増田通信より「ふ〜ん なるほどねえ」161 『スマホを落としただけなのに』を観ただけなのに
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<最近の発見>『スマホを落としただけなのに』を観ただけなのに
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約束の待ち合わせ時間直前に、相手からキャンセルの連絡があった。
そのまま引き返して、増田通信の原稿を書くという選択肢も脳裏を掠めたが、
「これは、普段しないことをしなさい」という神の思し召しと思い直し、
近くにあったシネコンに足を踏み入れた。映画館は久しぶりだった。
とにかく、一番早く上映が始まる作品にしようと思って選んだのが、
『スマホを落としただけなのに』。
邦画か洋画かもわからないが、まあ、これもご縁、というわけで入場。
いやいや、舐めていた。侮っていた。軽く見ていた。
自分が無知なだけで、実のところこの映画、なかなかの人気作らしい。
ギリギリで飛び込んだせいもあるだろうが、館内はほぼ満席。
おかげで前から2列目の席しかなく、2時間、超下から目線を強いられた。
とはいえ、主役の北川景子さんの魅力に一層の磨きがかかっていて、
すっかり見とれた……ことはどうでもよく、何かと落とし物の多い私だから、
気を付けねばと戒めたが、考えたら、スマホを持ってないことを思い出し、
そんなの関係ねーや、オッパッピッーとうそぶいたこともどうでもよく、
ましてや観賞中、アイスコーヒーを飲み過ぎて肝心のラストで集中力を欠き、
結局、どういうオチだったか思い出せないことすらも、どうでもいい。
後日、書店で文庫本の棚を覗いていたら、
この映画の原作が大量に平積みされていて、
POPに「45万部突破」と書いてあり、ビックリこいたというのが、本論だ。
(今はもう50万部を超えているかもしれない)。
なにゆえ、かくの如きヒットなのか?
むろん、小説と映画のタイアップ効果は相当なものだろうが、
そもそも、原作自体の魅力がハンパないと私は思う。
実はこの著作、エンタテインメントでありながら、優れた実用書でもある。
スマホ全盛の今、それをうっかり落としてしまうことで、
どのような災厄が我が身に生じるのか、
また、そうなってしまった時、どのような対処が必要なのか……、
このへんの知識を押さえておきたい人の数は、相当なものではないだろうか。
言い古されたことだが、
「求める知識を、楽しく習得できる」ことに、多くの人は対価を惜しまない。
そのうえで大事な視点。
実用情報を少し面白くした程度では、人を惹きつけることは難しい。
エンタテインメントありきで、その中に実用情報を入れ込む……。
このくらいのつもりで、文書や講話を構成すれば、
必ず、多くの人が関心を持ってくれるはずである。
そう、今、このコラムを一気に読んでしまった、あなたのように(笑)。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第161号(2018/1207発行)より一部抜粋して掲載しました。
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