pickup! NICe日記 第59回 高橋慶蔵さんの『商売を閉めるということ』
・
【増田紀彦の講評】
講評:読み終えて、「実に誠実な文章」と、感じました。ひとえに筆者
のけーぞーさんの、関係者に対する深い感謝が日記の根底にあるからで
しょう。長年、会社を守ってきた、けーぞーさんのお母様、会計を見て
くれていた税理士さん、その他、多くの関係者に対して……。商売を続
けるということは、当事者の努力と周囲の理解や応援があってのことだ
と、あらためて感じました。しかし、生まれたものは、いつか必ず終焉
のときを迎えます。その引き際に際して、周囲に迷惑をかけてしまって
は元も子もありません。2018年11月の優秀日記に選出した補佐官さんの
日記『後継者不在の会社の選択』への講評でも書きましたが、廃業資金
(クロージングコスト)に関して無頓着な経営者が多いと私は痛感して
います。「次の人生」に進みたいのなら、まずは、けーぞーさんのよう
に、今を「きれいに閉める」ことが前提です。
■□■───────────────────────────■□■
「pickup! NICeな仲間の日記から」
第59回
高橋慶蔵さんの『商売を閉めるということ』
■□■───────────────────────────■□■
全国各地の異なる業種・地域・世代の人々が出会い学び合う
NICeのSNSの投稿から、今回は、増田代表が選んだ
2018年1月 月間最優秀日記をご紹介。
なお、毎月の最優秀日記を候補に年間グランプリを年末に決定します。
───────────────────────────
我が家は、
小千谷縮・紬の製造販売を行ってきました。
私で五代目ですが、私は携わっていません。
先代・父が若くして亡くなり、
祖父は私には家業を継がなくて良いから
家とお墓を守れと言い、
その祖父も私の大学卒業を待たずに亡くなりました。
その後、母が続けてきましたが、
既に工場は全て取り壊してましたから、
残っている反物や、それの加工品の販売が少し、
収入の大半はアパートなどの不動産収入でした。
母も75歳になります。
このまま続けていくのも大変ですし、
急に具合が悪くなった場合、
私や妻が引き継ぐわけにもいかないので、
昨年正月以降、事業の廃止を進めてきました。
株式は、身内はそのままですが、
出資してくれた方々から買い戻し、
アパートは老朽化していたので
残った賃借人から円満に退去いただいたのちに
取り壊しました。
貸地はもともと私の名義なのを
会社に貸していたものがほとんどなので
賃借人と契約を結びなおし
今後は私が不動産所得を申告します。
大した金額ではないのですがね。
ようやく整理が出来たので
昭和24年に株式会社化してから
ずっと経理を見て頂いてきた会計事務所に
あいさつに行ってきました。
会社の整理にあたっても、尽力してくれました。
収益が上がらない会社を
ずっと指導してきていただいたことには
感謝の言葉しかありません。
私は事業を始めたことも、閉じたこともありません。
どちらも相当なパワーが必要だと感じました。
それも、始める時は夢や希望がありますが、
閉じる時は、そういった明るいイメージはないので
精神的にも大変でしょう。
母はよく頑張ってくれたと思います。
皆さんの事業はこういうことなく
ずっと続いて行かれることをお祈りします。
※2018年1月16日投稿
┌───────────────────────────────┐
新潟県小千谷市/NICeユーザー・高橋慶蔵 (たかはし・けいぞう)さん
小千谷市役所職員
└───────────────────────────────┘
※これまでの月間最優秀日記はこちら
http://www.nice.or.jp/nicediary
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
なおこの日記は、NICeのSNSに登録すると、
閲覧およびコメントをつけることができます。
登録及び利用は無料です。