第16回 会社設立時の定款作成で、代表者名の漢字を間違えた! 思い込みを回避するには、チェック回数増と新鮮な目
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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」
第16回
会社設立時の定款作成で、代表者名の漢字を間違えた!
思い込みを回避するには、チェック回数増と新鮮な目
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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
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小谷野幸夫さん 2008年独立 埼玉県さいたま市
小谷野行政書士事務所 代表
http://koyano.jp/
(株)さいたまソリューションズ 代表取締役
http://ssol.jp/
埼玉県行政書士会 理事
埼玉県創業・ベンチャー支援センター相談員
一般社団法人コスモス成年後見センター埼玉支部幹事 広報部長
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大手システムインテグレーターで約20年、
システム構築やベンチャー企業の技術支援など、
システムアナリストとして活躍した小谷野さんは、
その経験と実績を活かし、ITコンサルタント業で独立。
さらに、大学時代に取得していた行政書士の資格も併せ、
“二足のわらじ”で、ワンストップサービスを提供している。
独立当初から、行政書士入門講座講師も務め、
現在は、約2500人が登録する埼玉県行政書士会の理事も兼任。
ユキマサくん(行政・会の公式キャラ)の認知普及にも尽力し、
埼玉県立歴史と民俗の博物館では展示解説ボランティアをするなど、
知識や経験を惜しみなく提供し、幅広く活動している。
そんな小谷野さんだが、独立して4、5年目の時に、
うっかりミスで青ざめたピンチが今も忘れられないという。
「会社設立のお手伝いをした時のことです。
定款を作成したのですが、なんと、
社長さんのお名前の漢字を間違えてしまったのです。
たとえば、葛飾区の葛の字。下が入やヒの字もありますよね。
長崎県の崎の字も、つくりの上が大や立と書く漢字もあります。
私が間違えたのも、漢字のつくりの部分。
その字は、たまに見かけるようなレベルではなく、
こういう字ってあるんだ?!と初めて見る字でした。
気付いたのは、定款を公証人役場へ持参した時。
今でこそ確認書類のやり取りは、メール添付のPDFや画像ですが、
当時はまだFAXで、送られてきた印鑑証明を見た瞬間に
あぁ、この字ね、と思い込んでしまったのが敗因でした。
でも、印鑑証明に記載されているのなら、それが法的に正しい。
人名には常用外漢字や旧字が今も多く、
昔の役所では手書きだったので判読困難なこともありがちです。
でも、言い訳にはなりません。
もうひとつ問題があって、通常パソコンで表記できない文字は、
外字と言って文字を作成して印刷できますが、
しかし、他のパソコンでは見られない・印字できない。
メールで打つと文字化けしたり、しますよね。あれです。
公証人の電子署名時もその文字があると読めなくなってしまう。
調べてみたら、私が間違えた字は、同字体として認められていることが分かり、
法務局での登記は、ご本人に常用漢字か手書きしての登記かを選択していただき、
今後の証明書との表現統一のため、手書きで登記することになり一件落着。
とはいえ、この件以降、最終確認は念入りにしています。
人名には特に注意して、法務省の戸籍統一文字情報を参考にしています。
一般的な業務なら、他者にWチェックしてもらうでしょうが、
扱う案件によっては、難しい場合もありますし、
士業はひとり経営者も多いですから、
自分で何度もチェックをし、さらに日を置いて、
新しい頭と目でチェックするようにしています」
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あなたの挑戦を応援しマッスー☆
ワンポイントガイド
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私や多くの仲間は、小谷野さんのことを「ゆっきー」と、親しみを
込めてニックネームで呼んでいます。立派な肩書とは裏腹に、彼は
周囲に対してとてもフレンドリーな人間だからです。とはいえ、仕
事に対する厳しさは本物。官公庁に提出する文書を顧客に代わって
作成する行政書士ですから、いい加減な気持ちで作業はできません。
それでも、やはり失敗はするものなのですね。あらためて、失敗を
冒す理由には、「不真面目」とともに「思い込みや馴れ」があるこ
とを突きつけられた気がします。この話で思い出したのですが、私
が新聞社に勤務していた時、編集長から口酸っぱく言われたのが
「名数確認の徹底」でした。名詞(とくに人名や地名などの固有名
詞)と、もろもろの数字の表記は、もっともミスを冒しやすい箇所
だからです。しかし、行政書士や新聞記者でなくとも、人の名前を
間違えることは、何かと問題のタネになりますから、ぜひ気をつけ
たいところです。「ゆっきー」が説明してくれたように、同じ漢字
でも新字・旧字はもちろん、異体字などもありますから、甘く見な
いこと。ちなみに私の苗字は「増田」だと思われているでしょうが、
本当は「增田」です。くれぐれも「漢違い」無きようお願いします。
(ますだ)
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「つながり力で起業・新規事業!」
メールマガジンVol.118
(2020.8.11配信)より抜粋して転載しました。
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