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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」299号 存在感ゆえに……



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<最近の蘇鉄> 存在感ゆえに……
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ソテツ(蘇鉄)を育てて15年になる。

花屋で見つけた時から幹丈が1メートル近くあったが、
今では私の肩あたりに達している。
葉の先までだと、ゆうに2メートルは越す。
葉陰に佇めば、日差しを除けられるほどだ。

ソテツは椰子や木性の羊歯(シダ)に似るが、系統はまるで違う。
とはいえ、アジアの亜熱帯を代表する植物である点は一緒。
南国情緒溢れる葉姿は私のお気に入りだ。

毎年7月中旬頃に新しい葉を出し、そのたびに背丈が伸びていく。

それにしても、大きくなったものだと感心しながら、
今年も出葉を楽しみに幹の先を覗いていたら、
何か妙なものが生え始めていた。

黄色くて、海藻のようにもキノコのようにも脳味噌のようにも見える、
ドーム状のちょっと不気味な物体。

それは大層気持ち悪く、関わり合いになるのがイヤで、
しばらく放っておいたが、日に日に巨大化していくので、
さすがに無視できず、恐る恐るネットで調べてみたら、
何と花だった。えっ、ソテツの花???
15年育ててきたが、花を見たのは初めてである(でも花には見えない)。

もっとも、正体が割れたおかげで救われたことも確かだ。

実はあまりの面妖さゆえ、凶事の兆候ではと不安だったのだが、
ネットの解説を読むと、ソテツの花は10年に1回咲くか咲かないかで、
それを目にすることはとても幸運であり、吉兆だというのである。

よかった!
私はすっかり機嫌がよくなった。

しかも、昔から財力や権力を有する名家の庭には、
たいていソテツが植えられているという記述もあった。

実に良い話だ。

冷静になれば、「だから何」とは思うが、
こういう「ありがたい話」には飛びつきたくなるのが人の常。

ところがだ。

さらに解説を読み進むと、反対に、
「ソテツを庭に植えると悪いことが起きる」という言い伝えが、
日本各地にかなりの数あることがわかった。マジか?

曰く、主人や家人が死ぬ。病人が絶えない。貧乏になる。などなど。
あ~あ、読み進まなければ良かった……。

もちろん、迷信だろう。
そうだとわかっていても、心のどこかで気にしている自分がいる。

根拠のない話に一喜一憂する私……。しっかりしろ!

それにしても面白い。

同じものを見て、ある人は吉だと言い、ある人は凶だと言う。
ソテツがそれほどに存在感のある植物だからだろう。

存在感のある人物が、とある人には神や仏に映り、
別の人には悪魔や鬼に見えることと似ている。

存在感とは、悪い意味を内包した誉め言葉かもしれない。

いずれにしても、人は良いの悪いのと騒がしいものである。
そんな戯れ言(ざれごと)に構わず育つソテツにあやかり、
私もしぶとく生き抜き、10年に一度くらい、花を咲かせられたら本望だ。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第299号(2024/9.9発行)より一部抜粋して掲載しました。
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