国内新車販売台数を伸ばそう!
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「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」
第20回
国内新車販売台数を伸ばそう!
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【都市部では実際、マイカーは不要】
若い時分、「なぜ働いているのか?」と問われれば、
表向きの答えは別として、本音は「いいクルマが欲しいから」だった。
そんな私も東京への転居を契機に自家用車の保有をやめた。
東京の道路事情はあまりに窮屈。半面、公共交通網は充実している。
有形無形のコスト負担を考えれば、マイカーは必要ないと考えた。
【自動車産業はものづくりとサービス業の頂点】
とはいえ、自動車産業には大いにエールを送る私である。
自動車の生産・販売が日本の経済と雇用の屋台骨であることはもちろん、
自動車関連産業の裾野の広さが、この国のあらゆる製造業やサービス業の
技術レベルや品質レベルを高いものへと牽引し続けているからである。
ご存じのように自動車製造には鉄鋼、樹脂、塗料、ガラス、ゴム、繊維、
メッキ、電気・電子機器、ソフトウエアなど、あらゆる製造業が集結し、
それらの産業は、高い品質要求と厳しいコスト要求をクリアすることで、
世界に誇れる技術を確立してきた。
これらの知的財産は、自動車以外への技術転用の可能性も高いため、
自動車産業は、日本のものづくりの応用力を養成する役割を担っている。
【2020年には減少する国内新車販売】
ところがそんな自動車産業にも影が差し始めている。
報道によれば、2020年には国内の新車販売台数が
2013年度より20%近く減少するという予測を業界団体がまとめたという。
2020年といえば東京オリンピック・パラリンピックの開催年であるが、
その経済効果を加味しても、なお、見通しは厳しいということなのだろう。
確かに東京のコンパクトシティ化は、私の転居当時の比ではなくなっている。
【地方で「家付き・カー付き】を堪能しよう】
では、どうすれば自動車を売り続けることができるのか。
業界団体は、「高齢者が引き続き運転できるように支援するサービスや
環境対応車への助成の充実などが重要」という。
もちろんそれらもあるが、もっとダイナミックに考えれば、
都市に集中する人口を、地方に拡散させればいいのではないだろうか。
長くクルマを持っていない私でも、地方に行けばレンタカーを使う。
地方では、クルマなしの生活や仕事は考えにくい。
過密・過疎問題の解決と自動車産業の隆盛は不可分だ。
住居コストの手当てをして、移住を促す地方自治体があるが、
今後は自動車購入の補助や燃料代の補助なども付加したらどうか。
古い言葉だが、「家付き・カー付き」の勧めである。
【アメリカのわがままと、ドイツの実力に要注意】
もうひとつ。
アメリカがTPPにからめて日米構造協議の開始を言い出し、
「日本の自動車販売システムは非関税障壁だから改めろ」と迫ってきた。
だが、メーカー別ディーラー制度は日本メーカー限定のシステムではない。
現にベンツもワーゲンもBMWも、外国資本だが国内販売網を構築している。
これらドイツの企業は、そうした日本式販売方法に則って、
着々と日本市場でのシェアを伸ばしているのだ。
アメリカの自動車メーカーは、政治家を使って日本に圧力をかける前に、
もっとすべきことがあるのではないか。
日本車のような燃費のいいクルマを開発しろとまでは言わないが、
せめてドイツ車のように、右ハンドルのクルマを作るくらいはすべきだろう。
アメリカの無謀な要求を蹴散らし、強豪ドイツと切磋琢磨しつつ、
日本の自動車産業(とその関連産業)の競争力をさらに高めていこう!
<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>
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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.21
(2014.0821配信)より抜粋して転載しました。
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