ難しい」と思う人が大半だろう。
それでいい。
多くの人が難しいと感じるから、手を出せず(出さず)にいる。
簡単に合体できる価値なら、もうとっくに誰かがやっているはずだ。

とはいえ、実際には「難しいと思い込んでいるだけ」ということもあり得る。

たとえばデニムのスーツがある。
カジュアルの代表的な素材であるデニムと、
フォーマルウェアの代表であるスーツを合体させるなど、
当初は誰も思わなかったことだが、今では専門店までできるほどだ。
まさに、「そんなものは売れない」と思い込んでいただけの事例である。

その上で、どれだけデニムの扱いになれているジーンズショップであっても、
それをスーツに仕立てることはまず困難だから、
テーラーが優位性を発揮できることになる。
なので、大量に出回ることはなく、値崩れの危険も少ない商品になる。

つまり、自社にとっては普通の技術であっても、
他の業界が利用している素材や原料を用いて新商品を開発すれば、
十分に模倣困難性の高さを担保できるという理屈だ。
必ずしも、高度な技術開発に取り組まなくても、二律背反はクリア可能である。

とにかく、出来るか出来ないかは置いておいて、
市場がその製品やサービスに求める、矛盾した複数のニーズを洗い出し、
それが実現できたら素晴らしい、と思えるアイデアを出していくことだ。

ちなみに私が欲しいのは、飲めば飲むほど気分が良くなるのに、
判断力にはまったく影響しないお酒。もちろんクルマの運転にも支障がないやつ。
普段飲んでいる酒の5割増の料金でも、きっと私はそれを選ぶだろう。



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第19回 
社員がクライアントへの不満をSNSに投稿。
独自のルールブック&公私ともに充実する同志の職場づくり

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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 西尾 望さん 2010年設立 
 北海道札幌市・東京都千代田区
 
 トラックスアンドストアーズ株式会社 代表取締役
 https://tracks-stores.co.jp/

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アートディレクター、デザイナーとして、時には講師にもなり、
商品パッケージの企画制作、企業・商品のブランディング、
プロモーションツール制作を手掛ける西尾さん。
スタッフと共に取り組んだ仕事で、今年2月には、
『ふくしまベストデザインコンペティション』にて
パッケージデザイン部門のゴールドと、総合グランプリにも輝いた。

「今秋10周年を迎えて、それなりにエピソードはあるのですが、
冷や冷やしたのは6年くらい前、今はもう退職している社員のことです。
採用時に、SNSをやっているのは僕も知ってはいましたが、
特に気にしていませんでした。
たまに見ると、会社での出来事なども投稿しているな、程度だったのです。
ところが、とあるクライアント案件の打ち上げの後に、
なんとクライアントへの不満をツイッター上で爆発させていたのです。
しかも、本名で、一般公開の設定で、関係者が読んだら分かる内容。
“制作現場あるある”で、少し苦労しているなとは思っていたのですが、
先方もそれをわかって、わざわざ打ち上げまでして労ってくださったのに。
翌日、すぐに削除するように伝えましたが、
納得できなかったのか、1日放置したまま。

翌日に再び削除するように伝えると、
『社内の人が見ているなんて思わなかった』と。
ことの重要性が理解できていないようなので、諭しました。
ツイートひとつで取引が停止されたら、売上にどれほど影響があるか、
考えたことがありますか、人をひとり雇えなくなることですよと。
仕事に不満を持つなと言っているのではなく、
社内で問題あれば一緒に解決しよう。それでも愚痴りたい時は、
関係者にわからないところでお願いします、と。
幸い、関係者の目に触れる前に削除されましたが、
もし見られていたらと、冷や汗ものでした。

これを機に、以前から作成してきた自社の『ルールブック』に
SNS投稿に関するガイドラインを追記しました。
お客さまのところへ出向く時のマナーやルール、トラブル対処法など、
なぜそうするのか理由も記して、コツコツ僕が書き留めてきたものです。
20、30ページはあるでしょうか。社内で共有しています。

転職の多い業界ですし、僕もそうでしたが、大きな会社のように
新人マナー研修を受けた経験がないデザイナーは少なくありません。
所属しているデザイン会社だけが、社会のルールのような過ちも犯す。
いちいち伝えるよりも、このルールブックを読めば、
社会人として、また、うちはこういう方針で、こういう会社、というのも伝わるので、
採用面接の時にも見せて、こういう会社だけどいいか?と聞いています。
転職した人も独立した人も、もちろんずっとウチで働いてくれている人にも
「いいところで働けた(働いている)」と思ってもらえたら嬉しいですし、
社員が互いにレベルアップして、デザイン力もアップして、
志を尊敬し合い、切磋琢磨できる会社でありたいとの思いも込めて。
そういう環境、居心地をつくるのは経営者の役目の一つですしね。

ちょうど今秋で10周年。
多くの先輩やお客さまにいろんな教えをいただいての10年です。
社名に込めた、トラック(軌跡)&ストアーズ(蓄積)を活かして
未来へ、次の世代へ、何かつなげていきたいと考えています。
これから未来を担う10歳以下の子どもたちに収益の一部をと、
10周年記念の期間限定のWebショップを社員たちと計画しているところです」

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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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従業員を雇った経験のある人なら、とても他人事には思えない
エピソードだったのではないでしょうか。
西尾さんは「冷や冷やした」と述懐していますが、その当時は
「管理が行き届かない状況」を反省し、自分自身を強く責めた
かもしれません。経営者になって人を雇うということは、本当
に骨の折れる仕事です。
とにかく、経営者が常識の範囲だと思っている事柄であっても、
従業員が同じように思っているとは限りません。むしろ、まっ
たく異なる考えを持っていると思った方が賢明です。だからこ
そ、従業員教育が大切なのです。が、小規模企業では、そこに
時間とコストをかけることが難しいのも現実。その課題に、西
尾さんが素晴らしい答えを出してくれました。外部の教育理論
を持ち込むのではなく、同じ職種の先輩として経験を重ねる中
で気づいたことを、西尾さんの言葉で伝える。この方法なら小
さな会社でも実現可能ですし、何より説得力があります。ただ
し、こうしたルールブックを一朝一夕に用意することは不可能
です。西尾さんが、日々、仕事に真摯に向き合ってきたからこ
そ成し得たことです。従業員に対して真摯であろうと思えば、
まずは自分自身に対して真摯であれ。そんなメッセージを受け
取ったような気もします。(ますだ)


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  お知らせ 参加お申込み受付中
 11/30(月)NICe頭脳交換会in新橋
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約10か月ぶりとなる頭脳交換会です。
増田紀彦NICe代表理事のミニ講演&2つのお題で、
参加者同士の頭脳をスパークします。

お題1 コロナ禍がもたらした『変化』にどう対応する? そしてどう活かす?
お題2 中小企業優遇見直しにどう対抗する? そしてどう乗り越える?

詳細&参加お申込みはこちら
/archives/50706



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 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃編┃集┃後┃記┃ ┃  
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先輩経験談に登場いただいた西尾さんは、
東京と北海道に事務所をお持ちで、ご出身は北海道。
一昨年のNICeの集いでは、ふるさと自慢に登壇され、
サッポロビール愛を静かに熱く語ってらっしゃいました。
以降、私も黒ラベル派に。。
感化されやすいでしょうか、どうでしょう。

次号は11月24日頃に配信の予定です。
(NICe広報・岡部)
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 増田紀彦代表およびNICe会員への講演・取材
 依頼はこちらフォームにて受け付けています
 
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