第17回 さよなら、メーリングリスト
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増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」 第17回
さよなら、メーリングリスト
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私にとってはもちろん、独立心あふれる多くの人々にとっても、
1997年という年は重大な転換点だった気がする。
リクルートが起業・独立・新規事業を応援する情報誌、
『アントレ』を創刊したのがこの年だった。
それまで、起業・独立を志し、かつ、実行できるのは、
それなりの資力とキャリアと野心を有する人物に限られていた。
が、「そうではないあなたにもチャンスはある」ことを、
『アントレ』は高らかに宣言した。
そう言える背景にはいくつかの変化があったが、
何より大きかったのは、PCとネットの普及だろう。
とくに電子メールの登場が鍵だった。
特別な技術を要さず、誰でも自宅にいながら、世界と繋がれる。
当時の私は「革命が起きた」とすら思った。
電子メールの普及は、次々と画期的なサービスを生み出した。
ひとつにはメールマガジン、
そしてもうひとつがメーリングリスト(ML)だ。
ネットコミュニケーションと言えば、「LINE」と答える、
若い読者の中にはMLをよく知らない人もいるだろう。
MLは、複数の人に対して同時にメールを送る仕組みのこと。
1つのメールアドレスにメールを送信するだけで、
MLに参加している全員に同じメールが届くのである。
PCを発信手段とした場合、MLは極めて便利な仕組みだった。
その「素晴らしきMLの老舗」ともいうべきサービスが、
GMOが提供していたfreeml(フリーエムエル)である。
まさに『アントレ』創刊と同じく1997年のサービス開始だ。
その『アントレ』が今年の6月をもって休刊となり、
後を追うように、freemlも12月2日に22年間の役目を終えた。
まあ、ネットの世界の20年は長い。
上記したように、電子メールは誰もが簡単に使えるしろものだが、
その簡単さが、スパムやウイルスの拡散に悪用される理由にもなり、
今や「便利」以上に「危険」な印象が強いものになってしまった。
そうなれば電子メールは廃れる一途だし、
電子メールでのやりとりを前提としたMLがなくなるのも、自然な流れだ。
だが、それでもやっぱり、MLを使い慣れてきた世代にとっては、痛い。
「多少の年間使用料なら払うから、誰かMLを使わせてくれよー」と、
殊勝な気持ちで願いを込めたら、ちゃんと後継サービスが出てきた。
『らくらく連絡網』。
しかも、「広告あり」でいいなら、無料で使えるという。
いやいや助かった~。
さっそく、いくつかのMLをfreemlから、
「らくらく」に移したことは言うまでもない。
繰り返すがネットの世界の変化はとにかく早い。
ということは、使えていたものが次々使えなくなるということである。
そこを狙おう!
しぶとくWindows XPを使い続けようとした人がたくさんいたように、
慣れ親しんできたサービスを手放したくない人はごまんといる。
もちろんネットに限った話ではない。
「消え行く物事の陰に、ビジネスチャンスあり」である。
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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.102
(2019.11.11配信)より抜粋して転載しました。
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