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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」59「読み書きができる幸福」




長野県南木曽町。面積の94%が森林、長野県一人口の少ない市町村。
そんなプロフィールを見ると、とてつもない奥地のような印象だが、
中山道の宿場として栄えた歴史を持つ、文化色濃い町である。

さて、お恥ずかしい話だが、
私はこの南木曽町を「みなみきそまち」だと思っていた。
最近、ニュースか何かで聞いて、「なぎそまち」と読む事を知った。

そんな経緯があって同町について調べてみた。
1961年に隣接する3つの村が合併して誕生したのだが、
消えた3つの村の中のひとつに、読書村というのがあって、びっくり。

「どくしょむら」って、一体、どういうところ?
と、さらに調べると「よみかきむら」と読む事がわかった。
地名というのは、まったくもってやっかいだ。

もっとも「どくしょ」でも「よみかき」でも、私はどちらでもかまわない。
勉学を奨励する山間の村に、古き日本の精神を垣間見て、胸がすいた。

ちなみに読書という熟語は、元来、学習するという意味だが、
今では、単に「本を読む」くらいの意味しかない雰囲気だ。
一方、「よみかき」と読んだ場合は、字が読める・書けるという意味になる。
いわゆる識字である。

識字は文化や文明の基礎と言われる。
世界には、まだまだ識字、つまり読み書きができない人たちが大勢いる。
とくにアフリカ大陸には、識字率20%や30%の国がいくつもある。

かたや日本の識字率は99・0%と、世界でも有数の高さを誇っている。
いわんや漢字、平仮名、片仮名、ローマ字を使っての99%。
ローマ字(アルファベット)だけを読み書きする国々と比較すると、
日本人の識字能力は驚異的に高いと感じるのだが、いかがだろう。

それにしても、教育の理想郷のような名を付けた読書村だが、
実はここもまた、明治期に3つの小さな村が合併して誕生した地域で、
もとは、与川村、三留野村、柿其村に分かれていたという。

なるほど! 「よみかき」とは、3つの村の頭文字だったのか!
「よがわむら」「みどのむら」「かきぞれむら」……。

共同体における過去と未来を見事に折衷させた名称である。
こういう理想を文字にしたため、読み上げることのできる幸福。
日頃、何とも思わない識字能力のありがたさを、つくづく痛感する。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)
に、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さん
へ、感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜ん
なるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第59号(2014/9/8発行)より一部抜粋して掲載しました。
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