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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
「変化の性質」を見極めてチャンスを掴もう


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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 第82回 
 「変化の性質」を見極めてチャンスを掴もう
 
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【その変化は、定着するのか、一過性なのか?】

新型コロナウイルス感染症の発生と世界的な拡大を受けて、
社会もビジネスもプライベートも、実に多くの変化を強いられた。

この様々な変化に対して、起業家が敏感であるべきことは言うまでもない。
変化が認識できなかった、あるいは変化に対応する手を打たなかった、
などの理由で自社の業績悪化を招くようなことがあってはならないし、
一方で、変化によって生まれてきたニーズを満たす価値を提供できれば、
業績の向上はもとより、新たな事業分野での躍進をも構想できるからだ。

こうした理屈は、もはや言うまでもないことだろう。
そのうえで、本当に大事なことは、
「変化の性質」を正しく認識することである。
つまりその変化は、今後の社会において新たな規範となる変化なのか、
それとも、あくまで一過性の変化なのか、といった視点だ。


【実態調査と意識調査を重ね合わせて、変化の性質を判断しよう】

ひとつ例を挙げよう。
この間、多くの人が体験し、痛感したのが食事をめぐる変化だろう。
コロナ禍の中、様々な団体が食事の変化に関する調査を行い、
多くの専門家たちが分析や提言を行ってきた。

まず、およそ2000人を対象にした、あるネット調査の結果を紹介する。

◎ 2020年4月以降、それ以前と比較した自宅における食事頻度の増減
「かなり増えた」……22.7%
「やや増えた」……31.6%
「変わらない」……44.6%

ご覧の通り、半数以上が自宅での食事の機会が増えたと回答している。
言い換えれば、半数以上の人の外食機会が減ったことになる。
では、もうひとつ別の調査の結果を紹介しよう。

● 外食機会が減った人の外食に対する意向
「以前の状態に戻りたい」……80.6%
「今のままでよい」……19.4%

最初に◎の質問で示した調査はいわゆる実態調査であり、
次に●の質問で示した調査は意識調査である。

2つの調査を重ね合わせると、「現状は外食を控えているが、
できれば以前のように外食をしたい」と思っている人が多いことがわかる。
このように、変化は多角的な視点で捉えることが必要だ。

仮に、実態調査の結果だけを見てしまうと、
店内で顧客に飲食をさせる業態は今後厳しくなる、という印象を抱く。
が、それでは変化の性質を正しく捉えたことにはならない。


【外食自粛以外の、元に戻るであろう一時的変化】

一過性の変化は、外食自粛だけではない。
公衆衛生的な観点において、制限されたり励行されたりしている行動は、
感染症に対する危険度の低下によって、元に戻ると考えられる。

一時期話題になった「オンライン飲み会」の機会は減少するだろうし、
故郷に戻らず、オンラインで家族とやりとりする「リモート帰省」も減るだろう。
同様に、国内外への観光旅行も着実に復活していくはずだ。

ただし、詳しくは次に譲るが、ビジネス目的の旅行、
いわゆる「出張」は、おそらく以前のような頻度には戻らないだろう。


【得だったり便利だったりする変化は確実に定着する】

なぜ、出張が以前の頻度に戻らないのか?
現地での作業や視察が目的の場合は別として、
遠方の人と会って話をするだけなら、オンラインのほうが安く済むからだ。
低いコストと高いコストと、企業がどちらを選ぶかは論じるまでもない。

つまり、コロナ禍によって生じた変化の中には、
「考えてみればそっちのほうが得だ」、
あるいは「よほど便利だ」という変化がいくつも含まれており、
そうした「お得」だったり「便利」だったりする事柄は、
ほどなく新たな規範として定着していくのが世の常だからである。

出張の減少だけではない。
通勤自体の減少もすでに始まっている。
在宅ワークが推進されているからだ。

そうなれば広いオフィスの需要も低下する。
オフィスが減れば、事務用品購入も減るし、清掃業務委託も減る。
制服の必要も減るし、そもそも通勤交通費がいらなくなる。
まさに「100年に一度」とも言うべきコストの大幅削減機会を、
黙って見過ごす企業がどれだけあるだろう。

得だったり便利だったり……。
つまり合理的な変化は、もう元には戻らないと考えるべきだ。

なので、飲食店には人が戻ると言ったが、それは全体的な傾向であり、
オフィスで働く人々を主要顧客にしている店舗の場合は影響が出る。
自社にかかわる複数の変化を重ねて分析することが肝要だ。

合理的な変化はまだまだある。
いわゆる「ハンコ文化」の衰退も止められないだろう。
変わって登場してきたデジタル決裁は確実に定着するだろう。
そのほか、サプライチェーンの見直しや製造現場の無人化も進むだろうし、
オンラインショッピングの多様化やオンラインイベントの増加も確実だ。


【「元には戻らないが、すぐには定着しない変化」もある】

ここまで「一時的であり、いずれは元に戻る変化」と、
「合理的であり、もう元には戻らないと思える変化」について語った。

しかし、変化はその2種類だけではない。
「元には戻らないだろうが、かといって、変化がすぐに定着もしない」、
そんな微妙な変化も実際に多々存在している。

例えばリアルイベント。
いま、プロ野球の試合が真っ盛りだが、
ご存じのように、観客の人数を制限して開催されている。
いずれ、そうした制限も緩和されるだろうが、
まったく以前と同じ状態に戻る、ということに果たしてなるだろうか?

新型コロナ感染症が収束したところで、
今後、新たな感染症が蔓延しない保証はどこにもない。
そうなれば、そのたびに興行を中止しなければならなくなる……、
ということでは、とても大規模イベントなど計画できない。

なのでスポーツスタジアムしかり、文化的な施設しかり、
換気能力の向上や手洗い所の増設などのための改修が、
徐々にではあるが始まる可能性がある。
だが、こうした取り組みには少なからぬコストを要するため、
すべての施設がそれを実行する(できる)かは不透明だ。

一方、在宅ワークの増加は間違いないところだが、
だからと言って、地方への移住が増加するかどうかも微妙。
購入するにしろ賃借するにしろ、
地方の住宅取得費用は都市部よりはるかに有利だし、
生活環境面での魅力も高い。
とはいえ、子供の学校の問題、年老いた親との距離の問題、
友人や地域とのかかわり、通う病院やその他の施設とのかかわりなどもあり、
通勤不要という理由だけでは移住を決断できない人も少なくないだろう。

また、政府はデジタル化の遅れを取り戻そうと、
マイナンバーカードの普及に力を入れ始めたが、これも容易には進まない。

「便利なことは定着する」と前述したが、
便利さと引き換えに何か悪いことが起こるのでは……という不安感もまた、
人を支配する力が大きいからである。
したがって、政府や自治体、あるいはIT企業などに対して、
どの程度の人が個人情報を提供するか、ここもまた難題となるだろう。


【自社と密接な変化は何かを分析し、しかるべき策を講じよう】

以上のように、今回のコロナ禍によって生じた変化には、
大別して3つの性質があることを説明した。

起業家や経営者は、自社の事業がどの変化と密接なのかを分析し、
危機を回避するための手立てを講じるとともに、
変化によって生まれるチャンスを、是が非でも掴む努力をしてほしい。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.123
(2020.9.23配信)より抜粋して転載しました。
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