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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
”観光立県”沖縄の課題解決のための一案



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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第19回 
     ”観光立県”沖縄の課題解決のための一案

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【頑張れタイモ! 台風に負けるな!】

台風8号が沖縄県の本島地方と宮古地方を襲った7月8日、
私は東京の自宅のテレビで、現地からの中継をジッと見つめていた。
同県の宜野湾市に広がるタイモの水田が気になっていたからだ。

実は台風が来る前日の7日まで、私は那覇市に滞在していて
その間に、沖縄特産のタイモの栽培地見学に出かけていた。
タイモはサトイモの変種で、高温・多湿・多日照を好むため、
国内では沖縄県や奄美地方だけで生産される貴重な品種である。

食料の多くを県外から調達せねばならない沖縄県にとって、
美味で栄養価が高く、しかも1年中栽培可能(年3回作付け)なタイモは、
地元の人が思う以上に重要な自給食料資源であり、
同時に、ゴーヤ(苦瓜)のように、他県で栽培される可能性も低いため、
潜在的な経済競争力が高い作物だと私は考えている。
だからテレビに向かって、タイモに声援を送っていたのである。


【沖縄の「3K」に観光は不可欠?】

沖縄県の主要な収入源は俗に3Kと言われる。曰く、観光、基地、公共工事。
この不安定な収入源からの脱却を目指す地元経済人も少なくない。
10年ほど前、新たな3Kということで、
「観光・健康・環境」関連の産業を育成しようという動きもあった。
また最近は「観光・コンテンツ・子供」を挙げる若い人もいる。

ひとつひとつ「なるほど」と思うのだが、
どの3Kにも、必ず「観光」が入っていることが気にかかる。


【USJ進出も、ほぼ決定か】

ちょうど那覇市に滞在中、「沖縄タイムス」が1面で、
『USJ、名護進出検討』というニュースを大々的に報じていた。

「進出決定」とはどこにも書いていないが、
「ほぼ間違いない」というニュアンスの記事だった。
名護市といえば、普天間基地代替地の辺野古があるから、
いわゆる「見返り策」の一環かもしれない。
いずれにせよ、このプランが実現すれば、
「ちゅら海水族館」頼みの本島北部観光が飛躍することは間違いない。

さらに、本島中部の北中城村に建設中のイオンモール「沖縄ライカム」は、
県内最大級の商業施設となり、ここも大きな集客力を発揮するだろう。
もっと言えば、法改正により「カジノ特区」が県内に設けられる可能性もある。

那覇空港の第2滑走路建設も決まり、この流れが進めば、
沖縄県は日本一どころか、東アジア一の観光地に成長するかもしれない。


【「環境保全のための入県税」を】

だが、本当にこの「イケイケドンドン」に乗ってしまっていいのだろうか。

すでに始まっている地価の上昇と、観光客相手の業種の増加により、
中心部では、地元の人のための商業施設が撤退を余儀なくされており、
中心部付近での生活は、ジワジワと厳しくなっている。

また、どっと押し寄せる観光客は、
沖縄県にお金も落とすが、同時に膨大な量のゴミも落としていく。
このゴミの処理コストは、結局、地元の負担になってしまう。
もちろんゴミの増加が、環境に悪影響を及ぼすことは言うまでもない。

ちなみに沖縄県を訪れる観光客自体は増加を続けているが、
観光客一人当たりの県内消費額はむしろ年々減少しており、
このままでは観光客の受け入れコストのほうがまさりかねない展開だ。

であれば(観光産業を推進するのであれば)、
当面策として「環境保全のための入県税」を観光客に課したらどうか。
法整備や徴収業務の遂行に困難があるなら、
せめて、「環境保全協力金」の寄付を強く推進したい。
いずれにせよ、みんなが大好きな青い空と青い海と緑の島を守るための
目的税であり、あるいは寄付のお願いである。
それを求めて来島する人々が、文句を言う筋合いはないだろう。

そして税収の一部を、それこそ伝統農業の保全にも使ってほしい。
自然と産業とが調和してこその環境だと、私は考える。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.20(2014.0723配信)
より抜粋して転載しました。
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