増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」205 予断を粉砕せよ
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<最近の秘術> 予断を粉砕せよ
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かつて香港の繁華街に日本人向けの「新宿(シンジェク)」という土産店があった。
本当は「シンジュク」と書きたかったのだろう。
カタカナの「コ」と「ユ」と「エ」は、外国人にとって判別が難しいようだ。
ひらがなの「い」と「り」も同様らしく、
「シンジェク」が日本人相手に売っていたのは、「エロり本」だった(笑)。
話は変わるが、『時間よ止まれ』の誕生秘話がドラマ化された。
ご存じ、矢沢氷吉のヒット曲だが……って、そんなミュージシャンもいない。
氷吉ではなく永吉だ。漢字にも似て非なる字が結構ある。
シンジェクも矢沢氷吉も、ちゃんと見れば間違いに気づくが、
話の流れで、新宿のことだろう、矢沢永吉のことだろうと、
勝手に決めつけるから、間違いを見逃してしまう。
まあ、この程度の文字の読み違いであれば、別にどうということはない。
危ないのは、人の話を最後まで聞かず、結論を類推し、
途中で何らかの反応や判断を下してしまうことだ。
本当は同意見なのに、そのせいで紛糾し、場の空気がおかしなくることもある。
そういう事態に陥るのは、そもそも相手が話し出す前から、
「この人の言いたいことは、こうだろう」と予測してしまっているからだ。
実際、よく知る間柄であれば、予測が当たっていることもあるが、
単に相手の属性や立場などから、先を予測すると良い結果にはならない。
いわゆる予断だ。
成果の上がるコミュニケーションをしたいのなら、
聞く側は、相手の意図するところを完全に把握するよう努めること。
しかし、そうは言っても話を最後まで聞かない人は少なくない。
そんな相手に屈しているようでは、ビジネスに成就なしである。
そういう相手には、予断を覆す、少し意外なツカミを仕掛けることだ。
いかにも言いそうなことを第一声に持ってきたらアウト。
ちょっと想定外で、ちょっと面白くて、ちょっとタメになる話を!
って、ハードル高いか(笑)。
とにかく、話を最後まで聞かない相手が悪いのではなく、
話を最後まで聞かせられない自分が悪いと思うくらいが、
コミュニケーションを成功させる上での妥当な心構えである。
という、説教臭い私の話を最後まで読んでもらえたなら、ツカミが、
ちょっと想定外で、ちょっと面白くて、ちょっとタメになった証左である(笑)。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第205号(2020/0914発行)より一部抜粋して掲載しました。
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