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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
「新しいビジネス様式」を創造しよう!



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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 第79回 
 「新しいビジネス様式」を創造しよう!

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【創造的な仕事とは?】

「創造的な仕事」と聞いて、皆さんはどんな仕事を想像するだろう?

新製品、新技術、新工法といった物作り分野での取り組みや、
音楽、美術、演劇、文学をはじめとする芸術分野での取り組みなど、
これまで世の中に存在していなかった価値を生み出す挑戦。
まずはこうした仕事が頭に浮かぶ。

もちろん、商品の知らせ方、届け方、売り方、代金回収の仕方など、
マーケティング分野で新たなハウツーを生み出す取り組みもそうだ。

しかし、このような専門性に基づく開発業務や創作業務だけが、
果たして創造的な仕事だろうか? そうではないだろう。

既存商品の品質向上や、既存事業のコストダウン、
あるいは、既存業務の効率化や生産性向上をもたらす取り組みもまた、
十分に創造的な仕事である。
決して、特殊な才能や知見を有していなくても、
このような方法での創造性の発揮は、意欲と努力によって獲得可能だ。

つまりは、限られた予算、時間、人員、能力、市場環境の中で、
より新しく、より良いパフォーマンスを生み出すことを前提に、
思考し、企画し、調査し、試験し、交渉し、調整し、稼働するという、
一連の行為のいずれかに参加していれば、
その人は、創造的な仕事をしていると私は考える。

反対に言えば、どれだけ汗水を垂らして働こうが、
「このままでいい」と思って取り組んでいる仕事は、創造的ではない。


【こっちを立てて、あっちも立てる】

さて、創造的であろうとするほど、悩ましくなるのが、矛盾の壁だ。
こっちを立てれば、あっちが立たず。
どんな仕事も、より良い成果を求めるほど、二律背反に苦しめられる。

人手が必要だが、人件費は抑制したい。
じっくり企画を練りたいが、ライバルより後れは取りたくない。
いい事業プランがあるが、投じられる資金が不足している。
利幅を取りたいが、顧客は低価格を望んでいる……。

常日頃から、私たち経営者は、この矛盾と格闘し続けている。
その困難さに挫けて前進を断念したり、
解決したつもりで、その実、解決法になっていなかったりすれば、
たちまち経営が追い込まれてしまうことも知っている。

つまり、真に創造的な経営とは、
こっちも立てて、あっちも立てる新たな仕組みを捻り出し、
それを勇気を持って実践していくことにほかならないと私は考える。
そして、コロナ禍の今こそ、この姿勢が絶対的に不可欠なのだ。


【「新しい生活様式」を実践すれば、日本経済は死滅する】

私たち経営者が、ウイズコロナの二律背反に立ち向かうために、
どうすればいいのかを考察する前に、まずは政府にオーダーしたい。

政府は、言うまでもなく社会の経営者である。
コロナの感染を抑えこみさえすれば、いいわけではない。
自粛や休業要請、さらには「新しい生活様式」によって生じる、
企業活動のマイナスを、どう克服するか、明確な方針を示してほしい。

引用すると長くなるので割愛するが、
厚生労働省のサイトに掲載されている「新しい生活様式」は、
人の暮らしや仕事の仕方に対して、かなり細かく注文をつけている。
人々が、本当にそのとおりに行動したら、
コロナの感染拡大は抑制できるだろうが、
それよりも早く、日本経済が立ち行かなくなることは明々白々だ。

例えば、『遊びに行くなら、屋内より屋外を選ぶ』とある。
では、インドアのスポーツ施設やレジャー施設はどうすればいいのか?
屋根や壁を撤去して、屋外同様の建物にでもしろというのか?

また、『帰省や旅行はひかえめに。出張はやむを得ない場合に』とあるが、
地方の鉄道会社やバス会社、タクシー会社はどうすればいいのか?
車両を大都市まで乗り入れさせて、勝手に走り回らせるのか?

『筋トレやヨガは自宅で動画を活用』にいたっては、
「ジムやスタジオに恨みでもあるのか」と、ツッコミたくなる。


【感染抑止と経済活性を追求するのが政府の責務】

いわば、「あっちを立てたので、こっちは立ちません」である。
日本国民が安全で、なおかつ安心して日々を過ごすためには、
感染対策と経済対策の両方が必要であり、
どちらかひとつの対策や、どちらかひとつを優先する考えは間違えだ。

むろん、政府が何もしていないなどとは言わない。
持続化給付金や家賃支援給付金をはじめ、
中小企業の経営支援をすでに開始しているし、
野党が難クセをつけた予備費も、今後の有効活用が期待される。

しかし、それだけでは、あまりに不十分なのである。
傷んでいるのは中小企業だけではない。
大企業も大変だ。
大企業がピンチを招けば、中小企業にピンチが連鎖することは自明。
産業全体の傷みを修復する大胆な方針を政府には期待したい。


【ウイズコロナの変化を、社会単位ごとに予測しよう】

さて、今、そして、これからの私たちの企業活動はどうあるべきか?

「店を閉めている限り売り上げがない。
かといって開けても、客が少なければ人件費や材料費の分、赤字になる」。

そう嘆く経営者がいる。
まさに、あっちを立てれば、こっちが立たなくなる構図である。

だからこそ、第3の道を探し求めなければならない。
言ってみれば、「店を開けずとも、客を掴む方法」を見つけることだ。
「そんなの無理」と、諦めてはいけない。
それを見つけ出し、実現する創造性があなたに求められている。
難しければ調べればいい。勉強すればいい。相談すればいい。

「新しい生活様式」が要求される時代に対しては、
「新しいビジネス様式」で対抗するしか手はないのだから。

どれだけコロナが恐ろしいとしても、
人は暮らしを営み、働き、休み、学び、生き続けていくのである。
それをサポートするのがビジネスである。だからビジネスは不滅。
事業機会がなくなったのではなく、機会の有り様が変わっただけである。

まずは冷静にウイズコロナ時代の変化を分析することから始めよう。
個人の行動は何が変わるのか?
家庭の生活は何が変わるのか?
企業の活動は何が変わるのか?
行政の業務は何が変わるのか?
教育機関や医療機関を含む社会全体としては、何が変わるのか?

いわば社会の構成単位ごとに変化を予測し、
さらにそれらを時間の経過で追っていく必要がある。


【時間の経過で変わるニーズもしっかりと掴もう!】

例えば企業活動を例にすれば、
今は多くの企業が出社勤務と在宅勤務の整理・整備に力を注いでいるが、
在宅勤務が定着すると、オフィスが一等地にある必要性や、
広いスペースである必要性が希薄になり、移転需要が高まるはずだ。
さらにその後は、浮いた家賃や通勤交通費の有効活用を考えるようになる。
景気悪化で今はどの企業も投資意欲が減退しているが、
上記のような段階に至れば、必ずお金を使うようになる。

また、この企業の変化と個人を結びつけると、
個人の側には、どのような変化が起きるのだろう?
想像してみてほしい。いろいろと考えつくはずだ。

このように、自社のセグメントの変化を時間ごとに予測しつつ、
その変化が他の社会単位とどうかかわるかを考えることで、
自社が新たに狙える事業機会を見つけ出すことができるだろう。

ウイズコロナの時代を生き抜くためには、
二律背反に屈せず、顧客や市場の変化に対応した手立てを構築する、
経営者の「創造的な仕事ぶり」が、何よりも重要になる。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.115
(2020.6.21配信)より抜粋して転載しました。
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